* season 1 *
夕食後
私は三人と別れて
跡部君を探していた。
あの子との約束守らなくちゃ。
真田さんが伝えてくれたかな?
でも若いのに婚約者って何よ。
こっちは二十歳になっても彼氏いないってのに。
「あ、いたいた。跡部君!」
「ん?花菜か、どうした。」
「あのね、伝言があって…。」
「伝言?何だ。」
「えとね……あの……。」
「……。」
グイッ
「きゃっ……。」
「何タジタジしてんだよ、らしくねぇな。」
「ち、近いよ…。」
「早く言わねぇと、キスするぞ。」
………は?
この後に及んで
まだそんな事言うんだ。
跡部君って
タラシのイメージないけど
誰でも良いわけ?
何か腹たってきた。
「…大人をからかうんじゃありません。」
「アーン?」
「白井杏奈ちゃんって子が、跡部君の事探してたよ。」
「……杏奈がここにいたのか?」
「跡部君の婚約者だって言ってたよ。」
「……。」
「……跡部君?」
少し驚いた顔をする跡部君。
そしてすぐに優しい笑顔。
そっか。
跡部君もあの子の事
大切に思ってるんだね。
「大切な、子なんだね…。」
「杏奈はどこにいたんだ。」
「あ、昼間ナンパされてた所を真田さんと助けたの。そしたら、跡部君を探してるって…。」
「杏奈に怪我は?」
「大丈夫だよ。」
「そうか…。」
「確かに伝えたからね。」
「あ、ああ…。」
その時だった。
跡部君が目を見開いて
驚いた顔をする。
跡部君の先にいたのは……。
「あなた、昼間の……。」
「景吾っ!」
「杏奈…?」
「会いたかったっ!」
「お、おい!いきなり抱きつくな。」
「だって久しぶり過ぎてっ……景吾は会いたくなかったの?」
「バーカ、何言ってんだよ。お前、体はもういいのか?」
「うん、本調子じゃないけど今は落ち着いてる。」
私…
完全に蚊帳の外だな。
はいはい。
邪魔者は退散しますよ。