時を超えて、繋ぐ想い








気付くと、情事の後
私はそのまま眠ってしまったみたいだ。



ぼやける視界に目を擦ると
時計の針は午前三時を指している。
そして横には穏やかな表情で眠る七海さん。







微光を放つ照明が
昨夜何があったかを思い出させる。


体中に付けられた赤色の痕と
重く鈍い腰の痛み。
彼と重なり合ったという事実が
私の鼓動の速さをより鮮明にさせる。












”愛している”




七海さんは私にそう言った。

子供だからと手を繋ぐ事も許されなかったのに
今になって何故そんな事を言ったのか。









それは
神子の力を嘆き悲しんだ私を
哀れに思ったのだろう。



七海さんはとても優しい人だ。

いつもは何があっても動じない
泰然自若を形にした様な人だけど
言葉の節々に彼の愛情深さが滲み出ている。











こんな事
一緒に背負わせたく無かった。
七海さんには何も関係ない千歳の家の運命。















このまま
一人で遠くに行ってしまおうか。



千里眼で見えたものは
直接伝えなくても電話やら手紙やら
伝える手段はいくらでもあるし
この時代には色々な文化が発達してる。




そうすれば
少なくとも七海さんや皆の前で
命を落とす事はなくなる。


















そうだ、そうしよう。
お金だって少し位ならある。

海外に行く必要ない。
皆の目に付かない場所にまで行ければ
それでいいのだから。
















出掛ける準備をする為に
七海さんに気付かれないように
シャワー室に向かった。
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