とある本丸の日常会話 [完結]
小話その42「続・本丸の住人は物々交換をするようです」
一至本丸・山道一
藤代「はああ・・・山道きつい・・・タケノコが重い・・・足がつらい」
桑名「そんなとぼとぼ歩いてたら日が暮れるよ。君のかごが一番軽いんだから頑張ってよ」
藤代「無理です!体力のない人間にはこの道はツラいんですよぉ・・・休み休み行きます」
桑名「少し前までこのくらいの荷物持ってよく外に出てたじゃない。あの時はどうしてたの?」
藤代「じわじわ登ってました」
桑名「かたつむりみたいだ」
藤代「ふぅ・・・桑名さんも先に行ってください。短刀の皆さんは小豆さんが引率してどんどん行ってしまいましたよ」
桑名「それはね、みんな今日の夕飯を楽しみにしているからだよ。そろそろ準備に入る頃合いだと思うし、僕らも早くタケノコを届けてあげようよ。はい、押してあげるから少しは楽になるでしょ?」(ぐっ)
藤代「うわ、力つよ!ら、楽かもしれないけどっ、強制的に走らされる!のは!楽なのか?これ楽なのか?!」
桑名「遅れてる分取り戻すよ~っ」
藤代「楽じゃないやつこれーーっ!!」
(間)
桑名「藤代、体力なさすぎじゃない?」
藤代「さいしょから…言っていたはず…なんですけどねっ!(ぜぇぜぇ)」
桑名「じゃあ軽めに押すから、ゆっくり行こう」
藤代「はい・・・助かります」
桑名「今日はいい天気になったねー」
藤代「ホントですねー・・・暑いくらいだ」
桑名「・・・」
藤代「あ、鳥がいた」
桑名「・・・(なんだかなぁ…こうして"また"この子の後ろを歩くと…)」
藤代「なんか懐かしいなぁ…(ボソッ)」
桑名「えっ・・・!」
藤代「えっ、なんですか!何かいましたか?蛭?蛇?!」
桑名「違う、ごめん・・・えっと、今なにか言った?」
藤代「あ、あー・・・その、懐かしいなぁって思ったんですが、思えばまだ桑名さんいない時ですし、そもそも本丸に入る前のことで・・・」
桑名「?」
藤代「赤羽様の代わりに、加州さんを連れて本丸に入った時のことを思い出したんです。5年も前なんですけどね。その時も山道がツラくて加州さんにどやされながら登ったんですよ…」
桑名「あっはは。なんだか目に浮かぶよ。二人してぶつくさ文句言いながら山道歩いてたんだろうね・・・あ!そういえば、さっき小豆さんからちょうどその時のことを聞かれたよ」
藤代「え、なんで?」
桑名「さあ、なんでだろう?君が主に代わって本丸にいた時に、主はどこで何をしていたんだろうねって聞かれたんだ」
藤代「・・・」
桑名「藤代なら詳しいだろうし聞けばいいよって言ったんだけど、僕から聞いてほしいみたいで…なんだか遠慮してる感じだった。君にそんなの必要ないのにね?」
藤代「う、うーん・・・従来の刀剣男士の反応としては小豆さんが普通だと思うんですが」
桑名「よそよそしいのが?」
藤代「主以外の人間に対する警戒心ですね。…ただ、そういうの気にしない人が多いように思えます。心が広いのか、お気楽なのか」
桑名「そう言う君は僕らの心にずかずかと踏み込むことに躊躇しないよね。遠慮って言葉をどこに置いてきちゃったの?」
藤代「無神経なのは自覚してますが、さすがに人は選びますよ・・・一一顕現前から「夢で会った」なんて言うヤバいのもいるし(ボソッ)」
桑名「あはは。それ僕のことだー」
藤代「ぐええ聞こえ…って、か、かごに力かけるな!」
桑名「酷いよねぇ。君、夢のこと覚えてないんだもん。山姥切くん達から状況証拠は取れてるのに全然信じてくれないから未だ再会を素直に喜べない僕の気持ちも考えてよ」
藤代「信じられるか!怖すぎでしょ!?」
桑名「・・・」
藤代「何ですか」
桑名「・・・で?」
藤代「「で」?」
桑名「主はどこで何をしていたの?」
