とある本丸の日常会話 [完結]

小話その22「本丸の住人は呼び方を考えたいようです」

一執務室一
歌仙「主・・・今、戻ったよ。ただいま」

赤羽「うん。おかえり」

歌仙「と言っても、まだ調査は途中だけど。誰かさんの電報に、勢いのまま飛び出してしまったからね・・・僕としたことが冷静じゃなかった」

赤羽「先は長い。帰還出来る時に帰還すればいい…油断しないように」

歌仙「うん・・・一一悪いな。準備が整い次第すぐに出るから」

古今「えぇ。わかっています。花守を…彼を救い出すためには焦りは禁物。慎重にゆきましょう…」



長義「へぇ・・・彼が、この特命調査を担当している刀剣男士かい?変わった風貌だね」

藤代「俺から見たら皆さん変わった風貌ですよ。・・・どいつもこいつも美形揃いで(ブツブツ)」

長義「君も僻むことがあるのか…まぁ、俺が美しいのは当然かな」

藤代「はいはい。で?本歌さんは何故ここにいるんですか?近侍じゃないでしょ、あんた」

長義「初代特命調査を仰せつかった刀剣男士として、後輩の顔でも見ておこうかと思ってね」

藤代「先輩後輩の序列があったのか」

長義「それで、彼は何者かな?」



歌仙「主。紹介が遅れた。彼は古今伝授の太刀。僕とは・・・前の主絡みで少し縁がある」

古今「少し…と言うのは悲しいです。わたくしと貴方の前の主は父と子の関係。つまるところ、わたくしのことも父のように」

歌仙「思えるかっ!」

古今「冗談です」

赤羽「古今伝授の・・・長いね」

古今「長い・・・髪のことでしょうか?」

赤羽「名前」

古今「なまえ・・・そうでしょうか」

歌仙「主。この者は古今伝授行平とも呼ばれている。長いようなら行平とでも呼んだらどうだろう」

古今「いえ…わたくしも歌仙のように雅号のような銘が良いですね。天津風…いえ、風。または花とでも。お好きなようによんでください」

歌仙「それは嫌みか。というか、それは雅号なのか?」

赤羽「風…」

古今「主の名には「羽」がある…大風を掴み天空をどこまでもゆく鳥の如く。今後のご活躍の一助となればと思います・・・」

歌仙「なん…っだそれは!・・・いいな!」

藤代「いいんだ!」

長義「いや!駄目だ!」

歌仙「外野はお呼びじゃないよ。主の執務中は口を挟まないのが記録役の約束だろう?・・・そして、山姥切長義。何が駄目だと言うんだい?」

長義「あぁ、口を挟んで悪かったね。ただ俺の意見を聞いてもらえるのなら、風・・・それはつまり空気だ」

歌仙「・・・うん?」

長義「空気はここにいるロクヤク君の専売特許!風を名乗りたいのなら、このロクヤク君のように存在感を無くしてから出直してくるんだね!」

藤代「は・・・一一」

歌&古「「 なるほど 」」

藤代「いや、なるほどじゃねぇよ」

古今「主。風はなしになりました」

藤代「えー」

赤羽「そう…分かった」

藤代「分かっちゃったんですか赤羽様」

歌仙「一一では、主。装備を整えるため、これで失礼するよ」

古今「わたくしも歌仙についてゆきます」

赤羽「うん。よろしく…」



赤羽「それで…先輩の目から見て、後輩はどう見えた」

長義「!…驚いたな。後ろで話していたのに、聞こえていたとはね」

藤代「流石、赤羽様!多方面からの声を聞き逃さないとは、かの厩戸の王のような才能もお持ちだったのですね!素晴らしいですっ」

長義「ロクヤク君。ステイ!」

藤代「ロクヤクって言うな!」

長義「そっちに突っかかるのかい。さっきは何も言わなかったからもういいのかと思ったんだけどね」

藤代「言えるタイミングがなかっただけです」

長義「今もそのタイミングではないんじゃないかな。主の言葉を遮るなど臣下のすることとは思えないね」

藤代「あ!申し訳ありません。赤羽様!」

赤羽「しーちゃん、問題ないよ。それで長義は後輩をどう思う」

長義「・・・まだ、なんとも。古今伝授の太刀。彼には問題はなさそうだけど、彼の救いたがっているもう一振りの動向が不明なのが、ね。敵に捕らわれているのなら急ぎ救い出したいところだけど…彼はそうは言わなかった。それに花守・・・もしかしたら」

藤代「・・・」

赤羽「そう…ありがとう。これからも後輩のことで気付いたことがあったら教えてほしい」

長義「ああ、了解したよ」

藤代「・・・あ、あの・・・赤羽様?」

赤羽「しーちゃん。なに?」

藤代「もしかして、なんですけど・・・」

赤羽「うん」

藤代「古今伝授さんのこと・・・後輩呼びで定着しようとしてませんか・・・?」

赤羽「・・・。・・・。・・・だめ?」

藤代「はっ。いいえ!赤羽様の決定は絶対です!」

長義「いや!駄目だろう?!」



一一一一一一一一















みんななんて呼んでるんだろう。
22/50ページ