* season 1 *


「じゃあ、私あっちで食べるね。不二さん、ここ使って下さい。」


「え?せっかくだから一緒に食べようよ。」


「でも…。」


「ねーちゃん、一緒に食べようやー!」




き、金ちゃんに
そんな顔されたら…断れないよーっ。



金ちゃん本当に可愛いなぁ…。




「それにしても、冴水さんは俺の名前よくわかったね。自己紹介する暇もなく練習が始まったのに。」


「跡部君から皆さんのプロフィール貰っておいたので、それで覚えました。私、人の名前覚えるの得意なので。」


「ワイのことも知っとったもんな!」


「金ちゃんの事は好きだから知ってただけだよ。」


「ふふっ、妬けるね。」


「そう言えば、午後は試合っすか?」


「そうみたいだよ。越前は…。」


「こしまえ!ワイとやろーや!!」


「昨日もやっただろ、飽きた。」


「何だか二人共、兄弟みたいだね。」




どちらかと言えば
越前君がお兄ちゃん?

でも、どっちもどっちか……。




そして
それを優しい目で見守る
長男の不二さん……。




「越前、今日は俺とやろうよ。」


「いいっすよ、手加減しないけど。」


「ふふっ、よろしく頼むよ。」


「金ちゃんは誰とやりたいの?」


「ワイは全員とやりたいんや!」


「あ、あはは……それはいくら何でも…。」





そう言えば金ちゃんて
新しいシーズンの方で
おに…鬼十次郎って人と戦ってたよね?


今の内にパワー系の
河村さんとか桃城君、四天宝寺の石田さん辺りと
やり慣れておいた方がいいと思うな。





「金ちゃんはスタミナもあって、フットワークの軽さが持ち味だけど…。」


「んー?」


「これから先の事を考えて、パワー系の相手とやる事に慣れておいた方がいいと思う。」


「これから先?」


「うん、この先皆は…世界に向かっていく人達だと思うから。」


「…先輩、何か含みのある言い方っすね。」


「そ、そんな事ないよ。何となくそう思っただけ。」


「パワー系って、誰とやればいいん?」


「青学の河村さんとか桃城君、四天宝寺の石田さんとかもいいと思う。あと、立海の真田さんとか、山吹の亜久津君、氷帝の樺地君もいいと思う。」


「よっしゃ!全員とやったるわぃ!」


「あ、スイッチ入ったね。」


「こしまえ!先に行っとるでー!!」


「食べるの早い、金ちゃん…。」


「先輩、俺は不二先輩以外は誰とやればいいっすか。」


「え?」


「俺にもアドバイス下さい。」


「え、えーと……。」





この子は誰とやってたっけ…?


何か金髪の……平等院鳳凰堂みたいな…



あ!平等院鳳凰だ!
あとお兄さんともやってたよね?

もはやあの戦いは
人間の域を超えてるような気がするけど……。





「越前君は…もっとスタミナをつけて、パワー系、技術系の相手とやった方がいいかな。」


「例えば?」


「んー、金ちゃんもいいし…精市さんとか手塚さん、不二さんもいいし…跡部君とか、比嘉中の木手君もいいと思うよ。」


「了解っす。じゃあ、俺も行ってきます!」


「皆、若いな。」


「私からしたら皆さん若いです…。」


「何か言ったかい?」


「何でもないです。」






あー…。





久しぶりにテニスやりたくなってきた。
56/74ページ