とある本丸の日常会話 [完結]
小話その18「本丸の住人がお年玉を貰ったようです」
ー山門ー
桑名「それじゃあ準備も出来たことだし行こうか。いざ、ふもとの村」
山鳥毛「ああ。よろしく頼む」
南泉「なんでオレまで連れてかれんだぁ・・・にゃ」
桑名「人手は多いほうがいいからね」
山鳥毛「猫の手も借りたいというやつだな。・・・うん?誰かいるようだが、客人かな」
桑名「え?・・・あ!」
南泉「おっ?藤代じゃねぇの。どっか行ってたのか、にゃ?」
藤代「・・・あ、はい。ちょっと、野暮用で・・・ただいま戻りました」
桑名「いや、戻りましたじゃないよ」
藤代「げ・・・」
桑名「また黙って本丸出ていったね。何日も戻らないのにどうして僕達に何も言わないのかな。心配になるよね。一人で行かないといけないこと?というか何の用だったの?」
藤代「う・・・すみません。急ぎの用だったのですぐ出ないといけなくて、元日には戻る予定が予想外にごたごたして」
桑名「質問の答えになってないよ」
藤代「こっ!怖いんですけど。前髪で表情分からないぶん余計に怖いんですけど!」
桑名「怖いってなんなん・・・僕は聞いてるだけなのにどうしてすぐ話を逸らそうと一一」
南泉「うへ~・・・すっげー心配症だなぁ。そいつがいねぇのオレ気づかなかったけど」
山鳥毛「今戻ったと言うあの彼は何者かな?恐らく、私は初めて見る顔だと思うのだが」
南泉「あ!あいつは藤代と言って主の記録役…付き人みたいなもんっす・・・にゃ!」
山鳥毛「小鳥に付き人、か。しかし随分弱々しい。子猫と上背は近いようだが脆弱だ。細い。あれではまるで雛鳥ではないか。若鳥が心配になるのも無理はないな・・・ふむ」
南泉「(相変わらず、お頭は例えが独特だなぁ。・・・身長のことは言わないでほしいけどっ!)」
山鳥毛「桑名江。話しを遮って悪いのだが」
桑名「!ああ、ごめん。つい熱くなってしまった。藤代のことは畑と同じくらい心配になってしまうんだ」
藤代「そんなにか」
桑名「あ、藤代というのはこの人のことでね」
山鳥毛「ああ。小鳥の付き人のようなものという話しは今、子猫から聞いたが」
桑名「うん。記録役と言うんだけど、いつも主の影のように居るかと思えば、時々ふらっと本丸を出ちゃうから本当に心配で心配で・・・あ、藤代。こちらは山鳥毛さんだよ。君がいない間に本丸に来たんだ」
藤代「はじめまして。赤羽様の力となってくれることを大変嬉しく思います。よろしくお願いします」
山鳥毛「ああ。こちらこそよろしく頼む。雛鳥」
藤代「ひなどり?」
南泉「桑名ぁ。そろそろ出発しないかぁ?さっさと行って帰ってこたつにもぐりたい・・・にゃ」
桑名「あ、確かに。立ち話するには寒いよね」
藤代「そういえば、どこかへ行くんですか?大きな籠を背負ってますね」
桑名「ちょっとふもとまでね、作物を売りに行こうかと思って。僕も正月くらいは畑を休みにしているから、その間なにかやれることはないかなって博多と話したんだ」
藤代「それで野菜を売ることに?」
桑名「無人販売だけどね。博多が村の人の許可を貰って、場所も提供してもらえたんだ。博多は行動が迅速で本当に頼もしいよね」
藤代「そして出荷担当がこの面子・・・」
山鳥毛「うん?」
南泉「ケシケシケシケシ(毛繕い中)」
藤代「なぜこの刃選・・・?」
桑名「じんせん?」
山鳥毛「ああ。私が頼んだんだ。顕現したばかりだから、まずはこの周辺地域の人間の暮らしぶりを知っておきたくてね。子猫…南泉は私が呼んだ。一文字一家の顔を覚えてもらう良い機会だろう」
