時を超えて、繋ぐ想い
「本当、です……。」
「本当に!?良かったじゃない!!」
「え……?」
「え?じゃないわよ。これでやっと千歳の家の役に立てるわね!!私も安心よ!」
「お母様……?」
「何よ。」
「私、死ぬかもしれないのに……どうしてそんなに……。」
「仕方ないじゃない、運命だもの。それに、御先祖様は皆そうやって来たのよ。」
「私が、死ぬ事……悲しくないのですか?」
「そういう問題じゃないのよ。力を持つ者は、その運命を全うしなくてはいけないの。」
そうだ。
この人達はいつだってそうだった。
千歳家の繁栄の為に
私はいつだって道具でしか無かった。
七海さんや野薔薇ちゃんは
私を心配して抱き締めてくれる。
虎杖君や伏黒君も
無理するなって気遣ってくれる。
五条先生や真希先輩達も
いつも傍で見守ってくれる。
伊知地さんや家入さん
他の補助監督の人達も皆……。
それなのに
一番愛情を注いでくれる筈の人達は
私の事を何一つ想ってくれない。
どうして私だったの……?
私は何の為に生まれて来たのっ……?
「お母様はっ………。」
「え?」
「何も背負っていないじゃないっ!!」
「る、琉璃?」
「自分は何も怖くないよねっ!?だって、死ぬのは私なんだからっ!!」
「な、何を言ってるの!貴方は千歳家の跡取りとして役目を全うしなくてはならないのよ!?」
「もう、うんざりっ!!お母様もお父様もっ、千歳の家も大っ嫌いっ………。」
電話を切り、スマホを投げ付けた。
もう、いいよ。
誰が何を思っていたって
私はもうすぐ死ぬんだから。
私は千歳家の為に死ぬんじゃない。
大切な人達を守る為に死ぬんだ。
「琉璃、さん……?」
「っ!!!」
「今の話………。」
脱衣所のドアを開けたまま
七海さんはこちらを見ていた。
最悪だ。
このタイミングで
話を聞かれたのは非常にまずい。
七海さんは神子について調べたみたいだったけど
それが私の死に繋がる事には気付いてなかった。
今の電話の内容では
確信的な部分まではわからないと思うけど
経緯を話せばその事がバレてしまう。
そんな事になれば
視たものを伝えようとするのを止める筈だ。
でも、それでは皆を守る事が出来ない。
どうすれば、いいの……。