* season 1 *







次の日は休みだったので
私はそそくさと跡部君の家を出てきて
一人でお買い物中。


昨日の事
どういうつもりだったのか知らないけど
大人をからかうのも大概にして欲しいわ。


まだ唇の感触が残ってる……。






「……はっ!そんな事より、今日は大好きなケーキ……このお店の苺タルトを買うんだから!」


「早く開かないかなー!」


「楽しみだねー!」




モブキャラ達が
ワイワイと並んでいる。


結構早く来たのに
もうこんなに並んでる…。




「絶対ゲットしてやる!」






そしてついに開店。

列は進んでいき
遂に、遂に………。






「手に入れたーっ!」


「お客様で最後になります。」


「なっ、ラッキー過ぎる……。」




何て幸運なの。

きっと日頃の行いが良いんだ。

やっぱり仕事はキチンとやるべきね。




「さーって、帰って食べ……。」


「えーんっ……僕苺食べたかったぁっ……。」


「仕方ないでしょ、もう売り切れちゃったんだから。」


「やだぁ!僕誕生日なのにっ!えーんっ!」




苺って……
この苺タルトの事?


私で最後って言ってたし…。




誕生日か…….。





「えーんっ…。」


「君、誕生日なの?」


「えっ…うん…お姉ちゃん…。」


「はい、これ。」


「えっ…?」


「誕生日おめでとう!僕!」


「いーの!?」


「いいよ、お姉さんからの誕生日プレゼント!」


「お姉ちゃん、ありがとう!わーい!」


「本当に、ありがとうございました!」


「いえ、素敵な誕生日を!」






誕生日か。
毎年家族皆でケーキ食べてたな…。


シャンパンやオードブル、
ケーキはいつものお店で買って。


誕生日だけじゃない。
ハロウィンもクリスマスも…。



もう、叶いはしないけど…。







あの子の誕生日が
素敵な一日になりますように…。
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