第八章:クリスマスディナー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
クリスマス休暇、二日目のこと四人は図書館へと行っていた。
バックビークの裁判が行われる為、弁護に役立ちそうな本を探していた。
そして、弁護に役立ちそうな本をどっさりと抱えながら、がらんとした談話室まで運ぶと四人は暖炉の前に座り込み、動物による襲撃に関する有名な事件を書いた、埃っぽい書物のページを一枚めくった。
何か一つ関係ありそうなものが見つかると言葉を交わす。
「これはどうかな?1722年の事件……あ、駄目だ。有罪で――ウヮー、連中がやったこと気味が悪いったら……」
「これならいけるかもしれないわ。えーと――1296年、マンティコアは放免になったわ」
頭は人間、胴はライオン、尾はサソリの姿をしている生物だ。
『それは使えませんよ』
咲耶はきっぱりと答えた。
ハーマイオニーは「どうして?」と聞く。
『1296年のマンティコアの件は、みんな近付けなかったため放免になったそうですから』
そうこうする間に、城ではいつもの大掛かりなクリスマスの飾りつけが進んでいた。
生徒たちはほとんど学校に残っていなかったが、柊や宿り木を編み込んだ太いリボンが廊下にぐるりと張り巡らされ、鎧という鎧の中からは神秘的な灯りがきらめき、大広間には金色に輝く星を飾った十二本のクリスマス・ツリーが立ち並んだ。
おいしそうな匂いが廊下中にたちこめ、クリスマス・イヴにはそれが最高潮に達した。
クリスマスの朝、咲耶はハーマイオニーの声で目を覚ました。
「メリー・クリスマス、咲耶」
『メリー・クリスマス』
咲耶は少し眠たそうにハーマイオニーに言いながら、ベッドから起き上がった。
『ふぁ…』
あくびをしながら咲耶は服に着替えて、ハーマイオニーと共に談話室へと降りた。
談話室へと降りると珍しくハリーとロンが起きていて「また栗色だ…」とセーターを見ながらがっかりしたように呟いていた。
降りてきた咲耶とハーマイオニーに気が付いた二人が「メリー・クリスマス」と言うと咲耶たちも「メリー・クリスマス」と返した。
「君たちにもクリスマスプレゼント来てるよ」
ハリーがプレゼントのほうへと指をさした。咲耶とハーマイオニーは自分のプレゼントを手にする。
誰宛か確認すると、ウィーズリー夫人、フレッドとジョージたちからなど。
***
昼食に大広間に下りると、各寮のテーブルはまた壁に立て掛けられ、広間の中央にテーブルが一つ、食器が十二人分用意されていた。
ダンブルドア、マクゴナガル、スネイプ、スプラウト、フリットウィックの諸先生が並び、管理人のフィルチも、いつもの茶色の上着でなく、古びたかび臭い燕尾服を着て座っている。生徒は咲耶の他に二人しかいない。緊張でガチガチの一年生が一人と、ふてくされた顔のスリザリンの五年生が一人いた。
「メリー・クリスマス!」
咲耶たちがテーブルに近づくと、ダンブルドア先生が挨拶した。
「これしかいないのだから、寮のテーブルを使うのはいかにも愚かに見えたのでのう。……さあ、お座り!お座り!」
咲耶、ハリー、ロン、ハーマイオニーはテーブルの隅に並んで座った。
「クラッカーを!」
ダンブルドアが、はしゃいで、大きな銀色のクラッカーの紐の端をスネイプに差し出した。
スネイプがしぶしぶ受け取って引っ張ると、大砲のようなバーンという音がして、クラッカーは弾け、ハゲタカの剥製をてっぺんに載せた、大きな魔女の三角帽子が現れた。
ハリーはまね妖怪のことを思い出し、ロンに目配せて、二人はニヤリとした。
