このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

わかたけ の かけら


快晴の空の元。
調査にも飽きたので寝転がって休憩をしていた。

「何してんの」

「んー?エミさんにあげる花選んでんの」

ふと隣に目をやると、ぷちぷちと何かを手折る彼女。

手の中には選りすぐられた青い花があった。

野草のお土産なんて……
内心ちっちゃい子かよ、なんて思ったが不本意ながらも可愛らしく思えた。

「エミさんとか最近外に出られへんほど忙しいらしいから……喜んでくれたらええなあ思ってさ」

その言葉を聞いてムッとしてしまう。
接点は俺の方があるのに、なんでエーミールなんかに、
なんとも言えない微妙な気持ちが心を支配した。


「ふーん、エミさんのこと好きなん」

「秘密にしとく」

心なしか照れ臭そうに笑う彼女を見て、その気持ちは澱んでいった。


「ほーん。俺に教えてくれへんの、俺にもそれくれへんの」

「は、え、ゾムどないしてん、いつもとちゃうやん」


いつもの俺なら教えてくれてもええやんケチー、と流しているだろう。


「ごめん、いつもの俺とちゃうかも」
唇に柔い感触。

バサ、と彼女が持っていた書類が地に落ちる音がした。
1/1ページ