とある本丸の日常会話 [完結]
小話その50「本丸の住人は月を望むようです」
一本丸・庭一
加州「えっ?!ちょっと、主?それに三日月!」
赤羽「・・・加州」
三日月「おお、廊下に立っているのは加州か。早いな。まだ夜明け前だが、もう起きたのか?」
加州「それはこっちの台詞だって!まだこんなに暗くてさっむいのに何してんの?風邪引くだろ。主が!」
三日月「ははは、俺の心配もしてくれ」
加州「してほしかったら寒空の下に突っ立ってんなよ!・・・も~、主まで巻き込んで何してるの?」
三日月「月見だ」
加州「は?」
赤羽「加州も、一緒に見る?」
加州「え、えぇー・・・正直、寒すぎて外出んのツラい・・・けどっ、見る!すぐ行くから待ってて」
赤羽「うん」
三日月「暖かくして来るんだぞ」
(間)
加州「一一て、月見えないじゃん」
赤羽「これから」
加州「これから?」
三日月「今宵は逆三日月…夜明け前に昇る月よ。東の空より見えてくるぞ」
加州「ふぅん…?東って、あっち?」
三日月「そうだな」
加州「山の木々に隠れて見えなくない?」
三日月「だが、いつかは見える」
加州「ふぅん…」
三日月「つまらないか?」
加州「まぁ…ちょっとね?こう言ったら悪いけど月が見える頃には空が白んでくるよ。そしたらさ、月見えなくない?」
三日月「そう思うか。まぁ、退屈になったら部屋に戻るといい。いつもならまだ眠っている時間だろう?」
加州「じょーだん。主一人占めしてんの知っちゃったからね。意地でも月見してやるよ。・・・部屋に戻っても眠れる気がしないし」
赤羽「?…何かあった」
加州「あったもなにも、今日は主が本丸に来てちょうど五年目の日でしょ?特別な日だからかな。なんか目が覚めちゃって落ち着かないんだよね」
赤羽「そう…」
加州「てか三日月ズルくない?主だけ誘って月見なんてさ、抜けがけもいいとこ」
三日月「はっはっは。加州は勘が良いな。こんな時間に起きているのは警邏の者かじじいくらいだが・・・」
加州「何笑ってんだか。まったく、油断も隙もない…主もよく付き合うよね?寒い中見えるか分からない月を待つなんてさぁ、俺なら無理。せめて見えた頃に呼んでもらいなよ」
赤羽「…ううん。月を待つのも、月見の醍醐味」
加州「えー?」
三日月「流石は主。月見の作法を心得ているな」
加州「そゆもん?」
赤羽「・・・三日月、私は待つよ。月が昇っても」
加州「え?」
三日月「・・・」
赤羽「私に、話したいことがあるなら聞く。迷っているなら、待つよ」
三日月「・・・。・・・ああ、主は分かっていたか。いや、励起の技を持つ審神者には、物の…俺達の心が分かるか。一一そうだな。月見を口実に主に話しておきたいことがあった。だが、話すべきではないと思う自分もいる・・・主には俺が何を言いたいのか、待たずとも分かるのではないか?」
赤羽「・・・」
三日月「・・・」
加州「えっとー・・・俺、お邪魔?」
三日月「いや、これは主の最初の刀である、お前にも聞いてもらうのが良いのかもしれない。
・・・一一今より五年と九ヶ月前。この本丸に三日月宗近が二振り顕現した日の話だ」
・・・・・・
三日月「あの時、主はまだ本丸には居らず…加州は留守居役を任されたのだったな」
加州「・・・そうねー。顕現してすぐ主とは離ればなれにされて、主のいない本丸を守るように言われた。で、そん時に小狐丸と三日月宗近もついてきた。俺だけじゃ頼りないのかって気に入らなかったけどさ、すぐに理由が分かったよ」
三日月「時間遡行軍の襲撃」
加州「そ。でも敵の狙いの主はここにはいなかった。同時に襲撃された本部を守るために内緒でそっちに戻ってたからね。いないはずの主が本部にいて奴らかなり動揺したって聞いたよ」
赤羽「・・・どうかな。私は、作戦の一部に過ぎない」
加州「主は頑張ったよ。大きな役割を果たしてきたんだから胸張っていい」
三日月「加州も、だな。本丸の方も襲撃を退けて事なきを得たようだな。大したものだ」