藤代「心がけは立派なんですが、外見と発言が堅気のそれじゃないんですよ」
桑名「刀剣男士(ぼくたち)ほど堅気な存在はないと思うよ?」
藤代「う~ん、凡人との見解の差。人は見た目で判断されやすいんです。つまり」
桑名「つまり?」
藤代「見た目が怖い」
南泉「お頭を前に、はっきり言うなぁ」
藤代「グラサン、オールバックに、左頬と手首に入れ墨のような模様が見える男性と、腰パン+柄物シャツの金髪野郎が揃っているとか最早テンプレじゃないですか」
桑名「でも三人で出掛ける許可を主はくれたよ?」
藤代「あの方は外見で他人を判断しませんからね。素晴らしい方です。だけど凡人の俺から言わせてもらうととても近寄りがたい雰囲気しかないのでおよそ商売向きではないかと」
南泉「凡人代表が臆すことを知らない、にゃ・・・」
山鳥毛「それは一理ある。だが、私達の手伝いなしに若鳥一羽に行かせるのも酷な話だ。それに、菜を売ることは名を売ることに通ずるとも言う。験を担ぐという意味でも、私は譲る気はないが?」
南泉「お頭・・・(お頭、そういう言葉遊び的なの好むよなぁ)」
藤代「でしたら、猫の手ならぬ獅子の手を借りるのはどうですか」
山鳥毛「ふむ。獅子の手、とは?」
藤代「獅子王さん」
南泉「いや金髪が増えてる!にゃ!」
藤代「そこです。獅子王さんは年配者からの人気があります。普段から暇があれば村の手伝いに出ているようなので顔も知れてますし、村との信頼関係のある方がいてくれたらその出で立ちでも不信感は持たれないんじゃないでしょうか」
南泉「な、なるほど・・・」
藤代「獅子王さんの手が空いていたら、ですけどね。陸奥守さんや、それこそ販売の約束をこぎつけてきた博多さんなど話しの得意な方を味方に付けるのもいいかもしれません」
山鳥毛「ほお・・・」
藤代「・・・とか色々言いましたが、俺の意見を聞く必要は全くないです。赤羽様も許可したことですし、それに見方を変えれば無人販売の出品者が強面だと窃盗被害も減るかもしれませんしね」
桑名「窃盗…え?そんな罰当たりな真似をする人がいるの?」
藤代「付喪神が言うとシャレにならないなぁ」
山鳥毛「分かった。・・・桑名、申し訳ないが少し出発を遅らせてもいいだろうか」
桑名「うん、いいよ。藤代の意見に乗るんだね」
山鳥毛「獅子の手を借りられないか尋ねてこよう。では、頼む」
南泉「う、うっす!獅子王探してくるっす!・・・にゃ!」
藤代「え?!って、ちょっ!南泉さん!?なんで俺まで連れてこうとするんだよ!嫌ですよ、俺は一一」
山鳥毛「雛鳥、これをあげよう。投げるぞ。受け取れ」
藤代「え?え!え??え!?よっ・・・と。な、なに」
山鳥毛「お年玉、の代わりだ。若鳥達に配っていた菓子の余りだがお前にやろう」
藤代「あ、ありがとう、ございます・・・?」
ー廊下ー
藤代「帰ったばかりだから休みたいんですけど・・・」
南泉「獅子王が見つかったら休んでいいぜぇ」
藤代「見つかったら…。赤羽様に帰還報告したいのに」
南泉「それより藤代、気を付けたほうがいい・・・にゃ」
藤代「あー、言葉にですか?」
南泉「そうじゃねぇ。お前、お頭に気に入られてっから」
藤代「は?」
南泉「シャテイ圏内に入ってっから気を付けねぇと一家に引き込まれんぞぉ」
藤代「射程?…って拳銃持ってんの?!あの人ガチなの?!」
南泉「あ、そっちじゃねぇ。子分とか、弟分とかの」
藤代「舎弟圏内!?」
南泉「菓子くれたのも餌付けの第一段階だな」
藤代「だから雛鳥とか言ってたのか…」
南泉「そういうことだ、にゃ」
一一一一一一一
はたして、藤代は一文字一家に引き込まれてしまうのか・・・!!(引き込まれない)(←ネタバレ)
