お前、名前はなんて言うんだ?
ルシファー生誕特別版2021【完結】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ルシファー……入る、よ」
ぎぃぃぃ……という鈍く軋 む音が響く。
部屋に一歩踏み出すだけなのに、足が強ばって言うことを聞かない。
「……そこで何をうだうだしてるんだ」
ぴく、とその声に肩が震える。
声に背中を押されるかのように、私は俯きながら部屋へ入った。
「……体、もう、大丈夫……?」
「……あぁ。問題ない」
ルシファーの声は確かに聞こえるも、私は顔を上げることができず、そのそばに寄ることもできなかった。
それもそうだ。
ルシファーが運ばれてから、原因をずっと考えていて、一つの答えにたどり着いた。
あの空間が割れる感覚。
私が、ルシファーに無理やり強大な力を使うことを命じてしまったのだ。
同意を得ず強大な魔力を放てば、それだけ悪魔に跳ね返りが生じてしまう。
それに危うく、一人の人間も殺させるところだった。
なぜあんなところに一見普通の青年がいたのか分からない。
分からない状況で、分からないまま、無責任な命令をしてしまった。
ルシファーへのサプライズプレゼントをするつもりで人間界に来たはずなのに、以降の記憶が、あまりにもうろ覚えでさらに不安感を煽 った。
私が命じなければ。
私が迷惑をかけなければ。
私がこんな試すようなことをしなければ。
自身の行動を辿るほど、すべてが無責任に思える。
失いたくない。
愛する人を、私自身の手で、失おうとしていたのだ。
もう、どんな顔をして会えばいいのか。
許されることでは「おい」
威圧的な声に、反射的に顔を上げる。
「……!」
そして気付いた頃にはルシファーが目の前に立っていて、そのまま強くベッドの方へと引っ張られた。
「いっ……!」
油断していたせいか、引っ張られた腕に軽い痛みが走り、そのまま体勢を崩してうつ伏せにベッドへ倒れ込む。
考える暇もなく、そのまま仰向けにされ、思考が追いついてきた頃にはルシファーが覆い被さっていた。
びっくりして起き上がろうとするも、両腕がしっかりと抑えつけられており、身動きが取れない。
「美香夜」
全身が震えるような、苛立った低い声。
表情が怖くて、私は強く目をつむった。
「目を、開けろ」
「……っ」
「そうか……開けないのなら」
骨ばった指先が、私の顎を少し下げ、口を開かせる。
「このまま、抱くぞ」
「?!」
想定もしない言葉に驚き、勢い良く目を開ける。
「いや?! 急に何言って……っ」
私の抵抗も虚しく、言葉を遮るかのように、ルシファーが唇を重ねる。
軽く触れたと思ったのもつかの間、生温かい舌で唇を舐められ、下唇を軽く噛まれる。
そして開かれた口に、先程感じた温度よりももっと熱いものが差し込まれた。
息ごと、吸い込まれるかのように。
頭が真っ白なのに、どうしてか全身が甘い痺れを感じてきて、状況を忘れて欲しいがままに応じてしまう。
そんな私に気を良くしたのか、ルシファーが、はぁ、と息を吐くと乱暴に自分の唇を指で拭った。
「やっと、俺を見たな」
混乱した頭で息を切らしながら、ぼんやりとルシファーを見つめる。
「……な、ちょ、と、突然……」
「はん。俺をこき使った罰だ」
ニヤリ、と意地の悪そうな笑い方で私な笑いかける。
ルシファーはゆっくりとベッドに腰掛けると、仰向けの私を抱きかかえ、ベッドに腰掛けさせた。
そして力が抜けている私が倒れる前に、上体を抱きしめてくれた。
「る、ルシファー……?」
すごく、すごく。
今までよりも、力強く。
「……俺は、またか、と諦めていた」
悲しそうなルシファーの声。
「ずっと、受け入れてきた。ここに来てから、ずっと。ずっと」
話の意図が掴めず、話すタイミングも逃し、じっとその先の言葉を待つ。
「あの子の幸せを願っていた……、いや、だが、俺は……わからなかった」
息苦しさを我慢し、ルシファーの背中をとんとん、と宥める。
なんとなく、悲しんでいるように思えたから。
「もとより自然の摂理を壊すなど、馬鹿げている、と。ましてや人間を愛する、などと」
「……」
「あの時も、正直お前を手放そうかと思っていた」
「あの、時……」
「あるべき場所へ帰り、あるべきものと恋をする。それが、何よりも幸せなのではないか、と」
きっと、人間界に降り立ったときの話なのだろう。
私は……一体、誰と……。
しかし、それを問うような雰囲気ではなく、疑問を残したまま話を聞く。
「だが……。美香夜は、俺を求めた」
「えっ」
そんなの当たり前、と言いかけて、次の言葉に衝撃を受ける。
「記憶操作で俺という存在が消えていたというのに」
記憶……操作……?