加州「俺は何も…。まさか一騎当千の強者が混ざり込んでるなんて思わなかったんだろうね。三日月宗近…いや宗近は政府の精鋭。敵襲には慣れっこだったわけでしょ?あんなのと知り合いだった藤代にもビックリだけど」
赤羽「宗近は、元々しーちゃんの護衛。だから、私の代わりに本丸に入ってもらう時に、紛れ込ませることが出来た」
加州「そっか」
三日月「・・・そうだ。もう一人の俺は強者だ。そしてその日の暮れに顕現した俺は所在なく、刀解されるのを待つ他はなかった。だがアレは俺を主の三日月宗近と見立て、自身は記録役の刀として振る舞った。
一一・・・主よ。あの空に浮かぶ三日月ように、この本丸にも三日月が夜明けと日暮れに現れた。夜明けの三日月は陽が昇れば薄らぐ。主よ、俺はアレを三日月として輝かせてやりたいのだ」
赤羽「・・・」
三日月「・・・頼む」
赤羽「・・・、・・・分かった」
三日月「・・・そうか。有難い」
加州「え、ちょっと待って。つまりどうゆうこと?」
赤羽「・・・加州。宗近を、政府に還すよ」
加州「!」
赤羽「そして…しーちゃんの、記録役の任も解く」
・・・・・・
加州「・・・は?・・・え、なんで」
赤羽「宗近は襲撃に備えるため、しーちゃんは私の代役のため、協力してもらっていた。二人の役目はすでに終わっている」
加州「や、百歩譲って宗近はわかるよ?でも藤代は今は記録役で、主の補佐として雇われてるんだから今まで通りで良くない?」
赤羽「宗近にはしーちゃんを連れ戻す役割もある、らしい。役目を終えても政府に戻らないのはその為」
加州「・・・」
赤羽「政府からも再三返還を求められていた。それに、私は応じなかった」
加州「・・・それは、どうして」
赤羽「初めてあの子を見た時、笑っていても、心が空っぽだった。…あそこに戻すわけにはいかない。だから引き留めていた」
加州「・・・だ、だったらさ~このままでいいじゃん!あいつはあんたを神様みたいに思ってて、あんたがいないと生きていけないよ?還したらさ、また地獄を見るだけだろ?」
赤羽「それが、あの子の望み。随分前から考えていたよ。加州、わかって一一」
加州「は?・・・ウソだろ」
赤羽「・・・」
加州「だって、あいつ本部の奴らに呼び出されるのあんなに嫌がってたのに、そんなの望むはずない」
三日月「・・・加州」
加州「・・・」
三日月「加州。お前は主の最初の刀だ。主の決定をお前が認めなければ他の者も納得しないだろう。別れは辛いが飲み込むのだ…」
加州「・・・三日月は、知ってたの」
三日月「・・・、もう一振りの俺が藤代の刀となることを選んだ時から、薄々な」
加州「・・・、・・・俺、何も聞いてない。これでも本丸の門を一緒に開けたっていう仲間意識?そーゆーの、あったつもりだった。・・・だけど、あいつホント主以外に言わなすぎだろ」
赤羽「・・・。ごめんね」
加州「主が謝ることじゃないよ」
赤羽「君たちは、歴史を守る為に在る。私たちは、それを君たちに願い、力を与える。どちらも不可欠。欠けたら、この戦いは負ける」
三日月「・・・」
赤羽「宗近の戦力を、個人の情で留めてはおけない。あの子の力も、この本丸に留めてはいけない。欠けたら負ける。そういうところまで来ている」
加州「主…?」
赤羽「・・・。しーちゃんは、大丈夫。ちゃんと笑えるようになった。もう昔の姿はないよ。みんなのおかげ」
三日月「それは、どうだろうな」
加州「・・・。そーね。あいつの救いは主だけだから・・・って前にも同じようなこと話した気がするな」
三日月「そうだな。…まぁ、ここに主がいて俺達もいる。ここで過ごした記憶が、決して悪い方には向かわせないだろう」
加州「三日月が言うと説得力があるような、ないような」
三日月「どっちだ」
加州「ははっ…このやり取りも前にしたかも」
赤羽「…ふふ」
加州「ん。主も笑えるようになってきたよね。これも俺たちのおかげかな」
