~初めまして~





ダイニングに移動し

それぞれ席につく。




「じゃあ、まずは自己紹介しよ。」


「俺は弟者!よろしくね!」


「兄者だ。」


「よろしく、お願いします。」



話を聞くとこの2人は兄弟で

3人共仕事仲間らしい。



「俺はおついちだよ。」


「おついちさん…。」


「次は君の番だよ。」


「私は、芹澤 奏(せりざわ かなで)です。」


「奏ちゃんは何歳?」


「えっと、24歳です。」


「24歳!?若い!?」


「皆さんも若く見えますが…。」


「俺は29歳、兄者は36歳、おついちさんは39歳。」


「おついちさんが1番おっさん。」


「兄者こら。」





この人達が若く見える理由

何となくわかった気がする。


皆、仲良くて、笑ってて、楽しそう。

輝いて見える。


私なんかよりずっと

充実した人生を歩んで来てる。





「んで?君はおついちさんの彼女?」


「ち、違います!」


「違うよ、昨日拾ったの。」


「はぁ?拾った?」



兄者さんは不機嫌そう。

それはそうだよね。

逆の立場だったら私だって迷惑だ。



「おついちさん、拾ったってどういう…。」


「昨日の夜、俺が運転中に雨水溜まってたのを
ぶっかけちまったんだよね。」


「げ、女の子にそんな事したの?」


「弟者、人聞き悪い。」


「私が、あんな所にいたのが悪いんです。」


「…んなわけねぇだろ。」


「え…。」


「兄者、おちつけって。」



兄者さんは私に

苛立った声で言う。


私何か変な事言ったかな…。



「さっきから気に入らねぇ。」


「兄者!何怒ってんの!」


「何でさっきからそんなシケたツラしてんだ。
いかにも、私可哀想ですみたいなツラ。」


「っ……。」


「私があんな所にいたのが悪いだ?確実に
おついつさんが悪いに決まってんだろ。」


「……。」


「それを悟ったみたいに良い子ぶりやがって。
俺はそういう奴が1番嫌いだ。」


「兄者!」




見透かされてる。

全部見透かされてる。


嫌だ。

怖い。

それ以上踏み込まないで。




「ごめ…なさい……。」


「奏ちゃん、ごめんね!兄者口の悪さは世界一で!」


「……悪い、言い過ぎた。」


「いいんです……本当のっ……事だからっ…。」


「奏、話して?思ってる事。」




そう言って

おついちさんは

優しく私の手を握った。


この人はどうして

欲しい時に欲しいものを

くれるんだろう。
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