とある本丸の日常会話 [完結]

小話その48「他本丸の住人は元気が出てきたようです」



一客間一
緑里「あか姉ぇぇぇ~っ!またお話し聞いてぇ~」

赤羽「うん。聞くよ」

緑里「ありがと~・・・」

鶯丸「おお、これはこれは。来て早々に主に泣きつくとは、何が起きた」

平野「あ、鶯丸様。その、毎年10月に入るとこのように押し掛けて・・・ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

鶯丸「俺は特に迷惑は掛けられていないが、主は迷惑なのか?」

赤羽「ううん。迷惑じゃない」

鶯丸「だそうだ。迷惑でないから、謝るな」

平野「あ、は、はい!申し訳ありません」

鶯丸「ふっ…だから謝るな、平野」

平野「は、はい!あ、えと…ありがとうございます」

鶯丸「ははは、今度は感謝されてしまったな。それで、そちらの主は何がそんなに不安なんだ。秋の気候に物悲しさでも覚えるのか?」

緑里「…そうだよ、悲しいよ。10月はドキっちがいないんだから!」

鶯丸「どき、ち?」

平野「こちらの本丸の記録役です。10月は記録役を登用していない本丸に、実働している記録役が訪問する「巡回月間」ですから今我々の本丸には記録役がいません。それを主は悲しんでいるのです」

鶯丸「なるほどなぁ」

平野「・・・あの、鶯丸様。こちらの記録役も同じく外へ出ているはずですが」

鶯丸「ん?あぁ、そうだったな」

緑里「ウグさん…もしかして、忘れて」

鶯丸「まぁ、細かいことは気にするな」

緑里「こ、細かいことかなぁ?心配にならない?そこの審神者がいい人とも限らないし」

鶯丸「心配、か。どうだろうな」

緑里「してなさそうだね…。ひと月もいるってけっこー警戒されると思うよ?そんなとこに一人で行かせるなんてわたしは心配だよ。毎日、ドキっちが無事に過ごせますようにってお祈りしてるもん」

鶯丸「そうか、そうか。それは心配だな。だが嘆いても仕方ないことだ。まぁ、茶でも飲んで落ち着け」

緑里「マイペース!・・・あーあ、ドキっち今頃何してるのかな。メールもダメって言われてるのホント、ストレスだよ」

赤羽「そうだね。連絡取れないのは、不安」

緑里「だよね!ドキっちはわたしの本丸の大切な一員でもはや家族だよ?家族と連絡取るくらいいいじゃない。ドキっちがいないと寂しすぎてなんにも出来ないよー」

平野「依存しすぎはどうかと思いますが…あの方が主にとって欠かせない人物であることは間違いないですよね」

緑里「そうだよ。それにもうずっと助けられてばかりで!任務報告とかお金の管理とか本丸で必要な物がちゃんと足りてるかチェックしたりとかとかとか…ホント言ったらキリがないけど本丸はドキっちが回してると言っても過言ではないよ!」

鶯丸「胸を張って言うことじゃないな」

平野「・・・はい」

緑里「でも事実だもん。…情けないんだけど、わたし別の土地から引っ越してこっち来たでしょ?」

鶯丸「そうだったのか」

緑里「そうなの。素質があるとかで期待されてたけど力の使い方がぜんっぜんわかんなくて他所の審神者にはバカにされるし、あまりの出来の悪さに政府も呆れて別の審神者を置くから~って本丸も追い出されちゃったわけ」

平野「・・・」

緑里「でも上の人がチャンスをくれてね、場所は遠いけど仕事をサポートをしてくれる記録役を置いてもう一度やってみないかって言われて、それでみんなで引っ越したんだよね」

平野「はい。一時はどうなることかと思いましたが…無事に本丸を立て直すことができました。今後何が起きたとしても、僕は何処までもお供します!地獄までも」

緑里「あはは、それちょっと怖い。でもありがとね。・・・本丸が今でも動いてるのはほとんどドキっちのおかげって言うのはホント。わたし、頭わるいからね。審神者の仕事はわたしにしか出来ないけど、それ以外のことは頭が回らないから、そこを仕切ってくれる人がいるのは本ッッ当にありがたいよ」