ー山門ー
桑名「それじゃあ準備も出来たことだし行こうか。いざ、ふもとの村」
山鳥毛「ああ。よろしく頼む」
南泉「なんでオレまで連れてかれんだぁ・・・にゃ」
桑名「人手は多いほうがいいからね」
山鳥毛「猫の手も借りたいというやつだな。・・・うん?誰かいるようだが、客人かな」
桑名「え?・・・あ!」
南泉「おっ?藤代じゃねぇの。どっか行ってたのか、にゃ?」
藤代「・・・あ、はい。ちょっと、野暮用で・・・ただいま戻りました」
桑名「いや、戻りましたじゃないよ」
藤代「げ・・・」
桑名「また黙って本丸出ていったね。何日も戻らないのにどうして僕達に何も言わないのかな。心配になるよね。一人で行かないといけないこと?というか何の用だったの?」
藤代「う・・・すみません。急ぎの用だったのですぐ出ないといけなくて、元日には戻る予定が予想外にごたごたして」
桑名「質問の答えになってないよ」
藤代「こっ!怖いんですけど。前髪で表情分からないぶん余計に怖いんですけど!」
桑名「怖いってなんなん・・・僕は聞いてるだけなのにどうしてすぐ話を逸らそうと一一」
南泉「うへ~・・・すっげー心配症だなぁ。そいつがいねぇのオレ気づかなかったけど」
山鳥毛「今戻ったと言うあの彼は何者かな?恐らく、私は初めて見る顔だと思うのだが」
南泉「あ!あいつは藤代と言って主の記録役…付き人みたいなもんっす・・・にゃ!」
山鳥毛「小鳥に付き人、か。しかし随分弱々しい。子猫と上背は近いようだが脆弱だ。細い。あれではまるで雛鳥ではないか。若鳥が心配になるのも無理はないな・・・ふむ」
南泉「(相変わらず、お頭は例えが独特だなぁ。・・・身長のことは言わないでほしいけどっ!)」
山鳥毛「桑名江。話しを遮って悪いのだが」
桑名「!ああ、ごめん。つい熱くなってしまった。藤代のことは畑と同じくらい心配になってしまうんだ」
藤代「そんなにか」
桑名「あ、藤代というのはこの人のことでね」
山鳥毛「ああ。小鳥の付き人のようなものという話しは今、子猫から聞いたが」
桑名「うん。記録役と言うんだけど、いつも主の影のように居るかと思えば、時々ふらっと本丸を出ちゃうから本当に心配で心配で・・・あ、藤代。こちらは山鳥毛さんだよ。君がいない間に本丸に来たんだ」
藤代「はじめまして。赤羽様の力となってくれることを大変嬉しく思います。よろしくお願いします」
山鳥毛「ああ。こちらこそよろしく頼む。雛鳥」
藤代「ひなどり?」
南泉「桑名ぁ。そろそろ出発しないかぁ?さっさと行って帰ってこたつにもぐりたい・・・にゃ」
桑名「あ、確かに。立ち話するには寒いよね」
藤代「そういえば、どこかへ行くんですか?大きな籠を背負ってますね」
桑名「ちょっとふもとまでね、作物を売りに行こうかと思って。僕も正月くらいは畑を休みにしているから、その間なにかやれることはないかなって博多と話したんだ」
藤代「それで野菜を売ることに?」
桑名「無人販売だけどね。博多が村の人の許可を貰って、場所も提供してもらえたんだ。博多は行動が迅速で本当に頼もしいよね」
藤代「そして出荷担当がこの面子・・・」
山鳥毛「うん?」
南泉「ケシケシケシケシ(毛繕い中)」
藤代「なぜこの刃選・・・?」
桑名「じんせん?」
山鳥毛「ああ。私が頼んだんだ。顕現したばかりだから、まずはこの周辺地域の人間の暮らしぶりを知っておきたくてね。子猫…南泉は私が呼んだ。一文字一家の顔を覚えてもらう良い機会だろう」
藤代「心がけは立派なんですが、外見と発言が堅気のそれじゃないんですよ」
