* season 1 *


「伊武君、ごめんなさい…。」


「…何が?」


「偉そうな事言って、バテて負けるとか…恥ずかし過ぎる。」


「別に…勝たれたら、俺の立場ないだろ。」


「そうだけど…。」


「それに、あんたとの打ち合い…良い練習になった。ありがとう。」


「そう言って貰えると有難い…こちらこそ、ありがとう。」


「あんた、笑うと…可愛いな。」


「……え!?」





普段そういう事言わなそうなのに
急にそういう事言うから破壊力がっ……。




「お、大人をからかうんじゃありません!」


「大人って、あんた中学生だろ。」


「そうなんだけど…も、もうっ!」


「またやろうな。」


「あ、うん!喜んで!」


「二人共!見てたぜー!」


「なかなか良い試合だったな。」


「橘さん、神尾君、見てたんだね。」


「深司相手によくあそこまでやりましたね、冴水さん!」


「あはは、結局負けちゃったけど…。」


「冴水は、体の動きがしなやかで柔軟性が高い。良い素質を持ってるな。」




橘さんには
見抜かれちゃったか。


さすが不動峰の部長。
きっとこの人も強いんだろうな。



真田さん程ではないけど
橘さんも威厳があるな……。




「呼んだか、冴水。」


「はっ!?真田さん!?」


「今、思いっきり口に出てたよ…。」


「伊武君っ!早く言ってよ!」


「俺のせいかよ…はぁ…理不尽だよなぁ…。」


「真田さん、ごめんなさい!別に老けてるって言ったわけじゃっ…。」


「冴水さん、それ逆効果なんじゃ…。」


「えっ…はっ!」


「冴水…。」


「やば…に、逃げるが勝ち!」


「待たんかー!!」


「きゃーっ!」





真田さん般若みたいな顔してるっ!


早く逃げなきゃっ!
殺されるー!!
59/74ページ