お前、名前はなんて言うんだ?
ルシファー生誕特別版2021【完結】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「彼女は僕が人間界へ戻した」
ソロモンは愉しそうに口元を歪める。
「……何を勝手に」
「とても簡単だったよ。君のために協力してくれ、と伝えたら二つ返事で賛同してくれた」
コツ、コツ。
ソロモンの足音が近づくほど、緊迫した空気が高まる。
「留学させてもらって、改めて思ったんだ。『在るべき場所に還るのが正しい』とね」
表情を変えず、優雅に近づいてくる。
俺はいつでも噛み殺せるように、タイミングを見計らう。
ただ、少し。
こいつの言っていることが正しいと思える自分が、いる。
「今から24時間以内に彼女を魔界へ連れ戻さないと」
コツ。
俺の目の前に、ソロモンが立つ。
怯えることもなく、対等であると。
そう主張するように。
「彼女の記憶から、君は消える」
「やめろ!! ルシファー!!」
ディアボロの引き留めも無視し、俺は本来の姿に戻る。
何人もの引き裂いてきた鋭い爪で、ソロモンの喉元に突き当てる。
「……それ以上言ったら、魂も粉々にしてやる」
「俺を殺すのは一向に構わないが、そうこうしているうちに、君の大事な人は記憶を失くしてしまうかもしれないよ?」
「貴様のような軟弱な生き物、俺の手にかかればどうということはない。下等な生き物が、いきがるなよ」
「やめるんだ!! ソロモンも、言い過ぎだ!!」
一触即発の空気に、ディアボロは焦りをにじませて俺とソロモンの間に立ち、引き離す。
「ルシファー。ここで留学生を殺したら、契約違反で人間界と戦争になってしまう。堪えてくれ」
「……」
腹の底が見えないと思っていたが、これが本性か。
「君がもし、本当に大切だと思うなら、一つだけヒントをやろう」
顎を支えるかのように左手を添えると、声を弾ませて続ける。
「人間界と魔界の繋がりに、彼女を置いてきた」
「繋がり……?」
気持ちを抑え、割れたワイングラスの破片をすべて燃やし尽くした後、本来の姿を隠す。
「あぁ。聡明な君ならすぐわかるはずさ。賢くて警戒心が強い彼女が、安心して身を置ける場所」
……賢くて警戒心が強いのは、どうだろうか。
とりあえず、身の安全は確保できているようだ。
「ルシファー。人間界へ降りる許可を与える。今すぐ、追いかけるんだ」
ディアボロがパチン、と指を鳴らすとバルバトスが俺の目の前に現れ、緊急用の空間ゲートを一瞬で用意する。
「……ディアボロ。すまない」
俺はその好意に甘え、空間ゲートへと向かう。
「美香夜に何かあれば、俺はおまえを永遠に、魂ごと何度でも引き裂いてやる」
「おぉ。それは怖いな」
この口を裂いてやりたい。
渦巻く闇に、俺は足を踏み入れた。
――ルシファーが人間界へ降り立った後。
「……彼女の記憶を消す、なんて嘘だよな?」
怒りを堪え、静かに問う坊ちゃま。
恐らく、一連の騒動はルシファーよりも重く感じていらっしゃったはず。
「すまない、ディアボロ。ああでも言わないと、ルシファーは動かなそうだったから」
問われた男は、眉を下げて謝罪するも、悪びれた様子はない。
ただ、気を抜かず常に一定の魔力を張り巡らせていることはわかる。
「……そうか。なら、よかった」
坊ちゃまは少し怒りが収まったようだ。
それもそのはず。
この魔界において、魔族以外の手で次期魔王の知らないことが起こってはならないからだ。
ルシファーのためも少なからずあるだろう。
ただ、この怒りは、坊ちゃまのプライドが占めている。
「もしルシファーを傷つけるようなことがあったら、今度は私が容赦しないよ」
坊ちゃまは声色を少し変え、本来の悪魔の目で男を捕らえた。
「大丈夫だ。すべて君に話した計画の一部だよ。安心してくれ」
男はにっこりと笑った。