「お前は……あの強力な呪いを……お前自身で解いたのだ」
「私……が……」
「あの命令も、あまりにも身勝手で、横暴で、下等な人間が許されることではないことだ」
「うっ……」
痛いところを突然刺される。
「そう、許されることではないのだ……下等な、人間にはな」
抱きしめていた力を緩め、少し体を離される。
さすがに2回も言われてしまうと、この場からいなくなりたいほどきまづくなった。
「……ごめん、なさい……」
懺悔 の言葉はたくさん考えてきたのに、すべて吹っ飛んでしまった。
はぁ、とルシファーが息を吐く。
「お前は、下等な人間ではない。俺の横に並ぶつもりなら、それは常に心得ておけ」
「俺のもとを選んでくれて、ありがとう」
どう許しを乞おうかと考えてきたのに。
少しは、私の話も聞いてほしいのに。
全部。全部。
あなたの言葉に溶かされていく。
「……そんなの、当たり前」
あまりにも嬉しくて、恥ずかしくて……そんな生意気なことを呟く。
私は呟きを誤魔化すかのように、ルシファーの首元に抱きつき、慣れない動作で言葉ごと奪うようにキスをする。
あっという間に主導権をルシファーに取られ、彼の欲してくれるがままに、私は身を委ね、その甘い痺れに酔いしれた。
言葉は必要ない、というように。
ぎぃぃぃ……という鈍く
部屋に一歩踏み出すだけなのに、足が強ばって言うことを聞かない。
「……そこで何をうだうだしてるんだ」
ぴく、とその声に肩が震える。
声に背中を押されるかのように、私は俯きながら部屋へ入った。
「……体、もう、大丈夫……?」
「……あぁ。問題ない」
ルシファーの声は確かに聞こえるも、私は顔を上げることができず、そのそばに寄ることもできなかった。
それもそうだ。
ルシファーが運ばれてから、原因をずっと考えていて、一つの答えにたどり着いた。
あの空間が割れる感覚。
私が、ルシファーに無理やり強大な力を使うことを命じてしまったのだ。
同意を得ず強大な魔力を放てば、それだけ悪魔に跳ね返りが生じてしまう。
それに危うく、一人の人間も殺させるところだった。
なぜあんなところに一見普通の青年がいたのか分からない。
分からない状況で、分からないまま、無責任な命令をしてしまった。
ルシファーへのサプライズプレゼントをするつもりで人間界に来たはずなのに、以降の記憶が、あまりにもうろ覚えでさらに不安感を
私が命じなければ。
私が迷惑をかけなければ。
私がこんな試すようなことをしなければ。
自身の行動を辿るほど、すべてが無責任に思える。
失いたくない。
愛する人を、私自身の手で、失おうとしていたのだ。
もう、どんな顔をして会えばいいのか。
許されることでは「おい」
威圧的な声に、反射的に顔を上げる。
「……!」
そして気付いた頃にはルシファーが目の前に立っていて、そのまま強くベッドの方へと引っ張られた。
「いっ……!」
油断していたせいか、引っ張られた腕に軽い痛みが走り、そのまま体勢を崩してうつ伏せにベッドへ倒れ込む。
考える暇もなく、そのまま仰向けにされ、思考が追いついてきた頃にはルシファーが覆い被さっていた。
びっくりして起き上がろうとするも、両腕がしっかりと抑えつけられており、身動きが取れない。
「美香夜」
全身が震えるような、苛立った低い声。
表情が怖くて、私は強く目をつむった。
「目を、開けろ」
「……っ」
「そうか……開けないのなら」
骨ばった指先が、私の顎を少し下げ、口を開かせる。
