* season 2 * fin
「はぁ………あー!もう!」
中学生になってから
若君は私と一緒に行動するのを嫌がる。
家が隣ってだけで
周りから色々噂されて
凄い面倒くさがってたよね。
「何やってんだろ、私……。」
「あれー?可愛子ちゃん発見!」
「…誰?」
「お嬢ちゃん一人?ならオジサンと遊ぼうよー!」
「酔っ払い?私忙しいので…っ!?」
「そんな寂しい事言わないでさぁ!」
「は、離して!!」
男は私の腕を掴む。
振りほどこうと思っても
女の私が敵う相手じゃない。
男は私の手を引いて
茂みに投げ飛ばした。
「きゃあっ!」
「オジサンと楽しい事しよーね?」
「やっ……やだっ……。」
「あれっ?泣いちゃった?オジサンが慰めてあげるね?」
男は距離を詰めてくる。
叫びたいけど
声が出ないっ……。
こんな事になるなら、嫌われてもいいから
若君と一緒に帰れば良かったっ…。
「そいつに触るなっ!」
「ぐはっ!」
「きゃっ……。」
若君…
来てくれたの……?
若君は綺麗な飛び蹴りを食らわせて
男を吹っ飛ばした。
男は木にぶつかり気絶している。
「はぁっ……大丈夫かっ?」
「わかしっ……くっ……。」
「馬鹿か、お前は!こんな時間に一人で帰ったら危ないだろうが!」
「ふぇっ……ごめっ……。」
「っ……もう、大丈夫だ。」
「うわぁぁっ……。」
若君は優しく私を抱きしめた。
若君
汗びっしょり……。
どれくらい私を探してくれたんだろう。
若君が来てくれなかったら
私は今頃……考えただけで、震えが止まらなくなる。