お前、名前はなんて言うんだ?
夢の始まり
「お前の名前は?」
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ゴォォオオオン。
「……ぁ」
全身に響き渡る重低音が、終業時間であることを告げる。
手元を見ると、開いたノートは真っ白のままだった。
朝、目が覚めるとベルフェの姿はそこになかった。
その代わり、私は自分の部屋のベッドに横たわり、身体には暖かな毛布が掛けられている。
時間を確認しようとD.D.D.を探していると、ザラザラとした紙の感触が手に当たった。
いつも寝坊するベルフェがいない。
私はこの手紙の主が誰だが、なんとなく気づいていた。
『ベルフェは回収した。
お前の部屋に無断で入ってしまってすまなかった。
俺は朝から部活だから、先に学校へ行く。
今日もお前の笑った顔が見たい。
また、一緒に食べ歩きをしような』
私は静かに手紙を抱きしめ、ベッドの上でうずくまって嗚咽を漏らした。
ベールとどんな顔して会えば良いのか……。
なんていうのも、要らぬ心配だった。
帰りも部活が忙しいのか、教室にその姿はなかった。
ベルフェもなにか用事があったのか、いつも終業時間に気づかず机に突っ伏しているのに、今日は見当たらない。
私は心のどこかでホッとしながら、そそくさと教室を後にした。
頭の中は、ずっとルシファーのことばかりだった。
あのときの感情や、ルシファーの言動。
そして、どう切り出そうか、なんて。
そもそも、留学している身分。
私はいつか、人間界に戻らなければならないのだ。
「そう、だよね」
足が途端に重くなる。
当たり前なのに。
その事実は、繰り返すごとに鉛のように私の足を重くしていった。
家に帰りたくなくなって、どこか逃げれる場所を探す。
本当は、魔力のない私が一人で魔界を寄り道することを禁じられている。
でもきっと、ルシファーから貰った魔除けが守ってくれるはず。
通学路から少し路地に入ったところに、こぢんまりとした公園を見つけた。
その公園は、私が小さい頃によく遊んでいた場所と雰囲気が似ていて、懐かしさに誘われるように中へと入った。
何度見回しても公園には私しかいないようで、一人になりたかった私には最高の環境だった。
近くのベンチに座る。
魔界には風もない。
水も無い。
なのに、肌に感じる爽やかな風や湿気は、まるでそこにあるかのようで久しぶりの感覚に心が安らいでいく。
「はぁ……」
気が晴れるかな、と空を見上げる。
そこには澄み渡る青空……ではなく。
代わり映えのしない漆黒の空が続く。
月が、空は俺のものだと威張り散らすように妖しく光り続けていた。
「……私は。
私は、ルシファーと、どうなりたいんだろう」
月に話しかけてみる。
そう。ルシファーの隣にいる自分が想像できない。
彼は本当に理想的で、かっこよくて、憧れの存在。
そして、知れば知るほど、その魅力に囚われていく。
「今まで、どんな恋愛をしてきたんだろう……」
彼の隣にいたヒトは、どんなヒトだったのか。
もしかしたら、天使時代はものすごく眉目秀麗な天使と恋仲だったのかもしれない。
もしくは人間界では、誰もが息を飲むような美男美女カップルだったかも知れない。
そもそも。
「……私が、ルシファーを好きになっていい資格が、あるのかな」
ベルフェに言われた言葉が頭から離れない。
今までの私も、確かに自分の感じたまま、思ったままにやりたいようにやってきた。
直感を信じて、自分を信じた。
でも。
『だから、俺に優しくするんだろ?』
あのときの言葉が、耳から離れない。
侮蔑したような、悲しそうなあの声。
彼は、どのくらい傷ついてきたのだろうか。
悶々とした感情に結局苛まれ、そんな自分にだんだんイライラしてくる。
「あー! もう!!」
怒りの感情に任せ、立ち上がる。
「なんで好きなだけで、こんなに悩まなきゃいけないんだよ!
ルシファーの馬鹿野郎ぉぉおおお!」
瞬間、背後にゾクッとした気配を感じる。
「……ッ!!」
本能が、この場から逃げろと司令を出し続けている。
なのに、足がまったく言うことを聞かない。
やばい。
やばい。
やば「あらぁ。お嬢ちゃん? ここ、好きなのねぇ?」
ぬめり、とした生ぬるい感触が私の肩を掴む。
「ここはねぇ。
とても…素敵よねぇ。
ここはねぇ、私の、お気に入りなのねぇ」
徐々に、何かが腐った臭いが強くなる。
背中に当たる、長くてパサついた生気の感じられない髪の毛。
「そういうの、なんていうか、知ってル?」
一言一言が、重苦しく。
体が硬直していく。
「ナ・ワ・バ・リ」
死ぬ。
グチャァ……という嫌な音を立てて、大きく口を開く感覚と息を全身に感じた。
無意識に目をギュッとつむり、魔除けを反射的に強く握りしめる。
「……しに、たくない……」
パチン。
ぎゃぁぁああぁぁああ!!
