* season 2 * fin


「すぅ…。」


「寝るの早すぎ……。」




若君は電気を消してから
一分しない内に寝てしまった。



部活で疲れてるんだろうな。



若君は部長の跡部先輩を
ずっと目標にしてて
人の何倍も努力してる。


若君は天才じゃない。
努力の人だから。


私は知ってる。

どんなに疲れてても
例え負けた試合の後でも
若君は練習をしない日はない。




「…若君は、凄いな。」


「ん…。」


「っ…。」


「んー……?」


「……。」


「お前…寝たフリ下手すぎ。」


「うぅ……。」


「…寝れないのか?」


「私、いつも電気つけて寝てるから…暗いの慣れてなくて。」


「寝るのに、電気つけんのかよ。」


「真っ暗な所にいるの、怖くて…。」


「……。」


「な、何てね…起こしてごめんね、おやすみっ…!?」




若君は私を抱きしめた。


な、何で!?
急にどうしたの!?



今の話の流れで
抱きしめる内容あった!?




「そばにいてやるから、夜くらい何も考えずに寝ろよ。」


「若君…。」


「ほら、さっさと寝ろよ。」


「…うん、ありがとう。」







その日は
不思議なくらい
ゆっくり寝る事が出来た。




ずっとこうしていたくて
朝が来て欲しくなくて

寝たくないのに
若君の体温が心地よくて
すぐ眠ってしまった。
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