とある本丸の日常会話 [完結]
小話その43「本丸の住人と秘密の話」
一縁側一
不動「あめあめ ふれふれ ふふふんふ~ん♪」
赤羽「降ってきたね」
不動「!!・・・あ、主。いつからそこに?!」
赤羽「今」
不動「えっと、あ…はは。聞いてた?」
赤羽「歌ってたね」
不動「やっぱ聞かれてたぁぁぁ…っ!」
赤羽「・・・不動は雨、好き?」
不動「え?うーん・・・嫌いじゃないけど、好きという程でもないかな。降らないと困るけど濡れると面倒だし・・・あ、ごめん。戸閉めたほうがいいかな?」
赤羽「そうだね…吹き込んできたら、閉めてほしい」
不動「わかった。じゃあもう少しこうして座ってようかな。・・・ここ、なんか落ち着くんだ。たまに一人でぼーっと外を眺めてると色んな音がしてきてね」
赤羽「?」
不動「今は雨の降る音がするよね。いつもは鳥とか虫の声とか、風に吹かれた葉擦れの音とかして・・・なんて。ホントはどこかでみんなが笑ってる声とか騒いでる声なんかの方がよく聞こえるんだけど、そういうのをぼーっと聞いてると面白いんだよね」
赤羽「そう…。さっきは楽しそうだった」
不動「あ!う、歌のこと言ってる?あれは聞かなかったことにしてほしいな…(ゴニョゴニョ)」
赤羽「私も、小さい時はよく歌った」
不動「え?主が?」
赤羽「うん」
不動「へぇ~。なんか意外。あ、いや主は物静かな人だから人前で歌とか歌わないと思ってさ」
赤羽「そう…昔は、やんちゃだったよ」
不動「えっ!?ウソッ!!」
赤羽「本当。よく「うるさい」と叱られた」
不動「へ、へぇぇぇ・・・う~ん全然想像つかない・・・他には?主はどんな子供だったの一一」
山伏「おおっ!これは主殿に不動殿ではないかっ!!」
不動「ぅわあぁっ!?やっ…やまぶしさん?雨降ってんのにどうして外から現れるの!?」
山伏「カッカッカッ!拙僧は日の出と共に本丸を出て、山へ入っていたのである。今帰還したぞ、主殿」
赤羽「おかえり。地蔵も一緒に…?」
不動「え」
地蔵「いや吾は笠を届けたまで…。降られるから山は控えよと忠告したのだが…」
山伏「申し訳ない。山修行への高まる気持ちを抑えきれなかったのである。拙僧もまだまだであるな。お気遣い感謝であるぞ、地蔵殿!」
不動「(地蔵さん…居たんだ。お地蔵さんみたいに動かないから気づかなかった…なんて言えないよなぁ)」
赤羽「・・・笠地蔵」
不動「!?・・・え?え??主、今」
地蔵「それは地蔵が笠の施しをする話しではないはずなのだがな…」
山伏「カッカッカッ。そう皮肉を申すな地蔵殿」
不動「・・・誰も主の駄洒落に驚かない」
地蔵「それはそうと…お二方はここで何を。この雨でも眺めていたのか…?」
赤羽「ううん。私は立ち寄っただけ。不動は歌っていた」
地蔵「ほぉ…」
山伏「歌であるか!」
不動「主っ、それ言わないでっ!あぁ~恥ずかしいなぁ・・・一一あっ!でもね、主も小さい時はよく歌ってたんだって。ちょっと意外じゃない?」
山伏「おお、そうであるか!主殿は寡黙な御仁であるから詩や歌を口遊むところは拙僧にも想像がつかぬが・・・うむ!主殿にもそんな愛らしい時があったのであるなぁ!カッカッカッ」
赤羽「…小さい時は、お喋りだった。それが今は出来ない。ごめんね」
山伏「む?何を謝る必要がある。"剛毅朴訥仁に近し"と言うではないか。朴訥としたところは悪いことではない。むしろ我等刀剣の主として相応しいのではないだろうか」
赤羽「・・・どうかな」
不動「ご、ごうき…?なに?」