藤代「ああ、それ・・・赤羽様は東京にいました。時間遡行軍による大規模侵攻の情報を諜報部が掴みまして、政府軍の審神者は全員呼び戻されたんです。赤羽様もその一人でした」
桑名「へぇ。なんかすごいことさらっと言われちゃった」
藤代「いや皆さん知ってるものだと思ってたんですが、意外に知られてないんですね」
桑名「主は口下手だからね」
藤代「軽薄に多くを語らない慎ましい品性・・・素晴らしいと思いませんか」
桑名「うん、まぁ…口下手な主の側によく喋る君がいるのは、うまく調整が取れていいのかもしれないね」
藤代「と言うか、今の話は小豆さんと同じ刀派の燭台切さんは知ってるはずです。刀派に限らず皆さんコミュニケーションが取れてるので情報共有されてるものだと思ってました」
桑名「んー・・・全員が全員、とはいかないのかもね。誰が何をどのくらい知っているかなんていちいち確認出来ないと思うよ。興味の有り無しもあるし」
藤代「そういうものですか」
桑名「実際、言葉を尽くしても人の話を信じようとしない人がここにいるしねー」
藤代「・・・」
桑名「ねえ?」
藤代「・・・そ、それとこれとは別なのでは?」
桑名「同じことだよ。君に聞く耳がなければこみゅにけーしょんは成立しないんだよ?」
藤代「あー・・・ははは、ええっと・・・あぁ!本丸が見えてきましたね!皆さんがタケノコを待っています!早く持っていかなければっ」
桑名「あ。急に走り出して…も~、そんな元気なら最初から早く歩いてよ一一一・・・」
さわさわさわ
桑名「・・・風が出てきた。晴れ間は今日まで…明日からしばらく雨か。恵みの雨だねぇ」
さわさわさわ
桑名「・・・(夢の化け物はもういない。だからそんなに怖がらないでほしいんだけど、うまくいかないなぁ。一一僕があそこにいた理由。君なら考えてくれるよね)」
・・・・・・・・・
小話その1がまるで謎のまま、物語は進んだり進まなかったり・・・
コミュニケーションは難しいはなし
一至本丸・山道一
藤代「はああ・・・山道きつい・・・タケノコが重い・・・足がつらい」
桑名「そんなとぼとぼ歩いてたら日が暮れるよ。君のかごが一番軽いんだから頑張ってよ」
藤代「無理です!体力のない人間にはこの道はツラいんですよぉ・・・休み休み行きます」
桑名「少し前までこのくらいの荷物持ってよく外に出てたじゃない。あの時はどうしてたの?」
藤代「じわじわ登ってました」
桑名「かたつむりみたいだ」
藤代「ふぅ・・・桑名さんも先に行ってください。短刀の皆さんは小豆さんが引率してどんどん行ってしまいましたよ」
桑名「それはね、みんな今日の夕飯を楽しみにしているからだよ。そろそろ準備に入る頃合いだと思うし、僕らも早くタケノコを届けてあげようよ。はい、押してあげるから少しは楽になるでしょ?」(ぐっ)
藤代「うわ、力つよ!ら、楽かもしれないけどっ、強制的に走らされる!のは!楽なのか?これ楽なのか?!」
桑名「遅れてる分取り戻すよ~っ」
藤代「楽じゃないやつこれーーっ!!」
(間)
桑名「藤代、体力なさすぎじゃない?」
藤代「さいしょから…言っていたはず…なんですけどねっ!(ぜぇぜぇ)」
桑名「じゃあ軽めに押すから、ゆっくり行こう」
藤代「はい・・・助かります」
桑名「今日はいい天気になったねー」
藤代「ホントですねー・・・暑いくらいだ」
桑名「・・・」
藤代「あ、鳥がいた」
桑名「・・・(なんだかなぁ…こうして"また"この子の後ろを歩くと…)」
藤代「なんか懐かしいなぁ…(ボソッ)」
桑名「えっ・・・!」
藤代「えっ、なんですか!何かいましたか?蛭?蛇?!」
桑名「違う、ごめん・・・えっと、今なにか言った?」
藤代「あ、あー・・・その、懐かしいなぁって思ったんですが、思えばまだ桑名さんいない時ですし、そもそも本丸に入る前のことで・・・」
