~想い~


「てか、あそこどうやって行くの?」





そういえば私って

結構方向音痴なんだった……。





「んー……。」


「奏。」


「……おついちさん、どうして?」


「どこに行きたいの?」


「え……?」


「迷ってんだろ?」


「…部屋から見えた、庭園みたいな所に行きたいです。」


「…ほら。」








そう言って

おついちさんは

私に手を差し出した。







「……大丈夫です、私ちゃんと行けますから。」


「たまには言う事聞け。」


「きゃっ……。」







おついちさんは

私の手を握り歩き出す。







「……おついちさん。」


「…ん?」


「さっきは、ごめんなさい。」


「……何で、謝るんだよ。」


「好き勝手な事言って、困らせちゃいましたよね。」


「……とりあえず、行くぞ。」











あの時

言いたい事言えたからなのか

酷く心は穏やかだ。
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