お前、名前はなんて言うんだ?
ルシファー生誕特別版2021【完結】
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聞き覚えのある声に顔を上げると、ぼやけた視界に見知った顔が映る。
「その声は……。ソロモン?」
急いで右手の袖で目元をゴシゴシをぬぐう。
「俺の顔、少し会わないだけで忘れちゃった?」
やっとはっきりとした視界でソロモンの顔を見ると、ニコニコと優しそうな笑みを浮かべて私の頭をぽんぽん、と叩いた。
そのままルシファーを抱きかかえる。
「歩けるかい?ここは人目に付く。いったん路地裏に隠れよう」
私は言われるがまま、震える手を組み合わせながらソロモンの後に続いた
。
「……これはまたも悲惨な状態ですね」
近くの路地裏に隠れると、そこにはバルバトスの姿があった。
「……バルバトス!!」
あまりの嬉しさに、またも涙があふれてくる。
「おやおや。少し離れただけだというのに。でも今は泣いている場合ではありませんよ」
ふっ、と私に微笑んだ後、バルバトスはくるりと背を向け、洗練された仕草で円を描き始めた。
描き終えた後、乾いた指の音が鳴り響く。
「さすが、バルバトスの空間魔法はすごいね」
ソロモンが感嘆の声を漏らす。
そこには、ブラックホールのような楕円形の異空間が広がっていた。
「今ルシファーは魔力の底をつき、魂も傷ついています。少し美香夜から魔力が注がれ、魂も回復しつつありますが、早めにお帰りになった方がいいでしょう」
「魂が……傷ついてる……」
唇が青ざめたルシファーの顔を見る。
何でこんなことになったんだろう。
私は何を間違ったんだろう。
……最初から、間違っていたのかもしれない。
「何をしてるんだ、美香夜! 早くこちらへ!」
ソロモンがバルバトスの力を借りながら、ルシファーを抱えて楕円形の異空間に足を踏み入れる。
私は足元がふらつきながらも、駆け足で異空間へと吸い込まれていった。
異空間の先は魔王城だった。
その後、魔王城のいろんな悪魔たちがルシファーを急いで特別な部屋へと運び出した。
一緒に入ろうかと思ったが、私とソロモンは人間だから立ち入ることはできないと、バルバトスに止められてしまった。
私たちのその時の様子は、まるで救急治療室に運ばれた大事な人の安否を祈るような、そんな感じだったと思う。
あれから、何時間経っただろうか。
「少しは落ち着いたらどうだ」
ディアボロの計らいで、バルバトスから一室を案内され、部屋の中をずっと歩き回っていた。
……マモンと一緒に。
「ばっか、ベール、お前だってさっきからずっと飲まず食わずじゃねーかよ!」
「別に今そんな腹減ってないだけだ」
「うるさい、マモン。追い出すよ」
「なっ……!アスモ、お前、兄貴に向かって……!」
バルバトスが現状を兄弟たちにも連絡してくれたそうで、到着してから数分で、血相を変えた兄弟たちが駆けつけてきた。
……ベルフェとサタンを除いて。
「つか、なんであいつら来ねぇんだよ?!」
マモンがD.D.D.を勢いよくベッドにたたきつける。
ベールが投げつけられたD.D.D.を拾い上げながら、マモンをなだめる。
「心配してないわけじゃないんだ。二人とも、怖いだけなんだ。特にベルフェの気持ちは、俺にも伝わってきてる」
「随分と時間が経つね……」
不安そうな顔で、シメオンが部屋の時計を見やる。
その隣で、ルークがずっと俯いたまま帽子をぎゅっと握りしめていた。
シメオンとルークもこの事態を聞きつけ、少し遅れて駆けつけてくれた。
ソロモンは何か力になれるかもしれないからと、部屋にある文献を探してくると入れ違いに戻っていった。
「ソロモンもすごく具合が悪そうだったけど……」
シメオンがずっと歩いてる私の袖を掴む。
「美香夜。君も今にも倒れそうな顔をしてる。一度休憩してきたほうがいい」
「……」
その思いやり溢れる言葉に、余計悲しくなる。
私は力なくシメオンの手を袖から離すと、そのまま目を合わせずまた部屋を歩き始めた。