地蔵「剛毅とは意思の強さ。朴訥とは無口であること。主は口先だけであったり、相手の顔色を窺うような者ではないということだ。そういう者には仁の心が備わるだろう…という論語だ」
不動「なるほど。論語」
山伏「・・・む?雨が強くなってきたか。主殿、拙僧はここで失礼するである。ついでに採取してきた薬草を薬研殿に届けてやらねばならぬしなぁ」
不動「あ、ホントだ。吹き込む前にここも閉めないとな~・・・あ、山伏さん。よく見ると結構濡れてるみたいだし、足元泥で汚れてるよ。お風呂入ってきちゃったら?薬研には俺が渡しておくよ」
山伏「おお、これはかたじけない。どれ…籠の中は濡れぬようにしておいたが、どうだろうか」
不動「んー・・・大丈夫。多分」
山伏「カッカッカッ!では、宜しく頼むぞ不動殿」
不動「うん!じゃあ主。俺、薬研のとこ行くから」
赤羽「うん…ここは閉めておくよ」
不動「ごめんね。よろしく!」(パタパタ…)
赤羽「・・・」
地蔵「・・・」
赤羽「地蔵。ここは閉める。雨がひどくなる前に中に入ったほうがいい」
地蔵「そうだな…では失礼する前に、少しいいだろうか」
赤羽「…なに?」
地蔵「一一主はご苦労があって今のようになられたようだな。歌うことはまだ無理…なれど失った言葉や感情をよくぞここまで取り戻したものだ…。その並々ならぬ努力が主の心を強くし、吾らの主として相応しい仁の心を得たのだ。吾は主を誇りに思うぞ…」
赤羽「・・・。・・・どうして」
地蔵「主は話せぬことをいつも悪いものと考えているようであるからな…。だが誰一人そうとは一一」
赤羽「違う。私が話せなかったこと。どうして知っている」
地蔵「・・・」
赤羽「誰にも話していない」
地蔵「・・・主。これも、地蔵菩薩の加護よ」
赤羽「・・・?」
地蔵「ここに在る地蔵行平は地蔵菩薩の加護を背負いし刀剣男士…。人々を救済せんとする地蔵菩薩は、この八島では特に幼子を守ると信じられてきた」
赤羽「・・・うん」
地蔵「…その加護は吾に、主の過ごしてきた時の巡り合わせを断片的にみせるのだ」
赤羽「・・・」
地蔵「だが「みえる」だけで貴殿の心の在り方は吾には理解らぬ。…主よ、貴殿は幼い頃はよく笑う子供だったようだ。そして、一夜にして感情と言葉を失った。…「みえる」だけでは理解らぬのだ。地蔵菩薩の加護も届かぬままに…あれは、まるで禁忌に触れたかの一一」
赤羽「地蔵」
地蔵「・・・」
赤羽「・・・良かった」
地蔵「良かっ…た?」
赤羽「心配だった。でも地蔵菩薩は君に何も見せていない。それでいい。それがわかって、良かった」
地蔵「主…?」
赤羽「刀剣男士は人知を越えた存在。何を起こしても不思議はない。でもそれ以上…踏み込んできてはいけないよ」
地蔵「・・・」
赤羽「君の刀剣男士としての在り方は…大変。みえてしまうから…。救いを求める声に、例え敵方でも救済しようとしてしまう」
地蔵「!…それは、あの時のことは今でも申し訳ないと思っている。刀剣男士としての役割に反する行動であると理解はしていた…。だが、吾は一一」
赤羽「それでもいい。それが地蔵行平。でも、私のことは詮索しないほうがいい。…「みえる」ということは「みられている」ということ」
地蔵「・・・。・・・そうか」
赤羽「今の私に不自由はない」
地蔵「そうか」
赤羽「だから誰にも言わないでほしい。私は…私。それだけで充分」
地蔵「主よ…吾は元よりそのつもりだ。いつまでも仁君の御心を守護しよう。一一一諸佛護臨…加護ぞ、ここに」
赤羽「うん…ありがとう」
一一一一一一一一一一一一一一一
赤羽の無口には色々理由があるようです。