三日月「五年の付き合いだ。主とて心の変化はあるだろう」
加州「そーね。そうかも」
赤羽「・・・。加州。しーちゃんも宗近も、君に相談したくなかったわけじゃない。私が口止めをしていた。だから、ごめんね」
加州「・・・ん、わかった。主に口止めされたらあいつ絶対口割らないよね。なるほどね・・・うん。うん。・・・いや、も~!まだ頭が混乱して受け入れられないけど!・・・あいつが決めたなら、仕方ないのかなぁ」(ブツブツ)
赤羽「二人が本丸を出るのは年明け。それを、今日みんなに話すつもり」
加州「あぁ、これは今日大騒ぎになんなぁ。胸騒ぎの原因これかー?・・・最初に聞いといて良かったかも」
三日月「一一と言うことは、主。俺が頭を下げなくとも、アレが本丸を出ることはすでに決まっていたということになるな」
赤羽「そう。でも、三日月の口から言ってもらえて良かった。刀剣男士としての在り方を、考えてくれていたことは宗近も喜ぶ」
三日月「・・・ははは。俺の主は人が悪いな」
赤羽「・・・一一月が、出てきたね」
加州「え?」
三日月「あぁ、本当だな。日の出は近いが、綺麗に見えるな」
加州「うん・・・ホントに。ちゃんと三日月が見える」
赤羽「・・・」
加州「主。あのさ、多分これから大変になるよ。・・・なんて、言われなくてもあんたは分かってるだろうけどさ」
赤羽「・・・うん」
加州「それでも俺は主の刀で、そんでもって最初に選んでもらったことを誇りにこの本丸の刀剣男士をまとめあげていくつもり。これからも、あんたを支えさせてよね」
三日月「そうだな。五周年という節目は変動と決意の年となるか。慌ただしくなるだろうが俺達に任せて、主はどっしりと腰を落ち着けていれば良い。刀剣の主として、これからもよろしく頼むぞ」
赤羽「・・・ありがとう。こちらこそ、よろしく」
一一一一一一一一一一
これは本丸の住人が、巡る季節の中で笑ったり馬鹿なことしたり不思議な体験をしながら刀剣男士と絆を紡ぐ物語・・・の一端です
一本丸・庭一
加州「えっ?!ちょっと、主?それに三日月!」
赤羽「・・・加州」
三日月「おお、廊下に立っているのは加州か。早いな。まだ夜明け前だが、もう起きたのか?」
加州「それはこっちの台詞だって!まだこんなに暗くてさっむいのに何してんの?風邪引くだろ。主が!」
三日月「ははは、俺の心配もしてくれ」
加州「してほしかったら寒空の下に突っ立ってんなよ!・・・も~、主まで巻き込んで何してるの?」
三日月「月見だ」
加州「は?」
赤羽「加州も、一緒に見る?」
加州「え、えぇー・・・正直、寒すぎて外出んのツラい・・・けどっ、見る!すぐ行くから待ってて」
赤羽「うん」
三日月「暖かくして来るんだぞ」
(間)
加州「一一て、月見えないじゃん」
赤羽「これから」
加州「これから?」
三日月「今宵は逆三日月…夜明け前に昇る月よ。東の空より見えてくるぞ」
加州「ふぅん…?東って、あっち?」
三日月「そうだな」
加州「山の木々に隠れて見えなくない?」
三日月「だが、いつかは見える」
加州「ふぅん…」
三日月「つまらないか?」
加州「まぁ…ちょっとね?こう言ったら悪いけど月が見える頃には空が白んでくるよ。そしたらさ、月見えなくない?」
三日月「そう思うか。まぁ、退屈になったら部屋に戻るといい。いつもならまだ眠っている時間だろう?」
加州「じょーだん。主一人占めしてんの知っちゃったからね。意地でも月見してやるよ。・・・部屋に戻っても眠れる気がしないし」
赤羽「?…何かあった」
加州「あったもなにも、今日は主が本丸に来てちょうど五年目の日でしょ?特別な日だからかな。なんか目が覚めちゃって落ち着かないんだよね」
赤羽「そう…」
加州「てか三日月ズルくない?主だけ誘って月見なんてさ、抜けがけもいいとこ」
三日月「はっはっは。加州は勘が良いな。こんな時間に起きているのは警邏の者かじじいくらいだが・・・」
