時を超えて、繋ぐ想い

―七海side―





「もしもし、七海です。」


「七海ぃー?どうした?」


「今夜、琉璃をお預かりしても宜しいでしょうか。」


「琉璃?あ、お前拉致ったな?」


「五条さんならともかく、人聞きの悪い事を言わないで下さい。」


「冗談だって!ま、お前なら心配いらないし。」


「ありがとうございます、では……。」


「ヤリ過ぎには注意し……。」






ブツッ






「……はぁ。」







全く、あれが上司とだと思うと
やるせ無さを感じるのは私だけだろうか。




しかし、あの人の強さは確固たるもの。
私がどう足掻いても到達する事の出来ない領域。


私にもそんな規格外の力があれば
灰原を失う事はなかったのだろうか。
今更何を思ったところで遅いが。







だからこそ
彼女だけは守り抜く。


私に出来る事は数える程も無いが
それでも琉璃の一番傍にいてあげたいと思う。






「ん………。」


「目が覚めましたか。」


「七海、さん……あれ……ここは……。」


「私のマンションです。」


「え………えっ?」


「貴方を求め過ぎるあまり、気絶させてしまった様です。すいませんでした。」


「そ、そうだったんですね……私こそ、申し訳ありませんでした。」


「何故貴方が謝るのです。」


「だ、だって……。」






恥ずかしそうに口篭る彼女は
私がどれ程触れたいかなど
微塵も理解していないのだろう。



無自覚の煽り程
タチの悪いものは無いというのに。






ふと、彼女が口を開く。






「あの……。」


「ん?」


「倒れたなら、私の部屋に運んで下さっても良かったんですけど……。」


「………はぁ。」


「どうして溜息……?」


「一緒にいたかったから……そう言わなくてはわかりませんか。」


「あ………。」






琉璃のか細い指に唇を落とす。

指の間を舌でなぞると
わかりやすく彼女は体を震わせた。



涙を溜めた瞳で声を漏らすまいと
必死に唇を噛み締める。





愛らしい……。

その一言では言い表せない
彼女の可憐なその姿には
理性など何の役にも立たない。





「七海さっ……んっ……だめっ……。」


「琉璃……貴方に触れたい。」


「耳元でっ……喋っちゃ、やっ……。」


「可愛いですよ、琉璃。」


「んっ……やっ……ぁっ……。」








華奢な彼女を押し倒し
幾度と無く唇を重ねる。


彼女から漏れる喘ぎにも似た吐息が
脆くなった理性を一つ、また一つと
確実に破壊していく。
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