* season 1 *
「はぁっ…はぁっ……。」
さっきの跡部君
凄く怖かった……。
精市さんの事を
殴っちゃうんじゃないかって。
精市さんも、どうしてあんな事……。
「もうっ……こんなんじゃ、ダメだ。」
私はここに何しに来たの?
皆が全力で練習を取り組むために
サポート係で来たんでしょ?
だったら
仕事をきちんとしなくちゃ。
「木手、またテメーか!」
「亜久津君、また君ですか。しつこいですね。」
「あぁん!?やんのか!!」
「臨むところです。」
あれは確か
亜久津君と木手君。
自販機の前で
何故、メンチを切ってるの…?
「二人とも、どうかしたの?」
「あぁ?テメーは……。」
「冴水さんですね、こんな所でどうしたんですか。」
「いや、それはこっちのセリフなんだけど…。」
「こいつが、俺が飲みもん買おうとしたのを邪魔しやがったんだ!」
「聞き捨てなりませんねぇ、俺の方が早かったはずです。」
「…………………………。」
くだらなすぎて
何も言えなかったわ…。
まだメンチ切ってるし
正直アホすぎる…。
「もうさ、テニスで勝負すれば?」
「……それを早く言え。木手、行くぞ。」
「後悔しても知りませんよ。」
「またな、冴水。」
「冴水さん、また。」
「う、うん。頑張って。」
そう言って
二人はメンチ切りながら
歩いていった。
まったく
個性が強すぎるわ。
「……さて、私も仕事しなくちゃ。」
「冴水先輩?」
「あ、日吉君。」
「こんな所でどうしたんですか。」
「あ、えっと……。」
「…何か、あったんですか。」
「……。」
日吉君て
やっぱり凄いな。
すぐわかっちゃうんだ。
私が悩んでると
いつも日吉君が助けてくれる。
でも、これは…
日吉君が一番嫌がっていた
面倒な事、だよね。
「先輩?」
「ううん、何にもないよ。ありがとう、日吉君。」
「……俺には、言えませんか。」
「えっ…?」
「俺じゃ、頼りになりませんか。」
日吉君は、屋上の時と同じ
真っ直ぐな瞳で私を見た。
頼りにならないなんて
そんな事全然ないよ。
むしろ助けられてばっかで。
だけど……。