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【1】始まり

その時、突然車両が不自然に揺れると同時に、キィィィィィィィィィッッ!と、耳障りな音が車内に響いた。

『っ!?』

座席から立ち上がり、あたりを見回すと、他の乗客たちも同じように辺りをキョロキョロと見回していた。

そして突然車内に不安になるアラームが鳴り響いた。

【緊急地震速報。緊急地震速報】

乗客のスマホから一斉に、同じような言葉が繰り返される。

(地震……!?)

自分も急いでスマホの画面を見ると、そこに“震度6強”という文字が見えた。

(嘘でしょ……!?)

先程から耳をつんざくようなキィィィィィィ!!!!という音が続いていたが、その音が一瞬止む。

安堵したのは一瞬だった。

代わりにガガガガガガッッッ!!!!という音がなると同時に、車体が傾く。

「ひぃっ、脱線だァッ!!!!!!」

パニックになった乗客がそう叫んだことで、今の状況をようやく理解できた。

 

 

――理解できたところで、人間が天災に抗えるわけもないのだが。

 

 


席から立ったことが仇となった。

傾く車体につられ、バランスを倒しドアにぶつかる。

ガンッ、と強い衝撃が脳に与えられた。

『ぅ……』

痛い……。

私、このまま死んじゃうのかな、なんて、他人事のように思いながら意識を絶った。
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