* season 1 *




倉庫と部室の掃除を終えた私は
ジャージに着替えて帽子を被り外に出た。


髪縛って帽子に入れてるし
これでバレないでしょ。



「まだまだぁ!」


「…ちゃんとテニスやってるんだ。」


「宍戸ぉ!何つまんねーミスしてやがる!アーン!?」


「っくそ!」




跡部君と宍戸君のラリー?



んー…?

何か宍戸君
肩の動き固いな…。




「何や、宍戸の奴。全然集中出来てへんやんか。」


「…集中出来てないんじゃないよ。」


「え?花菜ちゃん?」


「あ、花菜先輩!」


「忍足君、コート入っても平気?」


「それはかまへんけど…。」


「ありがと。」





宍戸君
調子が悪いんじゃなくて
肩の違和感が原因だと思う。


私こう見えて
理学療法士の資格持ってるんだよね。
全く別の仕事してたけど。


現代では何の役にも立たなかったけど
まさかこんな所で役に立つとは……。





「宍戸君、ちょっといいかな。」


「はぁはぁっ…冴水?」


「冴水?」


「肩、動きにくいんでしょ?」


「!なんでそれ…。」


「腕、貸して?」


「お、おう。」




やっぱりガチガチだ。
ちゃんとストレッチしてるのかな。


ストレッチって大事だよね。

私も資格取るまではしらなかったけど
怪我の防止に繋がったり
良いパフォーマンスするには必要なんだよね。




「宍戸君、ストレッチちゃんとやってる?」


「やってると思うが…。」


「そう、ならもう少し後ろの筋肉ほぐすのを意識してみて?ここガチガチだよ。」


「あ、本当だ。」


「花菜ちゃん凄いCー!」


「お前、そんな特技あったのか?」


「大した事じゃないよ…ん、どうかな。」


「…おぉ!さっきより全然軽い!」


「なら良かった。」


「サンキュー!」


「花菜先輩、凄いですね!」


「鳳君、大袈裟だよ。皆も何かあったら言ってね。」





その後も

辺りが暗くなるまで
練習にうちこんでいた。



私はドリンクを作ったり
洗濯を作ったり記録をしたり
自分の仕事を黙々とこなした。



テニスをしてる時は
皆顔つきが本当に変わるな。
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