わかたけ の かけら
快晴の空の元。
調査にも飽きたので寝転がって休憩をしていた。
「何してんの」
「んー?エミさんにあげる花選んでんの」
ふと隣に目をやると、ぷちぷちと何かを手折る彼女。
手の中には選りすぐられた青い花があった。
野草のお土産なんて……
内心ちっちゃい子かよ、なんて思ったが不本意ながらも可愛らしく思えた。
「エミさんとか最近外に出られへんほど忙しいらしいから……喜んでくれたらええなあ思ってさ」
その言葉を聞いてムッとしてしまう。
接点は俺の方があるのに、なんでエーミールなんかに、
なんとも言えない微妙な気持ちが心を支配した。
「ふーん、エミさんのこと好きなん」
「秘密にしとく」
心なしか照れ臭そうに笑う彼女を見て、その気持ちは澱んでいった。
「ほーん。俺に教えてくれへんの、俺にもそれくれへんの」
「は、え、ゾムどないしてん、いつもとちゃうやん」
いつもの俺なら教えてくれてもええやんケチー、と流しているだろう。
「ごめん、いつもの俺とちゃうかも」
唇に柔い感触。
バサ、と彼女が持っていた書類が地に落ちる音がした。
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