「このまま、抱くぞ」
「?!」
想定もしない言葉に驚き、勢い良く目を開ける。
「いや?! 急に何言って……っ」
私の抵抗も虚しく、言葉を遮るかのように、ルシファーが唇を重ねる。
軽く触れたと思ったのもつかの間、生温かい舌で唇を舐められ、下唇を軽く噛まれる。
そして開かれた口に、先程感じた温度よりももっと熱いものが差し込まれた。
息ごと、吸い込まれるかのように。
頭が真っ白なのに、どうしてか全身が甘い痺れを感じてきて、状況を忘れて欲しいがままに応じてしまう。
そんな私に気を良くしたのか、ルシファーが、はぁ、と息を吐くと乱暴に自分の唇を指で拭った。
「やっと、俺を見たな」
混乱した頭で息を切らしながら、ぼんやりとルシファーを見つめる。
「……な、ちょ、と、突然……」
「はん。俺をこき使った罰だ」
ニヤリ、と意地の悪そうな笑い方で私な笑いかける。
ルシファーはゆっくりとベッドに腰掛けると、仰向けの私を抱きかかえ、ベッドに腰掛けさせた。
そして力が抜けている私が倒れる前に、上体を抱きしめてくれた。
「る、ルシファー……?」
すごく、すごく。
今までよりも、力強く。
「……俺は、またか、と諦めていた」
悲しそうなルシファーの声。
「ずっと、受け入れてきた。ここに来てから、ずっと。ずっと」
話の意図が掴めず、話すタイミングも逃し、じっとその先の言葉を待つ。
「あの子の幸せを願っていた……、いや、だが、俺は……わからなかった」
息苦しさを我慢し、ルシファーの背中をとんとん、と宥める。
なんとなく、悲しんでいるように思えたから。
「もとより自然の摂理を壊すなど、馬鹿げている、と。ましてや人間を愛する、などと」
「……」
「あの時も、正直お前を手放そうかと思っていた」
「あの、時……」
「あるべき場所へ帰り、あるべきものと恋をする。それが、何よりも幸せなのではないか、と」
きっと、人間界に降り立ったときの話なのだろう。
私は……一体、誰と……。
しかし、それを問うような雰囲気ではなく、疑問を残したまま話を聞く。
「だが……。美香夜は、俺を求めた」
「えっ」
そんなの当たり前、と言いかけて、次の言葉に衝撃を受ける。
「記憶操作で俺という存在が消えていたというのに」
記憶……操作……?
「お前は……あの強力な呪いを……お前自身で解いたのだ」
「私……が……」
「あの命令も、あまりにも身勝手で、横暴で、下等な人間が許されることではないことだ」
「うっ……」
痛いところを突然刺される。
「そう、許されることではないのだ……下等な、人間にはな」
抱きしめていた力を緩め、少し体を離される。
さすがに2回も言われてしまうと、この場からいなくなりたいほどきまづくなった。
「……ごめん、なさい……」
はぁ、とルシファーが息を吐く。
「お前は、下等な人間ではない。俺の横に並ぶつもりなら、それは常に心得ておけ」
「俺のもとを選んでくれて、ありがとう」
どう許しを乞おうかと考えてきたのに。
少しは、私の話も聞いてほしいのに。
全部。全部。
あなたの言葉に溶かされていく。
「……そんなの、当たり前」
あまりにも嬉しくて、恥ずかしくて……そんな生意気なことを呟く。
私は呟きを誤魔化すかのように、ルシファーの首元に抱きつき、慣れない動作で言葉ごと奪うようにキスをする。
あっという間に主導権をルシファーに取られ、彼の欲してくれるがままに、私は身を委ね、その甘い痺れに酔いしれた。
言葉は必要ない、というように。