桑名「?」
藤代「赤羽様の代わりに、加州さんを連れて本丸に入った時のことを思い出したんです。5年も前なんですけどね。その時も山道がツラくて加州さんにどやされながら登ったんですよ…」
桑名「あっはは。なんだか目に浮かぶよ。二人してぶつくさ文句言いながら山道歩いてたんだろうね・・・あ!そういえば、さっき小豆さんからちょうどその時のことを聞かれたよ」
藤代「え、なんで?」
桑名「さあ、なんでだろう?君が主に代わって本丸にいた時に、主はどこで何をしていたんだろうねって聞かれたんだ」
藤代「・・・」
桑名「藤代なら詳しいだろうし聞けばいいよって言ったんだけど、僕から聞いてほしいみたいで…なんだか遠慮してる感じだった。君にそんなの必要ないのにね?」
藤代「う、うーん・・・従来の刀剣男士の反応としては小豆さんが普通だと思うんですが」
桑名「よそよそしいのが?」
藤代「主以外の人間に対する警戒心ですね。…ただ、そういうの気にしない人が多いように思えます。心が広いのか、お気楽なのか」
桑名「そう言う君は僕らの心にずかずかと踏み込むことに躊躇しないよね。遠慮って言葉をどこに置いてきちゃったの?」
藤代「無神経なのは自覚してますが、さすがに人は選びますよ・・・一一顕現前から「夢で会った」なんて言うヤバいのもいるし(ボソッ)」
桑名「あはは。それ僕のことだー」
藤代「ぐええ聞こえ…って、か、かごに力かけるな!」
桑名「酷いよねぇ。君、夢のこと覚えてないんだもん。山姥切くん達から状況証拠は取れてるのに全然信じてくれないから未だ再会を素直に喜べない僕の気持ちも考えてよ」
藤代「信じられるか!怖すぎでしょ!?」
桑名「・・・」
藤代「何ですか」
桑名「・・・で?」
藤代「「で」?」
桑名「主はどこで何をしていたの?」
藤代「ああ、それ・・・赤羽様は東京にいました。時間遡行軍による大規模侵攻の情報を諜報部が掴みまして、政府軍の審神者は全員呼び戻されたんです。赤羽様もその一人でした」
桑名「へぇ。なんかすごいことさらっと言われちゃった」
藤代「いや皆さん知ってるものだと思ってたんですが、意外に知られてないんですね」
桑名「主は口下手だからね」
藤代「軽薄に多くを語らない慎ましい品性・・・素晴らしいと思いませんか」
桑名「うん、まぁ…口下手な主の側によく喋る君がいるのは、うまく調整が取れていいのかもしれないね」
藤代「と言うか、今の話は小豆さんと同じ刀派の燭台切さんは知ってるはずです。刀派に限らず皆さんコミュニケーションが取れてるので情報共有されてるものだと思ってました」
桑名「んー・・・全員が全員、とはいかないのかもね。誰が何をどのくらい知っているかなんていちいち確認出来ないと思うよ。興味の有り無しもあるし」
藤代「そういうものですか」
桑名「実際、言葉を尽くしても人の話を信じようとしない人がここにいるしねー」
藤代「・・・」
桑名「ねえ?」
藤代「・・・そ、それとこれとは別なのでは?」
桑名「同じことだよ。君に聞く耳がなければこみゅにけーしょんは成立しないんだよ?」
藤代「あー・・・ははは、ええっと・・・あぁ!本丸が見えてきましたね!皆さんがタケノコを待っています!早く持っていかなければっ」
桑名「あ。急に走り出して…も~、そんな元気なら最初から早く歩いてよ一一一・・・」
さわさわさわ
桑名「・・・風が出てきた。晴れ間は今日まで…明日からしばらく雨か。恵みの雨だねぇ」
さわさわさわ
桑名「・・・(夢の化け物はもういない。だからそんなに怖がらないでほしいんだけど、うまくいかないなぁ。一一僕があそこにいた理由。君なら考えてくれるよね)」
・・・・・・・・・
小話その1がまるで謎のまま、物語は進んだり進まなかったり・・・
コミュニケーションは難しいはなし
