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駄菓子屋の不思議な兄さんと女の子

「これで…おしまいっ!」

「この我がまたやられるだと…!」

肩まで伸ばした青い髪の赤い瞳をしたウェディの女性が冥王ネルゲルにとどめを刺す。
オルフェウスの弓から狙い放たれたその光の矢は吸い込まれるようにネルゲルへと当たり、ちゅど〜んとお決まりの爆発を起こす。

「次は覚えてるがいい!」

冥王ネルゲルはまたもやなんとか耐えきりボロボロでどこかへとワープしていった。『今回も』アトリアの勝利である。
アトリアの後ろからサポートしていた男性…シンイがアトリアの横にやってくる。

「アトリアさん、お疲れ様です。」

「うん!シンイさんもおつかれさま!サポートありがとう!」

「ではアトリアさん。怪我の手当をしましょうか」

そしてまたこの街の平和は守られたのだった…それが昨日の話。





ーーーーーー
「…きて!起きて!起きてってば!」

ゆさゆさと身をゆすられる感触がする。
でも疲れていてまだもう少し寝ていたい。

「もう少し寝かせてくれませんか…」

「もうっ!クロウズさんったらさっきそう言って少し時間のばしたでしょっ!もうすぐ駄菓子屋開ける時間だから起きなきゃ!」

「昨日の疲れが出てるんです…」

「もうっ!」

白い肌をした肩まで伸ばした青い髪の少女…アトリアはぷくうっと頬をふくらませる。先程から何度も起こす為に揺さぶっているのだがこれがなかなか起きようとしない。もはや…そうなったら例の『奥の手』である。
アトリアは目を閉じると光に包まれ…ウェディの女性の姿に変わる。そしてもぞもぞと寝ているクロウズの上に跨り…そこまでだった。
そう。アトリアなりの色仕掛けである。それ以上はどうすれば良いかわからない為そこまでしかできない。

「起きてよぉ…」

クロウズはうっすらと目を開ける。
これだけでも効果は抜群である。このまま抱き寄せて抱き枕にしたい気持ちはあったがそうすればそれ以上の事をしてしまいそうなうえに時間がなくなるのは明白なので起きる事にする。

「しかたないですねえ…」

ふう、とため息をつき起きるクロウズ。そしてクロウズの上から降りて『元の姿』に戻るアトリア。

「おはよ!」

「おはようございます」

アトリアは笑顔になり目覚めを出迎える。

「朝食は今から作るよ。」

「では手伝いましょうか」

「うん!」

二人で台所へ向かい朝食の用意を始める。しばらくすれば朝食の匂いが漂ってくる事だろう。
見た目は身長差があり年の差はあれどまるで夫婦のように見える。
そしてこの後はいつもどおり朝食を食べ、駄菓子屋を開けお客を出迎える平穏な日常が待っている。
昨日のようにこの街を冥王ネルゲルが襲いに来ることがない限りは基本この日常が流れている。というか、ネルゲルは何故かあまり襲いに来ない。何故だとかそういうのは深くつっこんではならない。とにかくそんな感じのたまに非日常な日常を過ごしているのだった。
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