* season 1 *
また会えた。
奇跡だと思った。
それなのに……
あんな顔をさせたく無かった。
”きゃっ……ちょっと跡部君っ……何すっ……っ!?”
俺があの言葉の意味を理解するのに
時間は要らなかった。
自分がまいた種なのに
心に重くのしかかる…。
「幸村、まだ寝ないのか?」
「真田…。」
「考え事か。」
「…そうだね。」
「冴水の事か。」
「…自分でもわかってるさ、らしくない事。」
相変わらず真田は勘が良い。
と言うよりかは、俺がわかりやすいのか。
こんなんじゃ、部長として失格だ。
「お前と冴水の間に何があったのかは知らん。だが、やるべき事を見失うなよ。」
「…わかってるさ。」
「冴水は、お前や跡部と違って仕事を全うしているぞ。」
「え?」
「あのやり取りで一番ダメージを受けたのは彼女だ。だが、彼女はその後も皆の為に動き、走り回っていた。」
「………。」
「忘れるな。お前自身が背負っている物の重みとやるべき事を。」
「……真田、ありがとう。」
「気にするな、俺は先に寝るぞ。」
彼女はどんな思いでいたんだろう。
あんな事のあった後に
皆の為に働いていたんだね。
俺がこんな事でどうする。
立海の部長として
やるべき事があるんだ。
花菜の為にも
俺はやるべき事を履き違えてはいけない。