遠くで叫び声が聞こえた。
ハッと目を開ける。
真っ先に飛び込んできた光景に、頭が混乱する。
いくつもの白くて太くて、変に生々しく感じる糸のようなもの。
それらが無数に、また均一に張り巡らされている。
「こ……れ」
見たことがある。
これは、蜘蛛の巣だ。
しかも、人の身体を遥かに超える、巨大な蜘蛛の巣。
「うそ……」
居心地の良かった公園も今は跡形もない。
あるのは、暗黒の空間と心臓の鼓動の如く静かに脈打つ無数の白い糸。
その真ん中で、見たこともないものが青白い炎に包まれ悲痛の声をあげていた。
「お助ケくダサイ、ルシファー様!!
違ウぅ、こレはッ、間違いナのでス!!
誤解ナのです!!」
黒目のない瞳に、頬が痩せこけた髪の長い女性。
かと思えば、胴体は蜘蛛になっており、その細長い手足を器用に折りたたんで擦りながら泣き叫んでいる。
私は蜘蛛との距離の違和感に気づき、身体を包んでいた感触にやっと意識がいく。
濡れたカラスの羽根のような、艷やかな漆黒の翼。
喉元をすぐにでも嚙みきれそうなほど、鋭い爪。
そして、今にも心臓を抉り取りそうな、雄々しい両角。
大悪魔ルシファーだ。
「下賤な悪魔が、ディアボロの意向に逆らうとは。
どうやら己の立場を理解していないようだな」
パチン。
軽快な音とは裏腹に、炎の勢いは増していく。
「あぁあぁぁあ!
る、ルシファー様!! そ、そこノ女がぁッ! そこノ女が私ノ巣に勝手に入り込んだノでス! わ、私は、あくまでも巣にかかった獲物を食らうためだっただ「虫けらは、本当によく燃えるな」
大悪魔がその鳴らした指を静かに下ろすと、炎は完全に蜘蛛を包み込み、そのまま音もなく消えていった。
炎の消えた跡には、蜘蛛の脚が一本落ちているだけだった。
理解しきれない情報量が、頭を鈍器で殴られている感覚にさせる。
立っている気力すら湧かず、私はその場にフラフラと倒れ込んだ。
「……ッ、はぁ、はぁ……」
どうやら今まで息を止めていたらしい。
足りなかった酸素を必死で集める。
ザシュッ。
必死に呼吸を繰り返していると、視界におぞましい足らしきものが床を踏みつけた。
そしてそのまま、私の視界がぐるんと変わる。
「……死にてェのか、てめェは!!」
私の足は宙に浮き、首が苦しくなる。
毒々しい紅い瞳を光らせながら、今にも私を食べそうな勢いで胸ぐらを掴んでいた。
「……ッ、あれほど、一人になるなと……!!」
フシューッ、と息が口から漏れる。その息は顔に少しかかるだけでも火傷しそうなくらいとても熱く、かなりの高熱であることがわかった。
「ご、ごめ……」
「謝れば済むと思うのか?!
命知らず、なぞ馬鹿げた言葉が褒め言葉だとでも思ったか?!
低俗な人間が、調子に乗るんじゃねェ!!」
その姿は、私がいつも見ている彼ではなく。
初めて見る大悪魔のその威圧に、魂ごともう食われている感覚に陥る。
ポロポロと、熱いものが私の目からこぼれ落ちる。
もう、制御が効かなかった。
「……ご、ごめ……。ごめん……ッなさ……」
「そのくらいにしなさい、ルシファー」
ゆっくりと、その肩に手が乗せられる。
今にも噛み付くくらいの勢いで、鋭い牙がその声の主へと振り返る。
「……!」
そのまま息を呑み、私の身体をゆっくりと解放した。
「……ッ、ぁはぁぁッ、ゲホ、ゲホゲホ、ゲホ……」
胸を抑えながら、息を整える。
苦しながらもその声の先を見ると、彼はその男をじっと見つめていた。
「彼女が大切なのはわかる。
でも、今の君は、このままじゃ彼女を食べてしまうよ」
「……シメオン。 なぜ」
大天使は肩をすくめた。
またもや頭がこんがらがってきた。
目の前の大天使の体中には見たこともない光る文字が書かれており、
それは足から床へ伝って、
この空間すべてを支配していた。
あの大蜘蛛が消失した先を見やると、もうそこには大量の蜘蛛の糸はなかった。
また黒い渦が渦巻いており、いつもの学校からの帰り道が覗き込んでいた。
神々しく、透けるような立派な両翼を大きく広げた、大天使シメオンが私にニコリと微笑んだ。
「……ぁ」
全身に響き渡る重低音が、終業時間であることを告げる。
手元を見ると、開いたノートは真っ白のままだった。
朝、目が覚めるとベルフェの姿はそこになかった。
その代わり、私は自分の部屋のベッドに横たわり、身体には暖かな毛布が掛けられている。