鶯丸「なるほどなぁ。そっちの記録役は頼りになる奴なのか。…ああ、こっちのは毎日バタバタと騒がしくて、特に主がまだ本丸にいない時なんかは落ち着いて茶も飲めなかったな」

赤羽「そう…苦労かけたんだね」

鶯丸「そちらの記録役と交換したいくらいだ」

赤羽「鶯丸」

鶯丸「冗談だ」

緑里「いや~…わたしから見たらしーちゃんはスゴいと思うよ。ウグさんとかさ」

鶯丸「なんだ?」

緑里「フツーに顕現させてるし」

鶯丸「?…ああ、なんか呼ばれたな」

緑里「「なんか呼ばれたな」??わたし、呼び掛けに応えてもらえるまで一年以上かかったんだけど?それにわたしの方が先輩なのに教わること多かったし!」

平野「け、経験の差ですよ!主はそれまで一般の方と同じ暮らしをしていましたが、あの方は…」

緑里「それはそ~だけどぉ、それで助けてもらったことも多いけどぉ、一瞬でも先輩風吹かせたかった!」

平野「あ、はは…」

緑里「まぁでもね、ドキっちにはたくさん助けてもらって、心のオアシスのあか姉とも出会えて、わたしはここに来て良かったな~って思うよ」

赤羽「私も、里子ちゃんに会えて、嬉しい」

緑里「うふふ。ありがと、あか姉。あ!もちろん、ひらのんにも感謝してるよ!みんながいるから頑張れるんだよ~!」

平野「わっ?あ、主??わかっています!主が僕たちを頼りとしてくれて大事に思ってくれているお心は伝わっています!だから、主が、と言うよりも女性が軽率に臣下に抱きつくのはお止めください~!」

緑里「あっはは、ひらのん紳士~」

平野「もう…」

赤羽「里子ちゃん。元気、出た?」

緑里「うん!元気出た。いないのは寂しいけど、思ったらドキっちの頑張りで記録役が増えたらわたしみたいにぶきっちょな審神者はきっと助かるよ。だからドキっちの無事も祈りながら応援することにする」

赤羽「うん。そうだね」

鶯丸「・・・ふ、落ち着いたようだな。では、茶を飲め。良い茶葉が手に入ったんだ。せっかくだから味わっていけ」

緑里「お、お~。隙あらばすすめてくる。ホントお茶好きだよね。せっかくだからお言葉に甘えていただくけど・・・。あ、美味し」

鶯丸「!…そうか、上手いか。そうだろう、そうだろう」

平野「これは、本当に良い茶葉ですね。鶯丸様、よろしいのですか?僕にまで振る舞っていただかなくても…」

鶯丸「気にするな。主の友人と護衛の平野に俺からの労いの気持ちだ」

緑里「そっか。ありがとう、ウグさん」

鶯丸「…人の縁とは不思議なもんだ。良いことも悪いこともあるが、それでも大事にしろ。一人一人の縁が歴史を紡いできたようなものだからな」

緑里「うん」

平野「そうですね・・・」

鶯丸「茶はそれに一役買ってくれる。主の縁も良いものであってほしいからな」

赤羽「そう…ありがとう」

緑里「ウグさんのお茶好きにそんな意味があったなんて。隙あらばお茶休憩したい系男士だと思ってた」

鶯丸「休み休みやるのも大事だな」

緑里「否定しないんだね!?」

鶯丸「茶はいい…様々な可能性があるもんだ」

緑里「お茶への信頼がすごい!・・・珍しく大包平さんの話しをしないと思えば、何だかなぁ」

赤羽「茶愛が熱い」

緑里「そうそう」

平野「ふふ…では、このご縁も温かく続くよう、僕からもよろしく申し上げます」

緑里「お茶だけに?」

鶯丸「ははは、上手いことを言うなぁ」









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里子ちゃんも少し成長したようです
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