* season 1 *


「…本当にやるわけ?」


「当たり前、手加減なんて必要ないから。」


「なんか、急に偉そう…泣いても知らないからな。」


「次まであまり時間ないから、5ポイント先取した方が勝ちにしよっか。」


「わかった。」





確かこの子の技は
キックサーブ、スポット。


キックサーブはかなり厄介だな。
なるべく彼にサーブを渡さないようにしないと。


スポットも長期戦にならなければ
大丈夫だと思うけど……。



何にせよ
早めに勝負を決めないと。





「サーブはあんたからでいいよ。」


「ありがとう。」


「……。」


「じゃあ、行くよ。」


「…どーぞ。」


「……はっ!」






バシッ






「っ!?」


「……どうかな?」


「は、早い……。」


「次、行くよ?」


「っ…調子に乗るなよ…。」


「えいっ!」


「はっ!」





さすが不動峰のエース。

私ごときのサーブ
すぐに見切るか。





「っ!」


「あんたっ…そんな細い体でっ……はっ!」


「どこにそんな力があるってっ?」


「嫌だよなぁっ……はぁっ!」


「甘いっ!」




バシッ




「なっ……。」


「はぁっ…感覚は取り戻したけど、体力が……。」


「あんたの打球、軽いけど弾かれる…何で?」


「んー、それはね…。」





私の打球はパワーはないけど
体の回転を使ってスピードをつけるから
手元に来る頃には加速してトップスピードに乗る。


バランス感覚とインナーマッスルの強さが
私の武器というか、スキルなんだよね。




「……秘密。」


「なんだよ、溜めたくせに教えないのかよ…ムカつくよなぁ…。」


「ボソボソ言わないの、次行くよ!」







その後は
ポイントを取って取られての
繰り返しで最後は…。





私のスタミナ切れで
伊武君の勝ち。







啖呵切っといて
悔しー!恥ずかし過ぎる!





でも、久しぶりのテニス
楽しかったなー。
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