「………この先ですね。」


「は、はい。」


「私の後ろにいて下さい。」


「っ……。」






ﾊﾞｧｧﾝ






「きゃっ………。」








七海さんはドアを蹴破った。

室内に立ちこめる穢れ。
何て呪力量…これが準一級呪霊。
淀んだ呪力で風景が霞む。









部屋の中にいたのは………。







「っ………お前は………。」


「七海さんっ……この人……。」


「あぁ！また会えたねぇ！」


「未登録の特級呪霊……継ぎ接ぎの……。」


「ここには準一級相当の呪霊がいたはずだ。」


「ん？あぁ、殺しといたよ。」


「お前がここにいる意味は何だ。」


「たまたまだよ？こっちも色々事情があってね。」


「……。」


「それにしても、可愛い子連れてるね！実験したいから僕にちょーだいよ！」


「ふざけるな。」









七海さんと虎杖君が
二人がかりで戦って祓いきれなかった呪霊。






ちょっと待って。
こんなのが相手なんて聞いてない。


七海さん達二人がかりでもやっとなのに
何の力も無い私が適う相手じゃない。








「琉璃さん。」


「え……？」


「逃げて下さい。」


「で、でもっ……。」


「どの道、私だけではこいつは祓えない。五条さんに連絡を。」


「っ……わかり、ました。」


「私が隙を作ります。」


「七海さんっ……。」


「気にする事はありません。私は大人で貴方は子供、私には貴方を優先する義務がある。」


「っ……。」


「話はおわったぁ？」


「お前の相手は私だ、彼女には指一本触れさせません。」


「おぉ！格好良い！………だったら、君を殺して奪う迄だ。」








ｶﾞｯｼｬｧｧﾝ








「七海さんっ！！」











七海さんは呪霊を蹴り飛ばして
割れた窓ごと外に飛び降りて行った。











早く、早く五条先生に連絡しないと
七海さんが殺されてしまう。













嫌……そんなの絶対に嫌だ。