加州「何笑ってんだか。まったく、油断も隙もない…主もよく付き合うよね?寒い中見えるか分からない月を待つなんてさぁ、俺なら無理。せめて見えた頃に呼んでもらいなよ」
赤羽「…ううん。月を待つのも、月見の醍醐味」
加州「えー?」
三日月「流石は主。月見の作法を心得ているな」
加州「そゆもん?」
赤羽「・・・三日月、私は待つよ。月が昇っても」
加州「え?」
三日月「・・・」
赤羽「私に、話したいことがあるなら聞く。迷っているなら、待つよ」
三日月「・・・。・・・ああ、主は分かっていたか。いや、励起の技を持つ審神者には、物の…俺達の心が分かるか。一一そうだな。月見を口実に主に話しておきたいことがあった。だが、話すべきではないと思う自分もいる・・・主には俺が何を言いたいのか、待たずとも分かるのではないか?」
赤羽「・・・」
三日月「・・・」
加州「えっとー・・・俺、お邪魔?」
三日月「いや、これは主の最初の刀である、お前にも聞いてもらうのが良いのかもしれない。
・・・一一今より五年と九ヶ月前。この本丸に三日月宗近が二振り顕現した日の話だ」
・・・・・・
三日月「あの時、主はまだ本丸には居らず…加州は留守居役を任されたのだったな」
加州「・・・そうねー。顕現してすぐ主とは離ればなれにされて、主のいない本丸を守るように言われた。で、そん時に小狐丸と三日月宗近もついてきた。俺だけじゃ頼りないのかって気に入らなかったけどさ、すぐに理由が分かったよ」
三日月「時間遡行軍の襲撃」
加州「そ。でも敵の狙いの主はここにはいなかった。同時に襲撃された本部を守るために内緒でそっちに戻ってたからね。いないはずの主が本部にいて奴らかなり動揺したって聞いたよ」
赤羽「・・・どうかな。私は、作戦の一部に過ぎない」
加州「主は頑張ったよ。大きな役割を果たしてきたんだから胸張っていい」
三日月「加州も、だな。本丸の方も襲撃を退けて事なきを得たようだな。大したものだ」
加州「俺は何も…。まさか一騎当千の強者が混ざり込んでるなんて思わなかったんだろうね。三日月宗近…いや宗近は政府の精鋭。敵襲には慣れっこだったわけでしょ?あんなのと知り合いだった藤代にもビックリだけど」
赤羽「宗近は、元々しーちゃんの護衛。だから、私の代わりに本丸に入ってもらう時に、紛れ込ませることが出来た」
加州「そっか」
三日月「・・・そうだ。もう一人の俺は強者だ。そしてその日の暮れに顕現した俺は所在なく、刀解されるのを待つ他はなかった。だがアレは俺を主の三日月宗近と見立て、自身は記録役の刀として振る舞った。
一一・・・主よ。あの空に浮かぶ三日月ように、この本丸にも三日月が夜明けと日暮れに現れた。夜明けの三日月は陽が昇れば薄らぐ。主よ、俺はアレを三日月として輝かせてやりたいのだ」
赤羽「・・・」
三日月「・・・頼む」
赤羽「・・・、・・・分かった」
三日月「・・・そうか。有難い」
加州「え、ちょっと待って。つまりどうゆうこと?」
赤羽「・・・加州。宗近を、政府に還すよ」
加州「!」
赤羽「そして…しーちゃんの、記録役の任も解く」
・・・・・・
加州「・・・は?・・・え、なんで」
赤羽「宗近は襲撃に備えるため、しーちゃんは私の代役のため、協力してもらっていた。二人の役目はすでに終わっている」
加州「や、百歩譲って宗近はわかるよ?でも藤代は今は記録役で、主の補佐として雇われてるんだから今まで通りで良くない?」
赤羽「宗近にはしーちゃんを連れ戻す役割もある、らしい。役目を終えても政府に戻らないのはその為」
加州「・・・」
赤羽「政府からも再三返還を求められていた。それに、私は応じなかった」
加州「・・・それは、どうして」
赤羽「初めてあの子を見た時、笑っていても、心が空っぽだった。…あそこに戻すわけにはいかない。だから引き留めていた」
加州「・・・だ、だったらさ~このままでいいじゃん!あいつはあんたを神様みたいに思ってて、あんたがいないと生きていけないよ?還したらさ、また地獄を見るだけだろ?」
