時を超えて、繋ぐ想い
継ぎ接ぎ呪霊は
がむしゃらに防壁を攻撃してくる。
流石に特級呪霊だけあって集中していないと
呪力の濃さを一定にする事が難しい。
でも負けない。
私が死んだとしても
七海さんは絶対に死なせない。
「あはははっ!硬い硬い!君凄いね!!この呪力どこから湧いて出たのさ!」
「はぁっ……貴方に教える訳ないでしょっ!」
「琉璃さん、大丈夫ですか。」
「まだ、平気ですっ……。」
「やばいと思ったら、構わず逃げて下さい。」
「嫌っ……。」
「琉璃さん…。」
「七海さんが死んじゃうなんて……やだっ……。」
「……君は馬鹿ですね。」
「えっ?」
「君の様に若くて可愛らしい子ならば、幾らでも相手はいるでしょう。」
「……。」
「三十路近くの、こんな愛想も無い男に態々好意を持たなくても。」
「七海さんは、格好良いです。」
「……根拠は。」
「口では呪術師はクソなんて言ってますけど、本当は愛情深くて優しい人です。」
「……。」
「いつも冷静な七海さんも、私達を守ってくれる優しい七海さんも、全部大好きです。」
面倒臭いと言いながら
彼はいつだって私の稽古に付き合ってくれた。
私が名前で呼んで欲しいとせがめば
溜息をつきながら了承してくれた。
弱い事を嘆き、泣いていた時は
何も言わずに温かいココアを入れてくれた。
何の希望も持てなかった私に
生きる意味を与えてくれたのは七海さんだった。
だからこそ
この壁は壊させない、絶対に。