* season 1 *






私中学生相手に
何やってるんだろう。





跡部君とあの子、美男美女だよね。


まさにお似合いって感じだし
跡部君のあの笑顔…凄く優しかった。




「……。」


「冴水先輩?」


「あ、日吉君…。」


「どうしたんですか、こんな所で。」


「少し、外の風にあたりたくて。」


「……。」





日吉くんは
私の隣に腰掛ける。



日吉君はいつもタイミング良く
私の前に現れる。


いつも遠くから見守ってくれる
お兄ちゃんみたいな……いや、弟?




どっちでもいいけど
困ってる時はいつも日吉君が傍にいてくれた。





「日吉君?」


「まったく、一人で抱え込む癖どうにかして下さいよ。」


「なっ…日吉君も言うようになったじゃない。」


「冴水先輩の背中を見ていますから。」


「どういう意味よ。」


「そのままの意味です。」


「………ぷっ、あははっ!」


「冴水先輩?」


「日吉君てさ、何だかんだ言ってやっぱり優しいね。」


「え?」


「本当に……っ……ごめっ……。」


「な、何で泣いて……。」





日吉君は心配そうに
私の顔を覗き込む。




泣きたくない。


よりによって
何で誰かがいる時に泣くのよ、私…。





わかってるよ。

跡部君にとって私は
繋ぎの存在だったって。


彼女が、白井さんが来るまでの
暇つぶしだったんでしょ?





人に利用される事は
慣れてる筈なんだけどな……。





「っ……ふぇっ……うっ……。」


「……。」





ギュッ





「っ………日吉、君?」


「俺が傍にいます。」


「え…?」


「だから、一人で泣かないで下さい。」


「っ……ごめっ……ごめんねっ…….。」


「先輩は、一人じゃない。」





日吉君の腕の中は
妙に心地よくて、暖かくて….。





凄まじい程の孤独感が
少しずつ薄れていく。
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