時を超えて、繋ぐ想い







ここは高専の医務室。


虎杖君、伏黒君、野薔薇ちゃんの三人を
入家さんが懸命に治療している。




その横で何も出来ずに
ただ立ち尽くす私を見て、七海さんが口を開く。






「何故この様な事になったのか、説明して下さい。」


「………。」


「琉璃さん。」


「私が、悪いんです……。」


「それはわかっています。この結果に至った経緯を聞いているのです。」


「っ……。」






今回の任務は
そんなに難しいものではなかった。


虎杖君達と私の一年生四人は
低級呪霊の討伐に向かった。



正直、私達にとっては
取るに足らない相手だった。






最近の私は
虎杖君達の強さに引け目を感じていて
日々成長していく彼等を見て、凄く不安だった。



私は取り立てて呪力が強い訳でも
戦力になる術式を持ってる訳でも無い。
いつも守って貰ってばかりだ。




尊敬している七海さんには
”貴方は前線向きでは無い、下がっていなさい”
いつもそう言われていたの。







だから
少しでも良い所を見せたかった。



低級呪霊なら
危険なんて無いと思った。





油断するなって
伏黒君にあれだけ言われたのに
私は聞く耳を持たず、特攻した。






「要するに、弱い敵だと油断してかかったら二級呪霊が混ざっていたと。」


「……。」


「そして、先走ったあなたを総出で庇った結果がこれだ。」


「……はい。」


「私が間に合ったから良いものの………貴方の傲りが、仲間を殺しかけた。」


「……申し訳、ありませんでした。」


「謝るのは私にではありません。この三人が目を覚ましたら、しっかり謝って下さい。」


「その辺にしてやりな、七海。」


「ですが……。」


「虎杖達は大丈夫だよ、直に目を覚ます。」


「そうですか…良かった。」


「本当に、申し訳ありませんでしたっ……。」






私は医務室を飛び出した。





虎杖君達に怪我をさせてしまった事。
結局、私は無力だと言う事。






そして

大好きな七海さんを失望させた事。







その全てが
悔しくて、苦しくて……
その場に留まる事が出来なかった。








私は本当に最低な人間だ。
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