~想い~








私はおついちさんに連れられて

楓ちゃんとご両親のいる庭園に

辿り着いた。





「楓ちゃん?」


「あ!奏お姉ちゃん!」


「昨日は本当にありがとうございました。」


「気にしないで下さい。皆さんもこちらの旅館
だったんですね。」


「楓びっくりしちゃった!パパとママとお散歩してた
ら奏お姉ちゃんが見えたんだもん!」


「ふふっ、私もびっくりしちゃった。」


「ねぇ、奏お姉ちゃん。」


「ん?」


「あの人、お姉ちゃんの彼氏?」






そういうと楓ちゃんは

少し下がった所にある

ベンチに座ったおついちさんを指さした。





「……大切な人、かな。」









今はこの表現が

1番合ってる気がする。







初めて出会った時からずっと

彼は私の特別な人だから……。








「じゃあ、これあげる!」


「え?何?」


「この近くの水族館のペアチケットです。」


「楓がお祭りのくじ引きで当てたのですが、私達
前売りのチケット持っているので。」


「で、でも、悪いです!」


「楓を助けてくれたお礼をさせて下さい。」






楓ちゃんのご両親は

優しい笑顔でそう言った。





ご両親が素敵な人達だから

楓ちゃんもこんなに良い子に

育ったんだろうな。






「……わかりました。お言葉に甘えて頂きます。」


「うん!」


「楓ちゃん、ありがとうね。」


「奏お姉ちゃん、また会えるかな。」


「うん、きっと会えるよ。」


「うん!またね!」


「またね!」










楓ちゃんは

大好きなパパとママと手を繋ぎ

室内に向かい歩いていった。










楓ちゃん

いつまでも

どうか幸せでいてね。
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