坊ちゃまの瞳を真正面から覗き込んでも顔色一つ変えず、自分の意思を保てるとは。
やっかいな男を留学生にしましたね、坊ちゃま。
ソロモンは愉しそうに口元を歪める。
「……何を勝手に」
「とても簡単だったよ。君のために協力してくれ、と伝えたら二つ返事で賛同してくれた」
コツ、コツ。
ソロモンの足音が近づくほど、緊迫した空気が高まる。
「留学させてもらって、改めて思ったんだ。『在るべき場所に還るのが正しい』とね」
表情を変えず、優雅に近づいてくる。
俺はいつでも噛み殺せるように、タイミングを見計らう。
ただ、少し。
こいつの言っていることが正しいと思える自分が、いる。
「今から24時間以内に彼女を魔界へ連れ戻さないと」
コツ。
俺の目の前に、ソロモンが立つ。
怯えることもなく、対等であると。
そう主張するように。
「彼女の記憶から、君は消える」
「やめろ!! ルシファー!!」
ディアボロの引き留めも無視し、俺は本来の姿に戻る。
何人もの引き裂いてきた鋭い爪で、ソロモンの喉元に突き当てる。
「……それ以上言ったら、魂も粉々にしてやる」
「俺を殺すのは一向に構わないが、そうこうしているうちに、君の大事な人は記憶を失くしてしまうかもしれないよ?」
「貴様のような軟弱な生き物、俺の手にかかればどうということはない。下等な生き物が、いきがるなよ」
「やめるんだ!! ソロモンも、言い過ぎだ!!」
一触即発の空気に、ディアボロは焦りをにじませて俺とソロモンの間に立ち、引き離す。
「ルシファー。ここで留学生を殺したら、契約違反で人間界と戦争になってしまう。堪えてくれ」
「……」
腹の底が見えないと思っていたが、これが本性か。
「君がもし、本当に大切だと思うなら、一つだけヒントをやろう」
顎を支えるかのように左手を添えると、声を弾ませて続ける。
「人間界と魔界の繋がりに、彼女を置いてきた」
「繋がり……?」
気持ちを抑え、割れたワイングラスの破片をすべて燃やし尽くした後、本来の姿を隠す。
「あぁ。聡明な君ならすぐわかるはずさ。賢くて警戒心が強い彼女が、安心して身を置ける場所」
……賢くて警戒心が強いのは、どうだろうか。
とりあえず、身の安全は確保できているようだ。
「ルシファー。人間界へ降りる許可を与える。今すぐ、追いかけるんだ」
ディアボロがパチン、と指を鳴らすとバルバトスが俺の目の前に現れ、緊急用の空間ゲートを一瞬で用意する。
「……ディアボロ。すまない」
俺はその好意に甘え、空間ゲートへと向かう。
「美香夜に何かあれば、俺はおまえを永遠に、魂ごと何度でも引き裂いてやる」
「おぉ。それは怖いな」
この口を裂いてやりたい。
渦巻く闇に、俺は足を踏み入れた。
――ルシファーが人間界へ降り立った後。
「……彼女の記憶を消す、なんて嘘だよな?」
怒りを堪え、静かに問う坊ちゃま。
恐らく、一連の騒動はルシファーよりも重く感じていらっしゃったはず。
「すまない、ディアボロ。ああでも言わないと、ルシファーは動かなそうだったから」
問われた男は、眉を下げて謝罪するも、悪びれた様子はない。
ただ、気を抜かず常に一定の魔力を張り巡らせていることはわかる。
「……そうか。なら、よかった」
坊ちゃまは少し怒りが収まったようだ。
それもそのはず。
この魔界において、魔族以外の手で次期魔王の知らないことが起こってはならないからだ。
ルシファーのためも少なからずあるだろう。
ただ、この怒りは、坊ちゃまのプライドが占めている。
「もしルシファーを傷つけるようなことがあったら、今度は私が容赦しないよ」
坊ちゃまは声色を少し変え、本来の悪魔の目で男を捕らえた。
「大丈夫だ。すべて君に話した計画の一部だよ。安心してくれ」
男はにっこりと笑った。
坊ちゃまの瞳を真正面から覗き込んでも顔色一つ変えず、自分の意思を保てるとは。
やっかいな男を留学生にしましたね、坊ちゃま。