* season 1 *






夕方五時。

午後の練習が終わり
皆は片付け中。



私はモヤモヤを抱えたまま
トンボでコートを整地中。





「ふん……大人をからかって……痛い目見るんだから。」


「…花菜ちゃん、どないしたん?」


「これだから、若い男は……。」


「冴水先輩、全然聞いてませんね。」


「真田、花菜ちゃん何かあったのかよ。」


「む、何故俺に聞く。」


「お前、花菜ちゃんと追いかけっこしてたろぃ。」


「人を遊んでたみたいな言い方するな。」




グダグダくっちゃべってないで
掃除しろよな、男共……。


ただいま
ブラック冴水発動中。




「忍足君、日吉君、向日君、真田さん、丸井君、あなた達は掃除もしないで無駄話ですか?」


「は、花菜ちゃん…黒いモヤモヤが見えるで?」


「冴水先輩、何かあったんですか?」


「何も無い、あなた達やることやりなさいよ。」


「俺の花菜ちゃんが冷たい…。」


「向日、お前のじゃねーだろぃ。」


「お前のでもねーだろ。」


「二人共やめないか。」


「あなた達………掃除しろって言ってんのよー!!」


「花菜ちゃんが怒ったで…。」


「そ、掃除します!」





私、何でこんなにイライラしてるんだ。





別に跡部君とは付き合ってるわけでも
何かあるわけでもないし。






私がイライラする理由なんて
どこにもないじゃない。






けど……。






「……………。」


「花菜、どうしたの。」


「あ、精市さん…何もありませんよ。」


「俺は誤魔化せないよ、花菜。」


「……そうじゃなくて、今は一人で考えたいんです。」


「……。」


「精市さん。」


「何だい。」


「いつも気にかけてくれて、ありがとう。」


「え?」


「…ううん、何でもない。今日も一日お疲れ様。」


「……。」







やだな、もう……。



しっかりしなくちゃ………。
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