とある本丸の日常会話 [完結]

小話その40「本丸の住人が他本丸から帰ってきたようです」

一執務室一
藤代「赤羽様。定期報告会の出席、お疲れさまでした」

赤羽「うん。しーちゃんも留守番、ありがとう」

藤代「いえ!私は何も・・・はぁ、私も付き添いたかったのにそれが出来なかったことが本当に残念です。赤羽様のお帰りを心待ちにしていました」

赤羽「仕方ない。しーちゃんにはやらないといけないことがあった」

藤代「しかし・・・」

赤羽「こっちはいつもの報告会。里子ちゃんの所でオンライン会議に参加するだけ。それほど面倒もない」

藤代「赤羽様…!でも、私の方は今日でなくても良かったんです。それなのに、どうして、こう・・・あー、記録役として不甲斐ない!」

赤羽「しーちゃん、気にしないで」

藤代「!!・・・赤羽様が今日もお優しいっ」

村雲「一一一ねぇ」

赤羽「?」

村雲「もう、いい?護衛任務終わったんだから、俺も雨さんも出ていっていいよね…?」

赤羽「うん。今日はありがとう。村雲、五月雨」

五月雨「はい。また供の必要があれば、私達を呼んでください。よろこんで馳せ参じましょう」

村雲「・・・うん、雨さんと一緒なら。でも、あそこにはもう行きたくないや」

五月雨「雲さん」

村雲「あそこにいると、お腹…痛くなるから」

五月雨「・・・雲さん」

赤羽「・・・」

藤代「ん?・・・五月雨さん、「あそこ」と言うのはどこのことですか?里子さんの本丸以外に立ち寄った場所でも?」

五月雨「あ・・・いえ、緑里と名乗る審神者の本丸以外には何処にも。あちらの本丸の審神者と頭は仲がよろしいようで、報告会も共に参加していたのですが、雲さんは終始機嫌が悪くて一一」

藤代「・・・あー、主人を取られたと思っての嫉妬ですか?なるほど、分からないでもないですっ!」(グッ)

村雲「違うよ」

五月雨「違います」

藤代「えっ?!違わないでしょう。赤羽様ですよ?」

村雲「主が誰と仲良くしてようと、俺には関係ないよ…。そんなことよりもっと…もっと酷いんだ。思い出しただけでもお腹がぐるぐるする。…いたた」

赤羽「村雲。里子ちゃんに悪気はないよ。君を傷付けてしまったのは事実だけど、許してあげてほしい」

村雲「違う…俺は傷つけられてないよ。名誉を、傷つけられたのは雨さんだ。雨さんにあんな、酷いことを言うから俺は・・・!」

五月雨「雲さん。私は気にしていませんよ」

村雲「雨さん。でも・・・っ」

藤代「・・・なんだ?里子さんが他人を傷付けるようなことを言うとは信じられませんが・・・いや、でもたまにうっかり余計なことを口走るからなぁ。悪気はないにしても」

赤羽「うん…悪気はなかったんだよ」

藤代「赤羽様?」

村雲「っ!・・・とにかく次にあの本丸に行く時は、お願いだからその記録役を連れて行ってよ。雨さんは、俺が行かせない。また間違われたりとか、そんなの考えただけで気が狂いそう・・・!うぅ~・・・」

藤代「・・・え、今なんて一一」

五月雨「!!一一で、では頭また何かありましたら遠慮なく命じてください。さぁ雲さん行きましょう早く行きましょう」(そそくさ)

藤代「五月雨さんが分かりやすく慌てている!!・・・まさか、里子さん嘘だろ。うっかりにも程がある。まさか俺と五月雨さんを間違え一一一」

村雲「言うなぁっ!!全然似てないから!雨さんの方がお前よりスッとしてピシッとしてカッコいいし頼もしいんだよぉ!なのになんでなんでお前ううううぅぅぅぅ!」

五月雨「はいはいはいはい。行きますよ雲さん」

村雲「う~!わんわんわんわんわんわんっっ!!(泣)」(扉バタン)

赤羽「・・・」

一一わんわんわんわん…

藤代「・・・」

一一わんわんわん………

赤羽「扉、閉まっても鳴き声が聴こえる…」

藤代「感情昂りすぎて人語じゃなくなってましたね」

赤羽「うん」

藤代「・・・。・・・里子さん、私と五月雨さんを見間違えたんですか?」

赤羽「うん…」

藤代「この髪のせいでしょうか…」

赤羽「・・・。しーちゃんの髪の色は五月雨に似ている。背恰好も近いから、見間違えてしまうのかもしれない」

藤代「そうですか…」

赤羽「でも、似てないよ」

藤代「・・・はい!今日はタイミング悪く私が同行出来ませんでしたから、赤羽様の近くには私がいる…その先入観が招いた悲劇だったのでしょうね」

赤羽「うん…次はちゃんと、しーちゃんを連れていくよ」

藤代「はいっ!!喜んで!」

赤羽「うん。それで、しーちゃんの方はちゃんと話し合えた…?」

藤代「あ、はい。一応は。前年度の改善点を見直して今年度の方針を決めるとか何とか…経理の得意な方々が張り切ってましたからね。自分いらないんじゃないかってくらい話し合ってました。ホント、いる必要あったのかな・・・。これなら赤羽様に同行しても問題なかったでしょうし、行っていれば今回のこともなかったわけですから、なんか缶詰めにされたのが釈然としません」

赤羽「…私が定期報告会に行くから、その間に出来ることを、してくれていたんだよね。しーちゃんは、私の記録役。みんなの意見を、伝えてくれる大事な本丸の人間。だから、いてほしかったんだと思う」

藤代「あ・・・はい!確かに、そうです。私は赤羽様の記録役ですから本丸の声を余す所なくお伝えします」

赤羽「うん」

藤代「さっそくですが今回の話し合いに上がった意見をまとめたものが机にありますので、お時間よろしい時に確認をお願いします」

赤羽「ありがとう。・・・しーちゃんは、これを。報告会で気になったところ、メモしてある。見ておいて」

藤代「了解です」

赤羽「しーちゃん」

藤代「はい!」

赤羽「村雲のこと、許してほしい」

藤代「え」

赤羽「村雲は五月雨のことを、大切に思ってる。でも、しーちゃんを傷付けていいわけではない。…村雲の主として、彼の発言を謝罪させてほしい」

藤代「!!!!!!あ、あああああ赤羽様、赤羽様!やめてください。村雲さんは何も悪くないですし、彼の反応は刀剣男士として当然ですから。赤羽様が謝ることじゃないです!」

赤羽「・・・そんなこと、」

藤代「そ、それに私があれくらいで傷付くほど繊細ではないこと、赤羽様ならご存じのはず。あんなものは仔犬の甘噛みです!」

赤羽「・・・」

藤代「だから、村雲さんの落ち着いた頃合いに話を聞いてあげてください。それが、赤羽様が村雲さんの主としてしてあげられることだと思います」

赤羽「・・・そう。しーちゃんは、強い」

藤代「!!赤羽様にお褒めの言葉をいただけるとは今日はなんて最高の一日だろう!…ヤバい赤羽様のお心が優しすぎて幸せすぎて死にそう・・・尊すぎて死ぬ・・・尊死(ブツブツ)」

赤羽「・・・。・・・本当に、強いね」



一一一一一一一一一一

後書きめいた裏話し。
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