お前、名前はなんて言うんだ?
夢の始まり
「お前の名前は?」
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「……ちょ、まっ……」
私の声は空しく、熱い息と共に言葉が吸い込まれていく。
有無を言わせない口づけが、ただただ繰り返される。
うまく息も吸えないせいか、頭が痺れていく。
「……っ」
「……」
ルシファーと目が合う。
……これは。
「やめ…」
必死に抵抗しているつもりでも、力が入らない。
口も塞がれているので、先ほどの手段を使おうにもうまくできない。
意識が朦朧としていると、不意に服の下から生暖かいものが差し込まれた。
「……お前は、コレが欲しかったんだろう…?」
「だから、俺に優しくするんだろ?」
パァン。
乾いた音が部屋に反響する。
「……!」
「……ルシファーの……バカ!!」
ルシファーが目を丸くしながら、赤く腫れた右頬を押さえる。
目頭が熱くなってきて、視界が潤む。
そのせいで、ルシファーがどんな表情をしているのか、わからなかった。
「こんなの……!別に、求めてない!!」
すぐさま体勢を整え、キッと睨みつける。
肩で息をしながら、感情に任せて言葉を吐き出す。
「どうしてそうなっちゃうわけ?!私はそんなこと一言も言ってないのに…!!」
頭がぐちゃぐちゃで、心もぐちゃぐちゃで。
処理しきれない情報を捌ける力は、私には無かった。
「……」
ルシファーは黙ったままだ。
叫ぶ力すらなくなり、力が抜けたように、呟く。
「……大事な存在を、ただ守りたいと思うのは、ダメなの……?」
憤りを超えて、今はただ、空っぽだ。
そう思われてしまった事にも、ただただ哀しくなる。
まるで、自分が浅ましい人間に思える。
「……ごめん、頭、冷やしてくる」
私はとめどなく溢れてくる涙を堪え、立ち上がる。
ルシファーは一向に動くことも、喋ることもない。
でも、今の私には、ルシファーの気持ちを考える余裕もなかった。
重苦しい空気から逃げるように、私は早歩きで部屋を出た。
パタン。
「……なに言ってるんだろう、私」
もう立っているのも限界だった。
扉を背に、腰が抜けてその場に座り込む。
そのまま頭を扉に預けて、廊下の天井を仰ぎ見る。
「結局は…私の、独りよがりってことだよね…」
また、ポロポロと涙が溢れ出る。
自分が今まで感じていたことも、行動したことも、すべてが恥ずかしい。
だって、ルシファーには、『そう見えて』いたのだから。
「……なんで、泣いてるんだろう…」
情けなく泣く自分の目に、右腕の服の袖を押し付ける。
震える肩をもう片方の手で押さえつけ、嗚咽を飲み込む。
ああ。
なんて私は。
「どうした?」
温かな声が聞こえる。
聞き慣れた、それでいて太陽のような優しい声色。
「…ベール」
右腕を外すと、そこには私の目線にしゃがみ込んで、心配そうに覗き込むベールの姿があった。
両手には分厚い書類を抱えている。
ベールは一度私を見た後、扉に視線を向け、表情を変えずにまた私へと戻した。
そして書類を床に静かに置く。
「えっ……」
力強く引っ張られたかと思ったら、気づけばベールの胸の中にいた。
逞しい腕が私の背中に回され、ぽんぽん、と優しく叩かれる。
まるで子供をあやすかのように、そのまま頭をゆっくり撫でられた。
ベールの熱い息が、耳元にかかる。
「こんな場所じゃ、風邪引くぞ。どこか、違うところへ行こう」
自然な流れで、ベールは私の背中と膝を持ち上げ、軽々と抱えて歩き出した。
私は胸がぎゅっとなって、親に甘える子供みたいに首にしがみつく。
「……うん」
相変わらず視界が潤んで表情が見えないが、ベールが優しく微笑んだ気がした。
私の声は空しく、熱い息と共に言葉が吸い込まれていく。
有無を言わせない口づけが、ただただ繰り返される。
うまく息も吸えないせいか、頭が痺れていく。
「……っ」
「……」
ルシファーと目が合う。
……これは。
「やめ…」
必死に抵抗しているつもりでも、力が入らない。
口も塞がれているので、先ほどの手段を使おうにもうまくできない。
意識が朦朧としていると、不意に服の下から生暖かいものが差し込まれた。
「……お前は、コレが欲しかったんだろう…?」
「だから、俺に優しくするんだろ?」
パァン。
乾いた音が部屋に反響する。
「……!」
「……ルシファーの……バカ!!」
ルシファーが目を丸くしながら、赤く腫れた右頬を押さえる。
目頭が熱くなってきて、視界が潤む。
そのせいで、ルシファーがどんな表情をしているのか、わからなかった。
「こんなの……!別に、求めてない!!」
すぐさま体勢を整え、キッと睨みつける。
肩で息をしながら、感情に任せて言葉を吐き出す。
「どうしてそうなっちゃうわけ?!私はそんなこと一言も言ってないのに…!!」
頭がぐちゃぐちゃで、心もぐちゃぐちゃで。
処理しきれない情報を捌ける力は、私には無かった。
「……」
ルシファーは黙ったままだ。
叫ぶ力すらなくなり、力が抜けたように、呟く。
「……大事な存在を、ただ守りたいと思うのは、ダメなの……?」
憤りを超えて、今はただ、空っぽだ。
そう思われてしまった事にも、ただただ哀しくなる。
まるで、自分が浅ましい人間に思える。
「……ごめん、頭、冷やしてくる」
私はとめどなく溢れてくる涙を堪え、立ち上がる。
ルシファーは一向に動くことも、喋ることもない。
でも、今の私には、ルシファーの気持ちを考える余裕もなかった。
重苦しい空気から逃げるように、私は早歩きで部屋を出た。
パタン。
「……なに言ってるんだろう、私」
もう立っているのも限界だった。
扉を背に、腰が抜けてその場に座り込む。
そのまま頭を扉に預けて、廊下の天井を仰ぎ見る。
「結局は…私の、独りよがりってことだよね…」
また、ポロポロと涙が溢れ出る。
自分が今まで感じていたことも、行動したことも、すべてが恥ずかしい。
だって、ルシファーには、『そう見えて』いたのだから。
「……なんで、泣いてるんだろう…」
情けなく泣く自分の目に、右腕の服の袖を押し付ける。
震える肩をもう片方の手で押さえつけ、嗚咽を飲み込む。
ああ。
なんて私は。
「どうした?」
温かな声が聞こえる。
聞き慣れた、それでいて太陽のような優しい声色。
「…ベール」
右腕を外すと、そこには私の目線にしゃがみ込んで、心配そうに覗き込むベールの姿があった。
両手には分厚い書類を抱えている。
ベールは一度私を見た後、扉に視線を向け、表情を変えずにまた私へと戻した。
そして書類を床に静かに置く。
「えっ……」
力強く引っ張られたかと思ったら、気づけばベールの胸の中にいた。
逞しい腕が私の背中に回され、ぽんぽん、と優しく叩かれる。
まるで子供をあやすかのように、そのまま頭をゆっくり撫でられた。
ベールの熱い息が、耳元にかかる。
「こんな場所じゃ、風邪引くぞ。どこか、違うところへ行こう」
自然な流れで、ベールは私の背中と膝を持ち上げ、軽々と抱えて歩き出した。
私は胸がぎゅっとなって、親に甘える子供みたいに首にしがみつく。
「……うん」
相変わらず視界が潤んで表情が見えないが、ベールが優しく微笑んだ気がした。