時間を確認しようとD.D.D.を探していると、ザラザラとした紙の感触が手に当たった。
いつも寝坊するベルフェがいない。
私はこの手紙の主が誰だが、なんとなく気づいていた。
『ベルフェは回収した。
お前の部屋に無断で入ってしまってすまなかった。
俺は朝から部活だから、先に学校へ行く。
今日もお前の笑った顔が見たい。
また、一緒に食べ歩きをしような』
私は静かに手紙を抱きしめ、ベッドの上でうずくまって嗚咽を漏らした。
ベールとどんな顔して会えば良いのか……。
なんていうのも、要らぬ心配だった。
帰りも部活が忙しいのか、教室にその姿はなかった。
ベルフェもなにか用事があったのか、いつも終業時間に気づかず机に突っ伏しているのに、今日は見当たらない。
私は心のどこかでホッとしながら、そそくさと教室を後にした。
頭の中は、ずっとルシファーのことばかりだった。
あのときの感情や、ルシファーの言動。
そして、どう切り出そうか、なんて。
そもそも、留学している身分。
私はいつか、人間界に戻らなければならないのだ。
「そう、だよね」
足が途端に重くなる。
当たり前なのに。
その事実は、繰り返すごとに鉛のように私の足を重くしていった。
家に帰りたくなくなって、どこか逃げれる場所を探す。
本当は、魔力のない私が一人で魔界を寄り道することを禁じられている。
でもきっと、ルシファーから貰った魔除けが守ってくれるはず。
通学路から少し路地に入ったところに、こぢんまりとした公園を見つけた。
その公園は、私が小さい頃によく遊んでいた場所と雰囲気が似ていて、懐かしさに誘われるように中へと入った。
何度見回しても公園には私しかいないようで、一人になりたかった私には最高の環境だった。
近くのベンチに座る。
魔界には風もない。
水も無い。
なのに、肌に感じる爽やかな風や湿気は、まるでそこにあるかのようで久しぶりの感覚に心が安らいでいく。
「はぁ……」
気が晴れるかな、と空を見上げる。
そこには澄み渡る青空……ではなく。
代わり映えのしない漆黒の空が続く。
月が、空は俺のものだと威張り散らすように妖しく光り続けていた。
「……私は。
私は、ルシファーと、どうなりたいんだろう」
月に話しかけてみる。
そう。ルシファーの隣にいる自分が想像できない。
彼は本当に理想的で、かっこよくて、憧れの存在。
そして、知れば知るほど、その魅力に囚われていく。
「今まで、どんな恋愛をしてきたんだろう……」
彼の隣にいたヒトは、どんなヒトだったのか。
もしかしたら、天使時代はものすごく眉目秀麗な天使と恋仲だったのかもしれない。
もしくは人間界では、誰もが息を飲むような美男美女カップルだったかも知れない。
そもそも。
「……私が、ルシファーを好きになっていい資格が、あるのかな」
ベルフェに言われた言葉が頭から離れない。
今までの私も、確かに自分の感じたまま、思ったままにやりたいようにやってきた。
直感を信じて、自分を信じた。
でも。
『だから、俺に優しくするんだろ?』
あのときの言葉が、耳から離れない。
侮蔑したような、悲しそうなあの声。
彼は、どのくらい傷ついてきたのだろうか。
悶々とした感情に結局苛まれ、そんな自分にだんだんイライラしてくる。
「あー! もう!!」
怒りの感情に任せ、立ち上がる。
「なんで好きなだけで、こんなに悩まなきゃいけないんだよ!
ルシファーの馬鹿野郎ぉぉおおお!」
瞬間、背後にゾクッとした気配を感じる。
「……ッ!!」
本能が、この場から逃げろと司令を出し続けている。
なのに、足がまったく言うことを聞かない。
やばい。
やばい。
やば「あらぁ。お嬢ちゃん? ここ、好きなのねぇ?」
ぬめり、とした生ぬるい感触が私の肩を掴む。
「ここはねぇ。
とても…素敵よねぇ。
ここはねぇ、私の、お気に入りなのねぇ」
徐々に、何かが腐った臭いが強くなる。
背中に当たる、長くてパサついた生気の感じられない髪の毛。
「そういうの、なんていうか、知ってル?」
一言一言が、重苦しく。
体が硬直していく。
「ナ・ワ・バ・リ」
死ぬ。
グチャァ……という嫌な音を立てて、大きく口を開く感覚と息を全身に感じた。
無意識に目をギュッとつむり、魔除けを反射的に強く握りしめる。
「……しに、たくない……」
パチン。
ぎゃぁぁああぁぁああ!!