桑名「刀剣男士(ぼくたち)ほど堅気な存在はないと思うよ?」
藤代「う~ん、凡人との見解の差。人は見た目で判断されやすいんです。つまり」
桑名「つまり?」
藤代「見た目が怖い」
南泉「お頭を前に、はっきり言うなぁ」
藤代「グラサン、オールバックに、左頬と手首に入れ墨のような模様が見える男性と、腰パン+柄物シャツの金髪野郎が揃っているとか最早テンプレじゃないですか」
桑名「でも三人で出掛ける許可を主はくれたよ?」
藤代「あの方は外見で他人を判断しませんからね。素晴らしい方です。だけど凡人の俺から言わせてもらうととても近寄りがたい雰囲気しかないのでおよそ商売向きではないかと」
南泉「凡人代表が臆すことを知らない、にゃ・・・」
山鳥毛「それは一理ある。だが、私達の手伝いなしに若鳥一羽に行かせるのも酷な話だ。それに、菜を売ることは名を売ることに通ずるとも言う。験を担ぐという意味でも、私は譲る気はないが?」
南泉「お頭・・・(お頭、そういう言葉遊び的なの好むよなぁ)」
藤代「でしたら、猫の手ならぬ獅子の手を借りるのはどうですか」
山鳥毛「ふむ。獅子の手、とは?」
藤代「獅子王さん」
南泉「いや金髪が増えてる!にゃ!」
藤代「そこです。獅子王さんは年配者からの人気があります。普段から暇があれば村の手伝いに出ているようなので顔も知れてますし、村との信頼関係のある方がいてくれたらその出で立ちでも不信感は持たれないんじゃないでしょうか」
南泉「な、なるほど・・・」
藤代「獅子王さんの手が空いていたら、ですけどね。陸奥守さんや、それこそ販売の約束をこぎつけてきた博多さんなど話しの得意な方を味方に付けるのもいいかもしれません」
山鳥毛「ほお・・・」
藤代「・・・とか色々言いましたが、俺の意見を聞く必要は全くないです。赤羽様も許可したことですし、それに見方を変えれば無人販売の出品者が強面だと窃盗被害も減るかもしれませんしね」
桑名「窃盗…え?そんな罰当たりな真似をする人がいるの?」
藤代「付喪神が言うとシャレにならないなぁ」
山鳥毛「分かった。・・・桑名、申し訳ないが少し出発を遅らせてもいいだろうか」
桑名「うん、いいよ。藤代の意見に乗るんだね」
山鳥毛「獅子の手を借りられないか尋ねてこよう。では、頼む」
南泉「う、うっす!獅子王探してくるっす!・・・にゃ!」
藤代「え?!って、ちょっ!南泉さん!?なんで俺まで連れてこうとするんだよ!嫌ですよ、俺は一一」
山鳥毛「雛鳥、これをあげよう。投げるぞ。受け取れ」
藤代「え?え!え??え!?よっ・・・と。な、なに」
山鳥毛「お年玉、の代わりだ。若鳥達に配っていた菓子の余りだがお前にやろう」
藤代「あ、ありがとう、ございます・・・?」
ー廊下ー
藤代「帰ったばかりだから休みたいんですけど・・・」
南泉「獅子王が見つかったら休んでいいぜぇ」
藤代「見つかったら…。赤羽様に帰還報告したいのに」
南泉「それより藤代、気を付けたほうがいい・・・にゃ」
藤代「あー、言葉にですか?」
南泉「そうじゃねぇ。お前、お頭に気に入られてっから」
藤代「は?」
南泉「シャテイ圏内に入ってっから気を付けねぇと一家に引き込まれんぞぉ」
藤代「射程?…って拳銃持ってんの?!あの人ガチなの?!」
南泉「あ、そっちじゃねぇ。子分とか、弟分とかの」
藤代「舎弟圏内!?」
南泉「菓子くれたのも餌付けの第一段階だな」
藤代「だから雛鳥とか言ってたのか…」
南泉「そういうことだ、にゃ」
一一一一一一一
はたして、藤代は一文字一家に引き込まれてしまうのか・・・!!(引き込まれない)(←ネタバレ)
