とある本丸の日常会話 [完結]
小話その3「本丸の住人が夢を見たようです」
赤羽「数珠丸に子供がいた」
数珠丸「は…?」
赤羽「という夢を見たよ」
数珠丸「ああ。そうですか。夢の話でしたか」
赤羽「・・・」
数珠丸「・・・」
赤羽「女の子だった」
数珠丸「?・・・あ、それは私の子供が、ですか」
赤羽「そう。数珠丸の子供」
数珠丸「ふふ。夢の中の、と付けないと可笑しいですね。どなたかに立ち聞きでもされたら勘違いされそうです」
赤羽「そうだね。夢の中の数珠丸の子供は女の子で、迷子だった」
数珠丸「なんと…」
赤羽「捜索依頼を受けて、その子を捜した」
数珠丸「それは、御面倒をお掛けしました」
赤羽「大丈夫。すぐに見つかった。ただすごく泣いてた」
数珠丸「…心細かったのでしょうね」
赤羽「落ち着いてほしいのと本人確認のために名前と年齢を聞いたらちゃんと答えてくれた。いい子だったよ」
数珠丸「ふふ。自慢の娘です」
赤羽「・・・」
数珠「・・・」
赤羽「・・・夢の中の数珠丸に自慢の娘が見つかったことを知らせたかったけど電話に出なかった」
数珠丸「夢の中の私は子の一大事に何をしているのでしょうか」
赤羽「留守番電話になったからそこに吹き込もうとしたら「1秒以内にお話しください」と言われて、私は諦めた」
数珠丸「夢の中の私は一体何を考えているのでしょうか」
赤羽「どうしようか考えてる内に目が覚めて、私はあの子を無事届けられたのか、分からない」
数珠丸「・・・それは、残念でしたね」
赤羽「・・・」
数珠「・・・」
赤羽「おしまい」
数珠丸「おし…ああ、そうですか」
赤羽「うん」
数珠丸「・・・」
赤羽「・・・」
数珠丸「・・・あの、お話しを聞いて思ったのですが」
赤羽「?」
数珠丸「貴方は何か悩まれているのではないですか?」
赤羽「私が?・・・どうしてそう思う?」
数珠丸「それは一一そうですね。まず、私には「夢」というものは内容そのものには意味はないように思えるのです。何故なら夢というものは、その人がこれまでに記憶してきたものを掬い上げ、混ぜ合わせて出来た…所謂、妄想です。夢の中の私に子がいても、現実の私にはそれはあり得ないこと。存在しないものの安否を気遣うことに意味はありません」
赤羽「・・・」
数珠丸「ですがその中にある気持ちには意味があるのではないかと、私は考えます。夢の中で唯一感情的だった者、それも娘です。その子はもしかしたら、貴方自身だったのではないでしょうか」
赤羽「私が、迷子。私は不安そうに泣いている?」
数珠丸「あくまで私の考えです。正解ではない。ですが主が何かに悩まれているのであれば、それを救うことは仏道に精進する私の役割。夢という無意識の世界で私を選んでいただけたのなら尚更です」
赤羽「・・・」
数珠丸「・・・すみません。少し、突飛な解釈でしたね」
赤羽「数珠丸は、すごいと思う」
数珠丸「と仰りますと・・・」
赤羽「説法の最中に居眠りをした私を、怒るわけでもない。悩み相談まで引き受けてくれそうな懐の広さ。すごいね」
数珠丸「・・・。・・・いえ、居眠りをされていたのは今初めて知りました。突然夢の話をされたので驚きはしましたが、何か意味があるのではないかと思い聞いてしまっただけですよ」
赤羽「そう…でも上手く言えないけど、占師みたい」
数珠丸「ふふ。僧侶ではなく、ですか。ですが夢占いは向いていなそうです。・・・では主殿の目も覚めたようですから法話の続きをいたしましょうか」
赤羽「・・・・・・次は、数珠丸の娘を、無事に届けるよ」
―――――――――――――――――――
