~叶わない願い~










「んんっ………ふぅっ………。」








兄者さんは

私にキスをした。









息をする間もないくらい

激しいキス。










兄者さんの腕は力強くて

私の力なんて

まるで歯が立たなくて……。











「兄者さっ……。」


「もう……泣くなよ。」


「……。」


「あいつの、おついちさんの為になんか泣くな。」


「っ………。」


「俺は、遊びじゃねぇから。」


「え………?」


「お前の事、本気だから。」


「兄者さん………。」






兄者さんは

ずっと私の事を

想っていてくれたんだ。




こんな私を

好きでいてくれた……。





「お前の気持ちに整理がつくまで、待つ。」


「……。」


「それと…。」


「……?」


「お前は、一人なんかじゃねぇ。」


「っ!」











私がずっとずっと

欲しかった言葉。











「っ……今だけで良いからっ……。」


「え?」


「ぎゅってっ……してっ……?」


「…いつまでだって、してやる。」












花火が打ち上がる中

私は兄者さんの腕に包まれた。








兄者さん

ごめんね。



卑怯でごめんなさい……。
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