お前、名前はなんて言うんだ?
ルシファー生誕特別版2021【完結】
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ブブブッ。
「ん?」
RADの帰り道。
制服のポケットから短く、規則的に震える音が聞こえる。
立ち止まってポケットをまさぐると、いつものD.D.D.を取り出す。
最近人間界のスマートフォンよりしっくりくる。
『ソロモン:1件新着通知があります』
「あれ? ソロモンからだ」
そこには、先程教室で話したばかりの名前が表示されていた。
同じ人間界からの留学生でもあり、アスモの契約者でもある彼とはよく連絡を取っているが、別れてからすぐ連絡をもらうのは初めてだった。
何か急ぎかもしれない、そう思ってD.D.D.の通知をクリックする。
『後ろをみてごらん?』
ビクッとして反射的に後ろを振り返ると、子どもがいたずらした後の反応を心から楽しんでいるような、笑いを堪えたソロモンが立っていた。
「……悪趣味」
じとーっ、と冷たい視線をソロモンに送る。
ソロモンは、肩をくつくつと揺らしながら、「ごめんごめん」と軽くつぶやいた。
「いやぁ、どんな反応するかなーって思ったら、想像以上でさ。可愛らしくてつい堪えられなかったよ」
「可愛らしいって……たんに私が単純だからでしょー」
むすー、と口をとがらせる。
「そんなことないよ。君だから、ついしたくなるのさ」
私のむくれた態度に、少し眉を下げて
申し訳なさそうな表情になりながら、隣に立つ。
そして軽く背中を押すと、私も無意識に従ってソロモンと再び歩き出す。
「おわびと言ってはなんだが、君に喜んでもらえそうな話を持ってきたんだ」
三日月のように優しく細めた目からは、相変わらず真意がくみ取れない瑠璃色の瞳が私を鋭く捕らえていた。
「話って?」
少しの沈黙の後、耐えきれず私の方からソロモンに話を振る。
「気になるかい?」
まだからかいの笑みを含みながら質問で返してくる。
「もーいいから。それで?」
憎めないその表情に母性をくすぐられながらも、話を促す。
「最近ルシファーと仲がいいそうじゃないか」
「ふぁ?!」
予想外の言葉にびっくりしてソロモンを見る。
ソロモンは笑みを深めて続ける。
「ルシファーが近々誕生日を迎えるということで、どんなプレゼントがいいかシメオンたちと話していてね」
彼は、ゆっくりと絵の具で塗りつぶしたかのような漆黒の闇の空に視線を移す。
「最愛の人たちにもらえるプレゼントならどれも嬉しいだろう、という話から、最近ルシファーが美香夜と話すときの表情がほかの兄弟たちとは少し違うね、って話題になって」
淡々と話すソロモンに比べ、私はじわじわと顔が熱くなっていく。
「ただルシファーはああいう性格だから、兄弟たちやディアボロの手前、美香夜に一定の距離を置いてるんじゃないかと思って」
苦笑するソロモンの言葉に、ドキッとする。
私がルシファーと話していて、徐々に心が通じあう感覚と同時に抱いていた不安。
核心をつかれたような気がして、顔の熱が引いていく。
「彼が『自律』として認識している信念は、いつの日か大事なものを失うことになるだろう。だから、その前に気付かせてあげたいんだ」
先の読めない言葉がつらつらと並び、私はただただソロモンを見つめる。
「まぁ、事前訓練ってやつ、かな?」
にこっと、いつもの『完璧』な笑いを浮かべる。
「それに、試練をクリアした後のご褒美は、どんなものよりも最高なプレゼントになると思うんだ。
だから美香夜も協力してくれないか?」
ソロモンがエスコートをするそぶりを見せると、私はハッとわれに返って辺りを見回す。
「詳細は、メゾン煉獄で話そう」
「ん?」
RADの帰り道。
制服のポケットから短く、規則的に震える音が聞こえる。
立ち止まってポケットをまさぐると、いつものD.D.D.を取り出す。
最近人間界のスマートフォンよりしっくりくる。
『ソロモン:1件新着通知があります』
「あれ? ソロモンからだ」
そこには、先程教室で話したばかりの名前が表示されていた。
同じ人間界からの留学生でもあり、アスモの契約者でもある彼とはよく連絡を取っているが、別れてからすぐ連絡をもらうのは初めてだった。
何か急ぎかもしれない、そう思ってD.D.D.の通知をクリックする。
『後ろをみてごらん?』
ビクッとして反射的に後ろを振り返ると、子どもがいたずらした後の反応を心から楽しんでいるような、笑いを堪えたソロモンが立っていた。
「……悪趣味」
じとーっ、と冷たい視線をソロモンに送る。
ソロモンは、肩をくつくつと揺らしながら、「ごめんごめん」と軽くつぶやいた。
「いやぁ、どんな反応するかなーって思ったら、想像以上でさ。可愛らしくてつい堪えられなかったよ」
「可愛らしいって……たんに私が単純だからでしょー」
むすー、と口をとがらせる。
「そんなことないよ。君だから、ついしたくなるのさ」
私のむくれた態度に、少し眉を下げて
申し訳なさそうな表情になりながら、隣に立つ。
そして軽く背中を押すと、私も無意識に従ってソロモンと再び歩き出す。
「おわびと言ってはなんだが、君に喜んでもらえそうな話を持ってきたんだ」
三日月のように優しく細めた目からは、相変わらず真意がくみ取れない瑠璃色の瞳が私を鋭く捕らえていた。
「話って?」
少しの沈黙の後、耐えきれず私の方からソロモンに話を振る。
「気になるかい?」
まだからかいの笑みを含みながら質問で返してくる。
「もーいいから。それで?」
憎めないその表情に母性をくすぐられながらも、話を促す。
「最近ルシファーと仲がいいそうじゃないか」
「ふぁ?!」
予想外の言葉にびっくりしてソロモンを見る。
ソロモンは笑みを深めて続ける。
「ルシファーが近々誕生日を迎えるということで、どんなプレゼントがいいかシメオンたちと話していてね」
彼は、ゆっくりと絵の具で塗りつぶしたかのような漆黒の闇の空に視線を移す。
「最愛の人たちにもらえるプレゼントならどれも嬉しいだろう、という話から、最近ルシファーが美香夜と話すときの表情がほかの兄弟たちとは少し違うね、って話題になって」
淡々と話すソロモンに比べ、私はじわじわと顔が熱くなっていく。
「ただルシファーはああいう性格だから、兄弟たちやディアボロの手前、美香夜に一定の距離を置いてるんじゃないかと思って」
苦笑するソロモンの言葉に、ドキッとする。
私がルシファーと話していて、徐々に心が通じあう感覚と同時に抱いていた不安。
核心をつかれたような気がして、顔の熱が引いていく。
「彼が『自律』として認識している信念は、いつの日か大事なものを失うことになるだろう。だから、その前に気付かせてあげたいんだ」
先の読めない言葉がつらつらと並び、私はただただソロモンを見つめる。
「まぁ、事前訓練ってやつ、かな?」
にこっと、いつもの『完璧』な笑いを浮かべる。
「それに、試練をクリアした後のご褒美は、どんなものよりも最高なプレゼントになると思うんだ。
だから美香夜も協力してくれないか?」
ソロモンがエスコートをするそぶりを見せると、私はハッとわれに返って辺りを見回す。
「詳細は、メゾン煉獄で話そう」
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