時を超えて、繋ぐ想い





昔からそうだ。



私は千歳家の跡継ぎとして
幼い頃から色々な教育を受けた。





頭は良い方だった。


運動神経だって
同い年の子には負けなかった。




ただ、呪術師としては下の上程度。
一人で呪霊を祓う事なんて出来なかった。





誰も私に期待していない。
大人達の目を見ればそんな事は容易に理解出来た。







誰も名前さえ呼んでくれなかった。
”千歳家の跡取り娘”、それが私の名前だった。







そして、才能の無さを嘆いた両親は
私をこの東京都立呪術高等専門学校に入れた。











”千歳琉璃さん、素敵な名前ですね”









高専に入った初日に
私は七海さんと出会った。


背が高くスラッとして
白のスーツと金髪、青い瞳が凄く印象的で
一瞬で彼の魅力に引き込まれていった。





私が自己紹介をすると
緊張していた事を見抜かれたのか
七海さんは私の名前を素敵だと褒めてくれた。




きっと私の緊張をほぐそうとして
そう言ってくれただけなんだろうけど
名前を呼んでくれた事が死ぬ程嬉しくて
それ以来、私は彼の事を好きになった。






それなのに
私はあの人を失望させてばかりだ。












加えて、私の我儘で
同期の虎杖君達を殺しかけた。







才能の無い私を見捨てないで
いつも一緒にいてくれた仲間を
私は殺そうとしたんだ。
















神様は残酷な事をする。

誰にも必要とされないのなら
私なんかいなければ良かったのに。










そう思わなければ自我を保てない程
私は自分の存在に絶望していた。
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