とある本丸の日常会話 [完結]
小話その29「刀剣男士が室内香を作ったようです」
一食堂奥・厨房一
信濃「あ、なんかいい匂いする~」
厚「ホントだ。あー・・・この匂い、すごく知ってんだけどなぁ・・・なんだったかなー」
信濃「花の匂いなんだよねぇ・・・うーん」
骨喰「キンモクセイだ」
信&厚「「それだっ!」」
松井「ふふ…二人もこの香りが好きなのかな。はい、麦茶。飲むだろう?」
信濃「あ、松井さん。ありがとうございます」
厚「助かるぜ~。信濃と手合わせしてきたからノドがカラカラだったんだ」
松井「ふぅん…そうか。怪我はない?」
信濃「大丈夫!」
松井「そう…それは良かった」
赤羽「今日は、合同鍛練はない。自主練?」
厚「まー、自主練っちゃ自主練だよな。信濃が寒い、寒いってうるさいからさ」
信濃「ひどいよね。俺は汗を流したかったわけじゃなくて、懐のようなぬくもりを求めていただけなのにさ」
厚「それをオレに訴えられても困るんだよ」
信濃「別に厚の懐は求めてないってばー。ぬくもりを得られる方法を聞いただけだったのに」
骨喰「確かに、今日は寒いな。昨夜から急に冷えた」
赤羽「そうだね。でもそれまで夏日だったのが異常。今、こたつ布団を日に当ててる。今日からこたつが入るよ」
信濃「やった!」
厚「ところで、ずっと気になってたんだけど、大将たちは何やってんだ?厨房でこそこそと」
骨喰「こそこそはしていない。ちゃんと歌仙には使用すると言ってある」
信濃「そうなんだ。でも大将とほね兄、それに松井さんって物静かだからさ、厨房入るまで誰かいるって分からなかったよ。何か秘密の作業でもしてるのかと思った」
厚「なー。それに珍しい組み合わせだし、どういう集まりなんだ?」
骨喰「ああ。…俺が頼んだんだ。キンモクセイが咲いたらコレを作りたくて」
信濃「・・・コレ、瓶詰めのキンモクセイ?黄色と白に交互に詰められてる。キレイだね。いい匂い」
骨喰「ポプリ、と言うらしい。キンモクセイの花の寿命は一週間ほどらしいが俺はこの香りが好きだから、長く保たせる方法はないか主殿に聞いたら調べてくれたんだ」
信濃「えっ、一週間?もっと長く匂いがしてると思ってた・・・」
松井「短いね。花の命はなんとも、儚い」
信濃「松井さんもキンモクセイが好きなんだ」
松井「そうだね・・・骨喰が、開花したら教えると言ってくれてね」
厚「ほね兄が?」
骨喰「ああ。約束した」
松井「キンモクセイの花を見るのは初めてだったけど、骨喰の言う通り小さいながらも強く優しい香りを醸す姿はとても好ましく思うよ」
骨喰「そうだろう」
厚「ほね兄が自慢げな顔をしている…ってか、松井がここに来てまだ一年経たないんだな。もう何年もいるような気がしてたぜ」
松井「ふふ…そう言ってくれるのかい。僕もこの本丸に馴染めているようで嬉しいよ」
骨喰「松井は大事な仲間だ。それに俺にとっては花見仲間だからな。これからもよろしく頼む」
松井「あ…いつの間にそんな仲間意識が…(小声)」
骨喰「なんだ?」
松井「あ、いや…キンモクセイ以外にも何か花が咲くたびに教えてくれていたのは、花見仲間だから…?」
骨喰「そうだ」
松井「そうなんだ…」
信濃「あははっ、ほね兄変わったよね~。前は俺たち兄弟以外、大将とさえ話すの避けてたのに今は刀派の違う松井さんともお喋り出来てる。すごいよ」
骨喰「・・・そうか。そうだな。前の俺は記憶がなくて、自分のことしか見えていなかったから、今はみんなのことを見ていたいんだ」
松井「ふぅん…」
赤羽「骨喰…偉いね」
骨喰「だが、今回コレの製作に歌仙はあまりいい顔をしなかった」
厚「え、なんでだ?いい匂いがするから歌仙好きそうなのにな」
信濃「あっ、あれじゃない?キンモクセイの花は一週間しか咲かないって言ってたけど、このポプリはその香りを長持ちさせるんだよね?」