そして地蔵の加護云々は原作にはない設定です!(いつものやつ)
一縁側一
不動「あめあめ ふれふれ ふふふんふ~ん♪」
赤羽「降ってきたね」
不動「!!・・・あ、主。いつからそこに?!」
赤羽「今」
不動「えっと、あ…はは。聞いてた?」
赤羽「歌ってたね」
不動「やっぱ聞かれてたぁぁぁ…っ!」
赤羽「・・・不動は雨、好き?」
不動「え?うーん・・・嫌いじゃないけど、好きという程でもないかな。降らないと困るけど濡れると面倒だし・・・あ、ごめん。戸閉めたほうがいいかな?」
赤羽「そうだね…吹き込んできたら、閉めてほしい」
不動「わかった。じゃあもう少しこうして座ってようかな。・・・ここ、なんか落ち着くんだ。たまに一人でぼーっと外を眺めてると色んな音がしてきてね」
赤羽「?」
不動「今は雨の降る音がするよね。いつもは鳥とか虫の声とか、風に吹かれた葉擦れの音とかして・・・なんて。ホントはどこかでみんなが笑ってる声とか騒いでる声なんかの方がよく聞こえるんだけど、そういうのをぼーっと聞いてると面白いんだよね」
赤羽「そう…。さっきは楽しそうだった」
不動「あ!う、歌のこと言ってる?あれは聞かなかったことにしてほしいな…(ゴニョゴニョ)」
赤羽「私も、小さい時はよく歌った」
不動「え?主が?」
赤羽「うん」
不動「へぇ~。なんか意外。あ、いや主は物静かな人だから人前で歌とか歌わないと思ってさ」
赤羽「そう…昔は、やんちゃだったよ」
不動「えっ!?ウソッ!!」
赤羽「本当。よく「うるさい」と叱られた」
不動「へ、へぇぇぇ・・・う~ん全然想像つかない・・・他には?主はどんな子供だったの一一」
山伏「おおっ!これは主殿に不動殿ではないかっ!!」
不動「ぅわあぁっ!?やっ…やまぶしさん?雨降ってんのにどうして外から現れるの!?」
山伏「カッカッカッ!拙僧は日の出と共に本丸を出て、山へ入っていたのである。今帰還したぞ、主殿」
赤羽「おかえり。地蔵も一緒に…?」
不動「え」
地蔵「いや吾は笠を届けたまで…。降られるから山は控えよと忠告したのだが…」
山伏「申し訳ない。山修行への高まる気持ちを抑えきれなかったのである。拙僧もまだまだであるな。お気遣い感謝であるぞ、地蔵殿!」
不動「(地蔵さん…居たんだ。お地蔵さんみたいに動かないから気づかなかった…なんて言えないよなぁ)」
赤羽「・・・笠地蔵」
不動「!?・・・え?え??主、今」
地蔵「それは地蔵が笠の施しをする話しではないはずなのだがな…」
山伏「カッカッカッ。そう皮肉を申すな地蔵殿」
不動「・・・誰も主の駄洒落に驚かない」
地蔵「それはそうと…お二方はここで何を。この雨でも眺めていたのか…?」
赤羽「ううん。私は立ち寄っただけ。不動は歌っていた」
地蔵「ほぉ…」
山伏「歌であるか!」
不動「主っ、それ言わないでっ!あぁ~恥ずかしいなぁ・・・一一あっ!でもね、主も小さい時はよく歌ってたんだって。ちょっと意外じゃない?」
山伏「おお、そうであるか!主殿は寡黙な御仁であるから詩や歌を口遊むところは拙僧にも想像がつかぬが・・・うむ!主殿にもそんな愛らしい時があったのであるなぁ!カッカッカッ」
赤羽「…小さい時は、お喋りだった。それが今は出来ない。ごめんね」
山伏「む?何を謝る必要がある。"剛毅朴訥仁に近し"と言うではないか。朴訥としたところは悪いことではない。むしろ我等刀剣の主として相応しいのではないだろうか」
赤羽「・・・どうかな」
不動「ご、ごうき…?なに?」
地蔵「剛毅とは意思の強さ。朴訥とは無口であること。主は口先だけであったり、相手の顔色を窺うような者ではないということだ。そういう者には仁の心が備わるだろう…という論語だ」
