時を超えて、繋ぐ想い


「はぁっ……はぁっ……。」









やばい…

目が霞んできた。
体力も気力も呪力も、そろそろ限界。



だけど、今この防壁を崩されたら
間違いなく七海さんと私は死ぬ。




私だけならいい。
でも、七海さんだけは絶対に逃がさないと。












五条先生…助けて。









「あははははっ!そろそろ呪力も限界かな?」


「琉璃さん、もういい…貴方だけでも…。」


「嫌っ……嫌だよっ……。」


「君の事連れて帰ろうと思ったけど、お望み通り……一緒に殺して………ん?」







ふと
呪霊が動きを止めた。


何か感じるのか
森の方をじっと見つめている。
同時に、七海さんも何か感じ取ってる様だった。







「……っ琉璃さん!下がって下さい!!」


「えっ、きゃあ!」





七海さんは私の腕を引き
自分の方向へと引き寄せた。


何が起きているのか分からなくて
周囲を確認しようと横を向いた瞬間だった。












ゴォォォォォ











耳を塞ぎたくなる様な地鳴りと轟音を響かせ
私達の横を、紫の強大な呪力の塊が
木々をなぎ倒し、地面を抉り取りながら
凄まじい速さで呪霊の元へと向かって行った。









「くそっ!!避けきれなっ…。」







言葉を言い終わらない内に
呪霊は呪力の塊に飲まれて行った。






音が止み、辺りを見渡すと
そこには真っ二つに分担された廃病院があった。









「こ、これは……。」


「もう大丈夫です。」


「え…?」


「この術は五条さんのものです。」


「おっ待たせー!二人共無事?」


「五条さん、あの技は周囲への損害が大きい。無闇に使わないで下さい。」


「だってさぁ、遠いんだもん。」


「五条、先生……。」


「琉璃、よく頑張ったね。」


「っ……ふぇぇっ……。」


「琉璃が七海を守ってくれたんだね。」


「七海さんっ、怪我しちゃって……。」


「琉璃さん、私の傷は出血量程深くはありません。貴方が守って下さったお陰でこの程度で済みました。」


「七海さん……。」


「ありがとう。」


「っ……。」












七海さんの優しい笑顔。













その笑顔を見ながら
力尽きた私は、意識を手放した。
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