赤羽「それが、あの子の望み。随分前から考えていたよ。加州、わかって一一」
加州「は?・・・ウソだろ」
赤羽「・・・」
加州「だって、あいつ本部の奴らに呼び出されるのあんなに嫌がってたのに、そんなの望むはずない」
三日月「・・・加州」
加州「・・・」
三日月「加州。お前は主の最初の刀だ。主の決定をお前が認めなければ他の者も納得しないだろう。別れは辛いが飲み込むのだ…」
加州「・・・三日月は、知ってたの」
三日月「・・・、もう一振りの俺が藤代の刀となることを選んだ時から、薄々な」
加州「・・・、・・・俺、何も聞いてない。これでも本丸の門を一緒に開けたっていう仲間意識?そーゆーの、あったつもりだった。・・・だけど、あいつホント主以外に言わなすぎだろ」
赤羽「・・・。ごめんね」
加州「主が謝ることじゃないよ」
赤羽「君たちは、歴史を守る為に在る。私たちは、それを君たちに願い、力を与える。どちらも不可欠。欠けたら、この戦いは負ける」
三日月「・・・」
赤羽「宗近の戦力を、個人の情で留めてはおけない。あの子の力も、この本丸に留めてはいけない。欠けたら負ける。そういうところまで来ている」
加州「主…?」
赤羽「・・・。しーちゃんは、大丈夫。ちゃんと笑えるようになった。もう昔の姿はないよ。みんなのおかげ」
三日月「それは、どうだろうな」
加州「・・・。そーね。あいつの救いは主だけだから・・・って前にも同じようなこと話した気がするな」
三日月「そうだな。…まぁ、ここに主がいて俺達もいる。ここで過ごした記憶が、決して悪い方には向かわせないだろう」
加州「三日月が言うと説得力があるような、ないような」
三日月「どっちだ」
加州「ははっ…このやり取りも前にしたかも」
赤羽「…ふふ」
加州「ん。主も笑えるようになってきたよね。これも俺たちのおかげかな」
三日月「五年の付き合いだ。主とて心の変化はあるだろう」
加州「そーね。そうかも」
赤羽「・・・。加州。しーちゃんも宗近も、君に相談したくなかったわけじゃない。私が口止めをしていた。だから、ごめんね」
加州「・・・ん、わかった。主に口止めされたらあいつ絶対口割らないよね。なるほどね・・・うん。うん。・・・いや、も~!まだ頭が混乱して受け入れられないけど!・・・あいつが決めたなら、仕方ないのかなぁ」(ブツブツ)
赤羽「二人が本丸を出るのは年明け。それを、今日みんなに話すつもり」
加州「あぁ、これは今日大騒ぎになんなぁ。胸騒ぎの原因これかー?・・・最初に聞いといて良かったかも」
三日月「一一と言うことは、主。俺が頭を下げなくとも、アレが本丸を出ることはすでに決まっていたということになるな」
赤羽「そう。でも、三日月の口から言ってもらえて良かった。刀剣男士としての在り方を、考えてくれていたことは宗近も喜ぶ」
三日月「・・・ははは。俺の主は人が悪いな」
赤羽「・・・一一月が、出てきたね」
加州「え?」
三日月「あぁ、本当だな。日の出は近いが、綺麗に見えるな」
加州「うん・・・ホントに。ちゃんと三日月が見える」
赤羽「・・・」
加州「主。あのさ、多分これから大変になるよ。・・・なんて、言われなくてもあんたは分かってるだろうけどさ」
赤羽「・・・うん」
加州「それでも俺は主の刀で、そんでもって最初に選んでもらったことを誇りにこの本丸の刀剣男士をまとめあげていくつもり。これからも、あんたを支えさせてよね」
三日月「そうだな。五周年という節目は変動と決意の年となるか。慌ただしくなるだろうが俺達に任せて、主はどっしりと腰を落ち着けていれば良い。刀剣の主として、これからもよろしく頼むぞ」
赤羽「・・・ありがとう。こちらこそ、よろしく」
一一一一一一一一一一
これは本丸の住人が、巡る季節の中で笑ったり馬鹿なことしたり不思議な体験をしながら刀剣男士と絆を紡ぐ物語・・・の一端です