不動「なるほど。論語」
山伏「・・・む?雨が強くなってきたか。主殿、拙僧はここで失礼するである。ついでに採取してきた薬草を薬研殿に届けてやらねばならぬしなぁ」
不動「あ、ホントだ。吹き込む前にここも閉めないとな~・・・あ、山伏さん。よく見ると結構濡れてるみたいだし、足元泥で汚れてるよ。お風呂入ってきちゃったら?薬研には俺が渡しておくよ」
山伏「おお、これはかたじけない。どれ…籠の中は濡れぬようにしておいたが、どうだろうか」
不動「んー・・・大丈夫。多分」
山伏「カッカッカッ!では、宜しく頼むぞ不動殿」
不動「うん!じゃあ主。俺、薬研のとこ行くから」
赤羽「うん…ここは閉めておくよ」
不動「ごめんね。よろしく!」(パタパタ…)
赤羽「・・・」
地蔵「・・・」
赤羽「地蔵。ここは閉める。雨がひどくなる前に中に入ったほうがいい」
地蔵「そうだな…では失礼する前に、少しいいだろうか」
赤羽「…なに?」
地蔵「一一主はご苦労があって今のようになられたようだな。歌うことはまだ無理…なれど失った言葉や感情をよくぞここまで取り戻したものだ…。その並々ならぬ努力が主の心を強くし、吾らの主として相応しい仁の心を得たのだ。吾は主を誇りに思うぞ…」
赤羽「・・・。・・・どうして」
地蔵「主は話せぬことをいつも悪いものと考えているようであるからな…。だが誰一人そうとは一一」
赤羽「違う。私が話せなかったこと。どうして知っている」
地蔵「・・・」
赤羽「誰にも話していない」
地蔵「・・・主。これも、地蔵菩薩の加護よ」
赤羽「・・・?」
地蔵「ここに在る地蔵行平は地蔵菩薩の加護を背負いし刀剣男士…。人々を救済せんとする地蔵菩薩は、この八島では特に幼子を守ると信じられてきた」
赤羽「・・・うん」
地蔵「…その加護は吾に、主の過ごしてきた時の巡り合わせを断片的にみせるのだ」
赤羽「・・・」
地蔵「だが「みえる」だけで貴殿の心の在り方は吾には理解らぬ。…主よ、貴殿は幼い頃はよく笑う子供だったようだ。そして、一夜にして感情と言葉を失った。…「みえる」だけでは理解らぬのだ。地蔵菩薩の加護も届かぬままに…あれは、まるで禁忌に触れたかの一一」
赤羽「地蔵」
地蔵「・・・」
赤羽「・・・良かった」
地蔵「良かっ…た?」
赤羽「心配だった。でも地蔵菩薩は君に何も見せていない。それでいい。それがわかって、良かった」
地蔵「主…?」
赤羽「刀剣男士は人知を越えた存在。何を起こしても不思議はない。でもそれ以上…踏み込んできてはいけないよ」
地蔵「・・・」
赤羽「君の刀剣男士としての在り方は…大変。みえてしまうから…。救いを求める声に、例え敵方でも救済しようとしてしまう」
地蔵「!…それは、あの時のことは今でも申し訳ないと思っている。刀剣男士としての役割に反する行動であると理解はしていた…。だが、吾は一一」
赤羽「それでもいい。それが地蔵行平。でも、私のことは詮索しないほうがいい。…「みえる」ということは「みられている」ということ」
地蔵「・・・。・・・そうか」
赤羽「今の私に不自由はない」
地蔵「そうか」
赤羽「だから誰にも言わないでほしい。私は…私。それだけで充分」
地蔵「主よ…吾は元よりそのつもりだ。いつまでも仁君の御心を守護しよう。一一一諸佛護臨…加護ぞ、ここに」
赤羽「うん…ありがとう」
一一一一一一一一一一一一一一一
赤羽の無口には色々理由があるようです。
そして地蔵の加護云々は原作にはない設定です!(いつものやつ)
