時を超えて、繋ぐ想い







お出かけの翌日。

高専に帰って来た私は
五条先生達に神子の事を伝えた。


五条先生はもうわかってたみたい。
七海さんや五条先生には隠し事出来ないな。




それに比べて野薔薇ちゃんは……。






「琉璃の馬鹿っ!何でそんな大事な事黙ってたのよっ!」


「ご、ごめんなさい……。」


「琉璃が死ぬなんて絶対許さないから!」


「釘崎、琉璃を責めても仕方ないだろ。」


「琉璃、話してくれてありがとうな。」


「伏黒君、虎杖君…野薔薇ちゃん、ごめんね。」






野薔薇ちゃん
そんなに泣いたら可愛い顔が台無しだよ。



伏黒君と虎杖君は
動揺してるけど私にそれを悟られ無いように
敢えて何でも無いような顔してくれてる。





本当に、私には勿体なくて
自分の命をかけても守りたいと思う人達。


死ぬ事が怖くない訳じゃない。
でも、それ以上に皆を失うのが怖い。



偽善、なんて言えばそれまでなんだろうけど
私には七海さんや皆のいない未来は想像出来ない。






想像したくないんだ。






「五条さん、彼女を救う方法は。」


「んー?俺が知るわけないでしょ。」


「……は?」


「確かに僕は最強だけど、だからって人様の家の事情まで知るわけないでしょ。」


「先生!そんな言い方!!」


「そうよ!琉璃を見殺しにするの!?」


「野薔薇ちゃん…。」







一瞬の沈黙。


先生を責めたところで
状況は変わるわけじゃないし
皆も自分ではどうしようも出来ない事も
ちゃんと理解してる。




皆に相談したところで
神子の責務から逃れられる術が見つかるとは
私だって思ってないから。







「琉璃はさ、どうしたいの。」


「え……。」


「五条さん、何を…。」


「さっきの話を聞いてるとさ、俺達を助ける為なら犠牲になる覚悟があるって感じだったよね。」


「……。」


「本当にそんな事思ってんの?」


「五条さんっ!」


「琉璃、どうなんだ。」


「私は………。」









”皆を失いたくない”



心の底からそう思う。














だけど、私がそれを拒んだら
皆は近い将来命を落としたり、傷付く事になる。
それだけは絶対に避けなければならない。












それなのに
この胸に閊える感情はなんだろう。







皆の為なら死んだってって
そう口に出来ないのは何故なの……。
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