~初めまして~



「……奏。」


「……ごめんなさい。私、帰ります。」


「え?」


「急に転がり込んで、こんな話…図々しくて
本当にごめんなさい。」


「奏、ちょっと待って。」







帰る場所なんか無いくせに。


いつもそう。

助けて下さい。

一緒にいて下さい。


そうやって言えたら

変わってたのかな。




考えたところで

過去は変わらないんだ。






「奏!」


「え……?」


「一緒にいよう。」


「一緒に……?」


「うん。ここにいなよ。」


「おついちさん…。」


「そうだよ!それがいいよ!」


「弟者さん…でも……。」


「ちょうど家政婦が欲しいと思ってたとこだ。」


「兄者っ……さんっ……。」


「兄者素直じゃないねぇ。」


「うっせーぞ!弟者!」


「私っ……。」


「もう、大丈夫だよ。」





おついちさんの腕に包まれる。



もう、いいやって思った。

もう、ダメだって思った。



でも

私はこの人達と出会った。

この人達が救ってくれた。



だったら

私もこの人達の為に頑張りたい。


心からそう思う。
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