時を超えて、繋ぐ想い
「琉璃、本当の事を言ってごらん。」
「っ……。」
「琉璃?」
「野薔薇ちゃんっ……私っ……。」
「うん、ちゃんと言って?」
「っ……死にたくないっ……皆と一緒にいたいっ!」
喉の奥から精一杯絞り出した声。
流れた涙は
死にたくないと言えた安堵感と
皆を救えないという申し訳なさと
打開策のない現状への絶望で
しばらく止まることは無かった。
そんな私を
野薔薇ちゃんは力強く抱き締めてくれた。
伏黒君は宥めるように頭を撫でてくれた。
虎杖君はそっと背中を摩ってくれた。
こんなに大切に思ってくれる仲間に
私は何も返してあげる事は出来ないのだろうか。
神様は残酷な事をする。
呪いの力を使う私達には
きっと、最初から神様などついてはいないのだろう。
「ごめんなさいっ……。」
「琉璃、謝る必要などありません。貴方の人生は貴方のものなんですから。」
「七海さんっ……。」
「俺はさ、琉璃の本当の気持ちが知りたかったんだよね。」
「先生、どういう事?」
「恵にも前に言ったけど、どんなに誰かを思っても死ぬ時は一人なんだよ。死に際にああしとけば良かった、こうしとけばなんて思っても遅いわけ。」
「……。」
「だから、他人に左右される必要はない。最後まで言い訳しない人生をお前達には送って欲しいと思ってる。」
「五条先生っ……。」
「琉璃、お前が生きたいと思うなら俺は力を貸すよ。」
「私っ……生きたい、皆と一緒に生きたいっ!」
「おっけー!」
五条先生は
ふざけたような顔でそう言った。
彼に何の策があるのかはわからない。
先生はいつもおちゃらけていて
どこまで信じていいのかわからないけど
いつだって私達の事を思ってくれる。
野薔薇ちゃんと私は
顔がくしゃくしゃになるほど泣いて
抱き合うのをやめなかった。
いつも強くて、頼りになって
格好良いけど可愛らしくて
何があっても諦めたりしない彼女が
こんなにも情けなく泣く姿が新鮮で
その涙が自分に向けられたものだと思うと
胸が熱くて、何とも言えない気持ちに包まれる。
その後
五条先生は調べ物があると言って
一人教室を出て行った。
伏黒君と虎杖君は任務に向かい
野薔薇ちゃんは真希先輩と稽古があると言って
それぞれ別行動をする事に。
七海さんも任務が入っているらしく
教室には私一人が残る事になった。