実際に見た夢。謎でした。
赤羽「数珠丸に子供がいた」
数珠丸「は…?」
赤羽「という夢を見たよ」
数珠丸「ああ。そうですか。夢の話でしたか」
赤羽「・・・」
数珠丸「・・・」
赤羽「女の子だった」
数珠丸「?・・・あ、それは私の子供が、ですか」
赤羽「そう。数珠丸の子供」
数珠丸「ふふ。夢の中の、と付けないと可笑しいですね。どなたかに立ち聞きでもされたら勘違いされそうです」
赤羽「そうだね。夢の中の数珠丸の子供は女の子で、迷子だった」
数珠丸「なんと…」
赤羽「捜索依頼を受けて、その子を捜した」
数珠丸「それは、御面倒をお掛けしました」
赤羽「大丈夫。すぐに見つかった。ただすごく泣いてた」
数珠丸「…心細かったのでしょうね」
赤羽「落ち着いてほしいのと本人確認のために名前と年齢を聞いたらちゃんと答えてくれた。いい子だったよ」
数珠丸「ふふ。自慢の娘です」
赤羽「・・・」
数珠「・・・」
赤羽「・・・夢の中の数珠丸に自慢の娘が見つかったことを知らせたかったけど電話に出なかった」
数珠丸「夢の中の私は子の一大事に何をしているのでしょうか」
赤羽「留守番電話になったからそこに吹き込もうとしたら「1秒以内にお話しください」と言われて、私は諦めた」
数珠丸「夢の中の私は一体何を考えているのでしょうか」
赤羽「どうしようか考えてる内に目が覚めて、私はあの子を無事届けられたのか、分からない」
数珠丸「・・・それは、残念でしたね」
赤羽「・・・」
数珠「・・・」
赤羽「おしまい」
数珠丸「おし…ああ、そうですか」
赤羽「うん」
数珠丸「・・・」
赤羽「・・・」
数珠丸「・・・あの、お話しを聞いて思ったのですが」
赤羽「?」
数珠丸「貴方は何か悩まれているのではないですか?」
赤羽「私が?・・・どうしてそう思う?」
数珠丸「それは一一そうですね。まず、私には「夢」というものは内容そのものには意味はないように思えるのです。何故なら夢というものは、その人がこれまでに記憶してきたものを掬い上げ、混ぜ合わせて出来た…所謂、妄想です。夢の中の私に子がいても、現実の私にはそれはあり得ないこと。存在しないものの安否を気遣うことに意味はありません」
赤羽「・・・」
数珠丸「ですがその中にある気持ちには意味があるのではないかと、私は考えます。夢の中で唯一感情的だった者、それも娘です。その子はもしかしたら、貴方自身だったのではないでしょうか」
赤羽「私が、迷子。私は不安そうに泣いている?」
数珠丸「あくまで私の考えです。正解ではない。ですが主が何かに悩まれているのであれば、それを救うことは仏道に精進する私の役割。夢という無意識の世界で私を選んでいただけたのなら尚更です」
赤羽「・・・」
数珠丸「・・・すみません。少し、突飛な解釈でしたね」
赤羽「数珠丸は、すごいと思う」
数珠丸「と仰りますと・・・」
赤羽「説法の最中に居眠りをした私を、怒るわけでもない。悩み相談まで引き受けてくれそうな懐の広さ。すごいね」
数珠丸「・・・。・・・いえ、居眠りをされていたのは今初めて知りました。突然夢の話をされたので驚きはしましたが、何か意味があるのではないかと思い聞いてしまっただけですよ」
赤羽「そう…でも上手く言えないけど、占師みたい」
数珠丸「ふふ。僧侶ではなく、ですか。ですが夢占いは向いていなそうです。・・・では主殿の目も覚めたようですから法話の続きをいたしましょうか」
赤羽「・・・・・・次は、数珠丸の娘を、無事に届けるよ」
―――――――――――――――――――
実際に見た夢。謎でした。