スネイプは唇をぎゅっと結び、帽子をダンブルドアのほうに押しやった。ダンブルドアはすぐに自分の三角帽子を脱ぎ、それをかぶった。
「どんどん食べましょうぞ!」
ダンブルドアは、にっこり皆に笑いかけながら促した。
咲耶がちょうどロースト・ポテトを取り分けているとき、大広間の扉が開いた。トレローニー先生が、お祝いにふさわしく、スパンコール飾りの緑のドレスを着ていた。
「シビル、これはお珍しい!」
ダンブルドアが立ち上がった。
「校長先生、あたくし水晶玉を見ておりまして」
トレローニー先生が、いつも霧のかなたからからのようなか細い声で答えた。
「あたくしも驚きましたわ。一人で昼食をとるという、いつものあたくしを捨て、みなさまとご一緒する姿が見えましたの。運命があたくしを促しているのを拒むことができまして?あたくし、取り急ぎ、塔を離れましたのでございますが、遅れまして、ごめんあそばせ……」
「それは、それは」
ダンブルドアは目をキラキラさせた。
「椅子をご用意いたさねばのう――」
ダンブルドアは杖を振り、空中に椅子を描き出した。椅子は数秒間くるくると回転してから、スネイプとマクゴナガル先生の間に、トンと落とした。しかし、トレローニー先生は座ろうしなかった。
すると、小さくあっと悲鳴のような声を漏らした。
「校長先生、あたくし、とても座れなせんわ!あたくしがテーブルに着けば、十三人になってしまいます!こんな不吉な数はありませんわ!お忘れになってはいけません。十三人が食事をするとき、最初に席を立つ者が最初に死ぬのですわ!」
「シビル、その危険を冒しましょう」
マクゴナガル先生はイライラしていた。
「かまわずお座りなさい。七面鳥が冷えきってしまいますよ」
トレローニー先生は迷った末、空いている席に腰掛けた。目を堅く閉じ、口をきっと結んでいる。マクゴナガル先生は手近のスープ鍋にさじを突っ込んだ。
「シビル、臓物スープはいかが?」
トレローニー先生は返事をしなかった。
バックビークの裁判が行われる為、弁護に役立ちそうな本を探していた。
そして、弁護に役立ちそうな本をどっさりと抱えながら、がらんとした談話室まで運ぶと四人は暖炉の前に座り込み、動物による襲撃に関する有名な事件を書いた、埃っぽい書物のページを一枚めくった。
何か一つ関係ありそうなものが見つかると言葉を交わす。
「これはどうかな?1722年の事件……あ、駄目だ。有罪で――ウヮー、連中がやったこと気味が悪いったら……」
「これならいけるかもしれないわ。えーと――1296年、マンティコアは放免になったわ」
頭は人間、胴はライオン、尾はサソリの姿をしている生物だ。
『それは使えませんよ』
咲耶はきっぱりと答えた。
ハーマイオニーは「どうして?」と聞く。
『1296年のマンティコアの件は、みんな近付けなかったため放免になったそうですから』
そうこうする間に、城ではいつもの大掛かりなクリスマスの飾りつけが進んでいた。
生徒たちはほとんど学校に残っていなかったが、柊や宿り木を編み込んだ太いリボンが廊下にぐるりと張り巡らされ、鎧という鎧の中からは神秘的な灯りがきらめき、大広間には金色に輝く星を飾った十二本のクリスマス・ツリーが立ち並んだ。
おいしそうな匂いが廊下中にたちこめ、クリスマス・イヴにはそれが最高潮に達した。
クリスマスの朝、咲耶はハーマイオニーの声で目を覚ました。
「メリー・クリスマス、咲耶」
『メリー・クリスマス』
咲耶は少し眠たそうにハーマイオニーに言いながら、ベッドから起き上がった。
『ふぁ…』
あくびをしながら咲耶は服に着替えて、ハーマイオニーと共に談話室へと降りた。
