とある本丸の日常会話 [完結]

小話その8「続・刀剣男士はまだまだ夏を満喫したいようです」

―講堂―
鶴丸「昼間は短刀達が夏を満喫していたからな・・・夜は大人の夏休みとしようぜ!」

青江「ふふふ…なんだか楽しめそうだね」

薬研「また妙ちくりんなことを考えてんだろ。何をするつもりだぁ?旦那」

赤羽「・・・・・・」

一期「主まで御呼び立てして・・・不埒なことをお考えなら切って捨てるのでお覚悟を(ニコ)」

鶴丸「(目が笑ってねぇ!)安心しろ!俺はただ純粋に夏を楽しみたいだけだぜ?ほら、まだやってない夏の醍醐味があるだろう」

一期「それは・・・」

青江「月のない真っ暗なお堂に蝋燭の灯りを囲って円座する僕たち・・・想像するまでもないよねぇ」

赤羽「百物語」

一期「・・・危険なのでは?遊び半分で触れて良いものとは思えません」

鶴丸「ヒェ!息をするように刀を抜くな刀を!」

一期「主を危険に晒す真似をしないでいただきたい」

鶴丸「真面目すぎるぞ一期!よぉ~く考えてみろ。今ここにはこの五人しかいない。五人で百話回せると思うか?一人二十話なんだぞ?!」

青江「いくら経験豊富な僕と言えど、それは難しいかもしれないねぇ」

鶴丸「ほらな!にっかり大先生もこう言っているんだ。せいぜい一人五話が関の山なのだから、百話完遂なんか土台無理な話しなのさ。だからこれは・・・ただの座談会だと思ってくれたらいいんだぜ?!」

薬研「鶴さん必死だな」

一期「・・・。・・・それはそれとして、遠征の者を除いたとしても、鶴丸殿の呼掛けに五人しか集まらないのは少なすぎでは?」

鶴丸「痛いところを突いてくるぜッッ」

赤羽「日頃の行いのせい。みんな警戒してた」

青江「そうだねぇ。まあ、何をするか知らされないまま不用意に飛び込んで行く真似はしないよね。僕は事前に知らされていたから協力してるけど」

赤羽「何かあったら私の責任。何か起こる前に鶴丸を止めるのが私の責務」

薬研「やっぱ大将はそう考えてたか。鶴さんが何か仕掛けないわけがねぇからな。誰かが犠牲にならねぇよう参加してみたが、その心配はなかったわけだ」

鶴丸「そ、そんな君達そんなことを思っていたのか・・・泣けてくるぜ・・・どうせ俺には人徳…いや刃徳がないんだッ!!」

青江「鶴さん・・・(嘘泣き下手だなぁ・・・)」

一期「鶴丸殿、落ち着いてください。・・・先の戦やこれまでの暑さに皆心も体も疲弊していましたが、今日は久々に楽しい時を過ごせましたからな。遊び疲れや緊張が解けて今日はゆっくり休みたいのでしょう。鶴丸殿はタイミングを誤っただけかと思います」

鶴丸「一期・・・!君に慰められるとはな」

一期「それに…まあ、そうですね。座談会、ということなら危険はないでしょうな。にっかり殿も居られます。万が一にも何かありましたらにっかり殿、どうか主の守護をお頼みしたく存じます」

青江「あ、うん。・・・一期くんは律儀だねぇ」

鶴丸「頭が固いだけだ(小声)」

一期「それでは私達はここで退室致します。夜更しは体に毒ですから、お三方もご歓談は程々に」

薬研「え」

鶴丸「お、おい?退室って?それにどうして薬研を連れて行こうとするんだ」

一期「なに、私は最初から薬研を呼び戻しに来ただけですからな」

薬研「マジか」

鶴丸「おいおいおい待て待て待て。そんなこと言って君、怖じ気づいたのかい?」

一期「ははは。それで逃げる口実に弟を使っているとでも言いたいのですかな?挑発ならもう少し上手くやるものです。それに私は怪談よりも・・・饅頭が怖い」

鶴丸「あーっ!君、それ、君!」

一期「おやすみなさい」

鶴丸「いっ一期一振!なんてやつだッ!それは・・・それはネタ切れになった時の・・・最終手段だったのに・・・クッ」

青江「でもそれ怪談じゃないよね」

赤羽「それで、どうする」

鶴丸「どうするも、続行あるのみさ。実は一つ試してみたいことがあったんだ。主と青江さえいれば人数は必要ないからな」

青江「僕たちかい?」

鶴丸「ああ。邪魔者は退散したことだしな。よし、もう少し付き合ってくれ」

青江「(ああ、これは・・・)」


一藤代の私室一
青江「一一一最初からこれが狙いだったんだなって思ったんだよね。だけどまさかこんなことが起こるなんて僕も思わなくてさ、止められなかったんだ」

藤代「・・・そりゃ・・・とんでもない、こじつけですからね・・・」

青江「だよねぇ。『付喪神は九十九神とも書くから一話話せば九十九話分話したことになるんじゃないか?!』なんて理屈通るわけがないよ。主もそう考えたから話したんだろうけど、まさかそれが百話目にカウントされるとは、ね・・・」

藤代「そこ・・・赤羽様の身に何も起こらなくて本当に良かった・・・だけど」

青江「うん。君は本当に色んな物を背負い込むよね」

藤代「いやッこれは皺寄せでしょうッ?!どうしてこうなった!」

青江「フッ…フフフッ…」

藤代「どうしてっ!こんのすけが巨大化するんですか!?」

青江「フ、ハハッ君たち…君たち一緒に寝てるんだね。相棒同士なのは知ってるけど仲良すぎないかい?」

藤代「良くて悪いか!て、それが今悪いほうに働いて押し潰されてるわけだけども・・・」

青江「あのね、実はまだ悪い報せがあるんだけど」

藤代「はぁ?!」

青江「君はこんのすけの腹の下だから見えないかもしれないけどね、お供のきつねーズも巨大化しているよ」

藤代「は?お供・・・?」

青江「君たちの後ろにいるよ」

藤代「ナニソレコワイ」

青江「すごいね。巨大化した三匹のケモノが君の部屋にみっちりと・・・夜通し君に覆い被さっていたわけだ」

藤代「言い回しに腹が立つけど・・・マジですか・・・確かに昨夜はキツネ集会があったようですが」

青江「猫が真夜中に集まるアレみたいなものかい?」

藤代「道理でこんのすけが少しも動けないわけだ」

赤羽「モフモフ・・・羨ましい」

藤代「赤羽様~。これどうにか出来ませんか?これ本当に昨夜のそれが原因なんですか?」

赤羽「多分そう。昨日は青江と私が話した後は何もなくて、鶴丸は詰まらなそうにしてた。だからそのまま解散した。だけど、夢の中で問いかけがあった」

藤代「問いかけ?」

赤羽「『お前の怖いものはなんだ?』」

青江「・・・へぇ、それは。それでなんて答えたんだい?」

赤羽「モフモフしがいのある大きな動物が怖い」

藤代「・・・」

青江「・・・それで納得のこの現状」

藤代「おあとがよろしいようで!!」


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古典落語オチ。
百物語を一夜で語り尽くすかのように書いてしまいましたが、きっと数日に分けてやるものですよね。よくよく考えなくても普通に時間足りない。
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