骨喰「そうだ。保存状態が良ければ何十年も香りを保たせることも出来るらしい」
信濃「それだよ」
厚「それ?」
信濃「花の命は短いからこそ美しい、って言うのが雅を愛する歌仙さんの美学なんじゃないかな~って思うんだよね」
松井「なるほどね…香りがいつまでも残るコレは短い命を徒に存在させているように見えるからね」
厚「ああ~・・・そういう」
骨喰「いや、違うぞ」
信&厚「「 違うの!? 」」
骨喰「この瓶の黄色と白の層…黄色は花弁だが、白い方は何か分かるか」
信濃「えっと・・・この細かい粒、砂糖か塩?」
骨喰「塩だ。キンモクセイは乾燥すると香りが消えてしまうらしい。だが、塩を使用して熟成させる方法を取れば香りは消えない…と主殿が調べてくれた」
赤羽「うん。骨喰が自主的に何かしたいと言うのは珍しいから、手伝おうと思った。最大の壁は歌仙だったね」
厚「えーっと・・・つまり?」
骨喰「料理で使用する塩を減らされたくなかったようだ」
厚「いやもう考え方が主夫!!」
信濃「歌仙さんの雅が行方不明なんだけど!?」
松井「現実問題、この本丸の大所帯さを見るとこれを作るだけの塩さえ惜しいんだね」
骨喰「歌仙の説得には主殿に付き添ってもらって良かった。俺だけでは門前払いだっただろう」
赤羽「違う。骨喰の熱意が歌仙に伝わった。私には、審神者の特権を振りかざすことしか出来ないから…」
信濃「大将の口から何かとんでもない台詞が聞こえた気がする!」
松井「なら、その苦労を無駄にしないためにも…大事にしないとね」
骨喰「そうだな。あとはこれを冷暗所に一ヶ月置けば完成する」
松井「それで完成じゃなかったんだ」
骨喰「完成したら、知らせる」
松井「花見仲間だから?」
骨喰「ああ。そうだ」
松井「ふふ…楽しみにしているよ」
一一一一一一一一一一一
骨喰が作ったポプリはモイストポプリというらしいです。金木犀は乾燥させると匂いが消えてしまうことを調べてみて私も初めて知りました。
刀剣男士と一緒に小さな知識が増える毎日です。
一食堂奥・厨房一
信濃「あ、なんかいい匂いする~」
厚「ホントだ。あー・・・この匂い、すごく知ってんだけどなぁ・・・なんだったかなー」
信濃「花の匂いなんだよねぇ・・・うーん」
骨喰「キンモクセイだ」
信&厚「「それだっ!」」
松井「ふふ…二人もこの香りが好きなのかな。はい、麦茶。飲むだろう?」
信濃「あ、松井さん。ありがとうございます」
厚「助かるぜ~。信濃と手合わせしてきたからノドがカラカラだったんだ」
松井「ふぅん…そうか。怪我はない?」
信濃「大丈夫!」
松井「そう…それは良かった」
赤羽「今日は、合同鍛練はない。自主練?」
厚「まー、自主練っちゃ自主練だよな。信濃が寒い、寒いってうるさいからさ」
信濃「ひどいよね。俺は汗を流したかったわけじゃなくて、懐のようなぬくもりを求めていただけなのにさ」
厚「それをオレに訴えられても困るんだよ」
信濃「別に厚の懐は求めてないってばー。ぬくもりを得られる方法を聞いただけだったのに」
骨喰「確かに、今日は寒いな。昨夜から急に冷えた」
赤羽「そうだね。でもそれまで夏日だったのが異常。今、こたつ布団を日に当ててる。今日からこたつが入るよ」
信濃「やった!」
厚「ところで、ずっと気になってたんだけど、大将たちは何やってんだ?厨房でこそこそと」
骨喰「こそこそはしていない。ちゃんと歌仙には使用すると言ってある」
信濃「そうなんだ。でも大将とほね兄、それに松井さんって物静かだからさ、厨房入るまで誰かいるって分からなかったよ。何か秘密の作業でもしてるのかと思った」
厚「なー。それに珍しい組み合わせだし、どういう集まりなんだ?」
骨喰「ああ。…俺が頼んだんだ。キンモクセイが咲いたらコレを作りたくて」
信濃「・・・コレ、瓶詰めのキンモクセイ?黄色と白に交互に詰められてる。キレイだね。いい匂い」
