時を超えて、繋ぐ想い








そして二週間後
一通り任務が落ち着いたので
七海さんと私は”お出かけ”に来ていた。





今日は天気も良くて
窓から入ってくる風が清々しい。

私達は今、七海さんの運転する車で
鎌倉方面に向かっている。




いつものスーツも格好良いけど
七海さんの私服姿、格好良すぎる。

ベージュのテーパードパンツに
白のTシャツ、ダークブルーのジャケット。
眼鏡もいつもの物とは違って彼の目が見える。








「運転までさせて、すいません……。」


「お気になさらず、私は存外ドライブも嫌いではありませんから。」


「運転してる七海さんも、格好良いですね。」


「ありがとうございます。」


「海風、気持ち良いですね。」


「そうですね。普段、任務地は山奥が多いですから。」







そういえば、今日予定を開ける為に
仕事をいつもの倍のスピードでこなしたって
家入さんが言ってたな……。


昨日の仕事も
夜遅く終わったって五条先生言ってた。
きっとクタクタの状態なんだろうな。



そのせいなのか
七海さんの横顔は何処と無くぼんやりしている。







「………。」


「琉璃さん。」


「えっ……?」


「私は私なりに、貴方とこうして出かける事を楽しみにしていました。」


「は、はい。」


「ですので、余計な気遣いは必要ありません。」


「七海さん……。」


「せっかくですので、楽しみましょう。」


「っ………はい!」









どこまでも愛情深くて
心根の優しい人。



私が言わなくても
全てわかっている様だった。
私は彼のそういう部分が大好き。





この人の傍に
ずっと一緒にいたいと思う。
だけど、それは叶わない。









それなら
今この時を、この瞬間を
大切にしたいと心のそこから思う。
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