遠くで叫び声が聞こえた。
ハッと目を開ける。
真っ先に飛び込んできた光景に、頭が混乱する。
いくつもの白くて太くて、変に生々しく感じる糸のようなもの。
それらが無数に、また均一に張り巡らされている。
「こ……れ」
見たことがある。
これは、蜘蛛の巣だ。
しかも、人の身体を遥かに超える、巨大な蜘蛛の巣。
「うそ……」
居心地の良かった公園も今は跡形もない。
あるのは、暗黒の空間と心臓の鼓動の如く静かに脈打つ無数の白い糸。
その真ん中で、見たこともないものが青白い炎に包まれ悲痛の声をあげていた。
「お助ケくダサイ、ルシファー様!!
違ウぅ、こレはッ、間違いナのでス!!
誤解ナのです!!」
黒目のない瞳に、頬が痩せこけた髪の長い女性。
かと思えば、胴体は蜘蛛になっており、その細長い手足を器用に折りたたんで擦りながら泣き叫んでいる。
私は蜘蛛との距離の違和感に気づき、身体を包んでいた感触にやっと意識がいく。
濡れたカラスの羽根のような、艷やかな漆黒の翼。
喉元をすぐにでも嚙みきれそうなほど、鋭い爪。
そして、今にも心臓を抉り取りそうな、雄々しい両角。
大悪魔ルシファーだ。
「下賤な悪魔が、ディアボロの意向に逆らうとは。
どうやら己の立場を理解していないようだな」
パチン。
軽快な音とは裏腹に、炎の勢いは増していく。
「あぁあぁぁあ!
る、ルシファー様!! そ、そこノ女がぁッ! そこノ女が私ノ巣に勝手に入り込んだノでス! わ、私は、あくまでも巣にかかった獲物を食らうためだっただ「虫けらは、本当によく燃えるな」
大悪魔がその鳴らした指を静かに下ろすと、炎は完全に蜘蛛を包み込み、そのまま音もなく消えていった。
炎の消えた跡には、蜘蛛の脚が一本落ちているだけだった。
理解しきれない情報量が、頭を鈍器で殴られている感覚にさせる。
立っている気力すら湧かず、私はその場にフラフラと倒れ込んだ。
「……ッ、はぁ、はぁ……」
どうやら今まで息を止めていたらしい。
足りなかった酸素を必死で集める。
ザシュッ。
必死に呼吸を繰り返していると、視界におぞましい足らしきものが床を踏みつけた。
そしてそのまま、私の視界がぐるんと変わる。
「……死にてェのか、てめェは!!」
私の足は宙に浮き、首が苦しくなる。
毒々しい紅い瞳を光らせながら、今にも私を食べそうな勢いで胸ぐらを掴んでいた。
「……ッ、あれほど、一人になるなと……!!」
フシューッ、と息が口から漏れる。その息は顔に少しかかるだけでも火傷しそうなくらいとても熱く、かなりの高熱であることがわかった。
「ご、ごめ……」
「謝れば済むと思うのか?!
命知らず、なぞ馬鹿げた言葉が褒め言葉だとでも思ったか?!
低俗な人間が、調子に乗るんじゃねェ!!」
その姿は、私がいつも見ている彼ではなく。
初めて見る大悪魔のその威圧に、魂ごともう食われている感覚に陥る。
ポロポロと、熱いものが私の目からこぼれ落ちる。
もう、制御が効かなかった。
「……ご、ごめ……。ごめん……ッなさ……」
「そのくらいにしなさい、ルシファー」
ゆっくりと、その肩に手が乗せられる。
今にも噛み付くくらいの勢いで、鋭い牙がその声の主へと振り返る。
「……!」
そのまま息を呑み、私の身体をゆっくりと解放した。
「……ッ、ぁはぁぁッ、ゲホ、ゲホゲホ、ゲホ……」
胸を抑えながら、息を整える。
苦しながらもその声の先を見ると、彼はその男をじっと見つめていた。
「彼女が大切なのはわかる。
でも、今の君は、このままじゃ彼女を食べてしまうよ」
「……シメオン。 なぜ」
大天使は肩をすくめた。
またもや頭がこんがらがってきた。
目の前の大天使の体中には見たこともない光る文字が書かれており、
それは足から床へ伝って、
この空間すべてを支配していた。
あの大蜘蛛が消失した先を見やると、もうそこには大量の蜘蛛の糸はなかった。
また黒い渦が渦巻いており、いつもの学校からの帰り道が覗き込んでいた。
神々しく、透けるような立派な両翼を大きく広げた、大天使シメオンが私にニコリと微笑んだ。