「……美香夜、相当キてるね」
「……」
そんなアスモとベールの心配も気付かず、私はただただ部屋を歩き続けた。
「その声は……。ソロモン?」
急いで右手の袖で目元をゴシゴシをぬぐう。
「俺の顔、少し会わないだけで忘れちゃった?」
やっとはっきりとした視界でソロモンの顔を見ると、ニコニコと優しそうな笑みを浮かべて私の頭をぽんぽん、と叩いた。
そのままルシファーを抱きかかえる。
「歩けるかい?ここは人目に付く。いったん路地裏に隠れよう」
私は言われるがまま、震える手を組み合わせながらソロモンの後に続いた
。
「……これはまたも悲惨な状態ですね」
近くの路地裏に隠れると、そこにはバルバトスの姿があった。
「……バルバトス!!」
あまりの嬉しさに、またも涙があふれてくる。
「おやおや。少し離れただけだというのに。でも今は泣いている場合ではありませんよ」
ふっ、と私に微笑んだ後、バルバトスはくるりと背を向け、洗練された仕草で円を描き始めた。
描き終えた後、乾いた指の音が鳴り響く。
「さすが、バルバトスの空間魔法はすごいね」
ソロモンが感嘆の声を漏らす。
そこには、ブラックホールのような楕円形の異空間が広がっていた。
「今ルシファーは魔力の底をつき、魂も傷ついています。少し美香夜から魔力が注がれ、魂も回復しつつありますが、早めにお帰りになった方がいいでしょう」
「魂が……傷ついてる……」
唇が青ざめたルシファーの顔を見る。
何でこんなことになったんだろう。
私は何を間違ったんだろう。
……最初から、間違っていたのかもしれない。
「何をしてるんだ、美香夜! 早くこちらへ!」
ソロモンがバルバトスの力を借りながら、ルシファーを抱えて楕円形の異空間に足を踏み入れる。
私は足元がふらつきながらも、駆け足で異空間へと吸い込まれていった。
異空間の先は魔王城だった。
その後、魔王城のいろんな悪魔たちがルシファーを急いで特別な部屋へと運び出した。
一緒に入ろうかと思ったが、私とソロモンは人間だから立ち入ることはできないと、バルバトスに止められてしまった。
私たちのその時の様子は、まるで救急治療室に運ばれた大事な人の安否を祈るような、そんな感じだったと思う。
あれから、何時間経っただろうか。
「少しは落ち着いたらどうだ」
ディアボロの計らいで、バルバトスから一室を案内され、部屋の中をずっと歩き回っていた。
……マモンと一緒に。
「ばっか、ベール、お前だってさっきからずっと飲まず食わずじゃねーかよ!」
「別に今そんな腹減ってないだけだ」
「うるさい、マモン。追い出すよ」
「なっ……!アスモ、お前、兄貴に向かって……!」
バルバトスが現状を兄弟たちにも連絡してくれたそうで、到着してから数分で、血相を変えた兄弟たちが駆けつけてきた。
……ベルフェとサタンを除いて。
「つか、なんであいつら来ねぇんだよ?!」
マモンがD.D.D.を勢いよくベッドにたたきつける。
ベールが投げつけられたD.D.D.を拾い上げながら、マモンをなだめる。
「心配してないわけじゃないんだ。二人とも、怖いだけなんだ。特にベルフェの気持ちは、俺にも伝わってきてる」
「随分と時間が経つね……」
不安そうな顔で、シメオンが部屋の時計を見やる。
その隣で、ルークがずっと俯いたまま帽子をぎゅっと握りしめていた。
シメオンとルークもこの事態を聞きつけ、少し遅れて駆けつけてくれた。
ソロモンは何か力になれるかもしれないからと、部屋にある文献を探してくると入れ違いに戻っていった。
「ソロモンもすごく具合が悪そうだったけど……」
シメオンがずっと歩いてる私の袖を掴む。
「美香夜。君も今にも倒れそうな顔をしてる。一度休憩してきたほうがいい」
「……」
その思いやり溢れる言葉に、余計悲しくなる。
私は力なくシメオンの手を袖から離すと、そのまま目を合わせずまた部屋を歩き始めた。
「……美香夜、相当キてるね」
「……」
そんなアスモとベールの心配も気付かず、私はただただ部屋を歩き続けた。