~温もり~




「……っはは。」


「な、何だよ…。」


「あはははっ…。」



私より歳上そうなのに

子供みたいに頬を膨らませて拗ねてる。



「可愛いなって。」


「男に可愛いって、褒めてないから。」


「ふふっ、ごめんなさい。」


「でも、良かった。」


「え?」


「君と会った時、何か…。」


「…?」


「もういいや…って、そんな顔してたから。」


「っ………。」





何で

何でこの人は…。



初めて会ったはずなのに

私の事をそんな簡単に見透かすの?





「っ……なんでっ…。」


「我慢しなくて良い。泣きたい時は泣きな。」


「っふ…うっ……やっ…だっ…。」



涙を流す事に躊躇する私を

彼は優しく包み込んだ。



「こうしてれば、見えないから。」


「っ……うわぁっ……。」


「頑張ったね。」



そう言って

私の頭を大きな手で撫でる。




私はただ一緒にいて欲しかっただけなのに。

傍にいて欲しかっただけなのに。



皆、私から離れていった。



なのにこの人は

名前も知らない私に

どうして優しくしてくれるの……?



どうしてこんなに

私の欲しい言葉をくれるの…?
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