骨喰「ポプリ、と言うらしい。キンモクセイの花の寿命は一週間ほどらしいが俺はこの香りが好きだから、長く保たせる方法はないか主殿に聞いたら調べてくれたんだ」
信濃「えっ、一週間?もっと長く匂いがしてると思ってた・・・」
松井「短いね。花の命はなんとも、儚い」
信濃「松井さんもキンモクセイが好きなんだ」
松井「そうだね・・・骨喰が、開花したら教えると言ってくれてね」
厚「ほね兄が?」
骨喰「ああ。約束した」
松井「キンモクセイの花を見るのは初めてだったけど、骨喰の言う通り小さいながらも強く優しい香りを醸す姿はとても好ましく思うよ」
骨喰「そうだろう」
厚「ほね兄が自慢げな顔をしている…ってか、松井がここに来てまだ一年経たないんだな。もう何年もいるような気がしてたぜ」
松井「ふふ…そう言ってくれるのかい。僕もこの本丸に馴染めているようで嬉しいよ」
骨喰「松井は大事な仲間だ。それに俺にとっては花見仲間だからな。これからもよろしく頼む」
松井「あ…いつの間にそんな仲間意識が…(小声)」
骨喰「なんだ?」
松井「あ、いや…キンモクセイ以外にも何か花が咲くたびに教えてくれていたのは、花見仲間だから…?」
骨喰「そうだ」
松井「そうなんだ…」
信濃「あははっ、ほね兄変わったよね~。前は俺たち兄弟以外、大将とさえ話すの避けてたのに今は刀派の違う松井さんともお喋り出来てる。すごいよ」
骨喰「・・・そうか。そうだな。前の俺は記憶がなくて、自分のことしか見えていなかったから、今はみんなのことを見ていたいんだ」
松井「ふぅん…」
赤羽「骨喰…偉いね」
骨喰「だが、今回コレの製作に歌仙はあまりいい顔をしなかった」
厚「え、なんでだ?いい匂いがするから歌仙好きそうなのにな」
信濃「あっ、あれじゃない?キンモクセイの花は一週間しか咲かないって言ってたけど、このポプリはその香りを長持ちさせるんだよね?」
骨喰「そうだ。保存状態が良ければ何十年も香りを保たせることも出来るらしい」
信濃「それだよ」
厚「それ?」
信濃「花の命は短いからこそ美しい、って言うのが雅を愛する歌仙さんの美学なんじゃないかな~って思うんだよね」
松井「なるほどね…香りがいつまでも残るコレは短い命を徒に存在させているように見えるからね」
厚「ああ~・・・そういう」
骨喰「いや、違うぞ」
信&厚「「 違うの!? 」」
骨喰「この瓶の黄色と白の層…黄色は花弁だが、白い方は何か分かるか」
信濃「えっと・・・この細かい粒、砂糖か塩?」
骨喰「塩だ。キンモクセイは乾燥すると香りが消えてしまうらしい。だが、塩を使用して熟成させる方法を取れば香りは消えない…と主殿が調べてくれた」
赤羽「うん。骨喰が自主的に何かしたいと言うのは珍しいから、手伝おうと思った。最大の壁は歌仙だったね」
厚「えーっと・・・つまり?」
骨喰「料理で使用する塩を減らされたくなかったようだ」
厚「いやもう考え方が主夫!!」
信濃「歌仙さんの雅が行方不明なんだけど!?」
松井「現実問題、この本丸の大所帯さを見るとこれを作るだけの塩さえ惜しいんだね」
骨喰「歌仙の説得には主殿に付き添ってもらって良かった。俺だけでは門前払いだっただろう」
赤羽「違う。骨喰の熱意が歌仙に伝わった。私には、審神者の特権を振りかざすことしか出来ないから…」
信濃「大将の口から何かとんでもない台詞が聞こえた気がする!」
松井「なら、その苦労を無駄にしないためにも…大事にしないとね」
骨喰「そうだな。あとはこれを冷暗所に一ヶ月置けば完成する」
松井「それで完成じゃなかったんだ」
骨喰「完成したら、知らせる」
松井「花見仲間だから?」
骨喰「ああ。そうだ」
松井「ふふ…楽しみにしているよ」
一一一一一一一一一一一
骨喰が作ったポプリはモイストポプリというらしいです。金木犀は乾燥させると匂いが消えてしまうことを調べてみて私も初めて知りました。
刀剣男士と一緒に小さな知識が増える毎日です。