談話室へと降りると珍しくハリーとロンが起きていて「また栗色だ…」とセーターを見ながらがっかりしたように呟いていた。
降りてきた咲耶とハーマイオニーに気が付いた二人が「メリー・クリスマス」と言うと咲耶たちも「メリー・クリスマス」と返した。
「君たちにもクリスマスプレゼント来てるよ」
ハリーがプレゼントのほうへと指をさした。咲耶とハーマイオニーは自分のプレゼントを手にする。
誰宛か確認すると、ウィーズリー夫人、フレッドとジョージたちからなど。
***
昼食に大広間に下りると、各寮のテーブルはまた壁に立て掛けられ、広間の中央にテーブルが一つ、食器が十二人分用意されていた。
ダンブルドア、マクゴナガル、スネイプ、スプラウト、フリットウィックの諸先生が並び、管理人のフィルチも、いつもの茶色の上着でなく、古びたかび臭い燕尾服を着て座っている。生徒は咲耶の他に二人しかいない。緊張でガチガチの一年生が一人と、ふてくされた顔のスリザリンの五年生が一人いた。
「メリー・クリスマス!」
咲耶たちがテーブルに近づくと、ダンブルドア先生が挨拶した。
「これしかいないのだから、寮のテーブルを使うのはいかにも愚かに見えたのでのう。……さあ、お座り!お座り!」
咲耶、ハリー、ロン、ハーマイオニーはテーブルの隅に並んで座った。
「クラッカーを!」
ダンブルドアが、はしゃいで、大きな銀色のクラッカーの紐の端をスネイプに差し出した。
スネイプがしぶしぶ受け取って引っ張ると、大砲のようなバーンという音がして、クラッカーは弾け、ハゲタカの剥製をてっぺんに載せた、大きな魔女の三角帽子が現れた。
ハリーはまね妖怪のことを思い出し、ロンに目配せて、二人はニヤリとした。
スネイプは唇をぎゅっと結び、帽子をダンブルドアのほうに押しやった。ダンブルドアはすぐに自分の三角帽子を脱ぎ、それをかぶった。
「どんどん食べましょうぞ!」
ダンブルドアは、にっこり皆に笑いかけながら促した。
咲耶がちょうどロースト・ポテトを取り分けているとき、大広間の扉が開いた。トレローニー先生が、お祝いにふさわしく、スパンコール飾りの緑のドレスを着ていた。
「シビル、これはお珍しい!」
ダンブルドアが立ち上がった。
「校長先生、あたくし水晶玉を見ておりまして」
トレローニー先生が、いつも霧のかなたからからのようなか細い声で答えた。
「あたくしも驚きましたわ。一人で昼食をとるという、いつものあたくしを捨て、みなさまとご一緒する姿が見えましたの。運命があたくしを促しているのを拒むことができまして?あたくし、取り急ぎ、塔を離れましたのでございますが、遅れまして、ごめんあそばせ……」
「それは、それは」
ダンブルドアは目をキラキラさせた。
「椅子をご用意いたさねばのう――」
ダンブルドアは杖を振り、空中に椅子を描き出した。椅子は数秒間くるくると回転してから、スネイプとマクゴナガル先生の間に、トンと落とした。しかし、トレローニー先生は座ろうしなかった。
すると、小さくあっと悲鳴のような声を漏らした。
「校長先生、あたくし、とても座れなせんわ!あたくしがテーブルに着けば、十三人になってしまいます!こんな不吉な数はありませんわ!お忘れになってはいけません。十三人が食事をするとき、最初に席を立つ者が最初に死ぬのですわ!」
「シビル、その危険を冒しましょう」
マクゴナガル先生はイライラしていた。
「かまわずお座りなさい。七面鳥が冷えきってしまいますよ」
トレローニー先生は迷った末、空いている席に腰掛けた。目を堅く閉じ、口をきっと結んでいる。マクゴナガル先生は手近のスープ鍋にさじを突っ込んだ。
「シビル、臓物スープはいかが?」
トレローニー先生は返事をしなかった。