* season 1 *
「ん……あれ……?」
ここは……。
確か皆で遅くまで遊んで
その後どうしたんだっけ……。
「すぅ……。」
「…………………………………っ!?」
私の隣で寝ていたのは
何故か上半身裸の跡部君。
まさか、ここは跡部君の部屋!?
すかさずベットから脱出。
「びっくりしたっ……な、何で私は中学生の裸にドキドキしてんのよ……。」
「ん……。」
「っ!?」
「…すぅ。」
「お、起きたかと思った…。」
それにしても
跡部君の部屋広いなー。
こんな広い部屋に一人でいたら
何だか寂しくなりそうだな…。
跡部君て、あまり人には
弱い所見せないよね。
氷帝学園男子テニスのトップとして
常に高みを目指してて完璧なんて言われてるけど
それには凄い努力をしてるのを、私は知ってる。
「私も跡部君の力に…なりたいな。」
ギュッ
「花菜。」
「きゃっ……も、もう!びっくりさせないでっ!」
「お前の背中、隙だらけだぜ?」
窓から外を眺めていたら
急に後ろから抱きしめられた。
普段は分からなかったけど
跡部君の体はしっかり鍛えられていて
身をよじってもなかなか抜け出せない…。
「ね、ねぇ…もう離しっ……。」
「顔が真っ赤だぜ、花菜。」
「やっ…耳元で離さないでっ…。」
「ふっ……可愛い奴。」
かと思ったら
手を引かれて向き合う姿勢に。
微かに入って来た月明かりが
跡部君を照らす。
私は彼に釘付けになった。
彼の真剣な眼差しから
目を逸らす事が出来なかった。
「跡部、君…?」
「……俺がそばにいてやる。」
「え…?」
「だから、もう余計な事考えんじゃねぇ。」
「……ありがとう、跡部君。」
本当はね。
話をする事
凄く怖かったんだ。
私自身を知られたくなかった。
だけど
”お前はお前だろ”って
あなたが言ってくれたから
私は前に進めたの。
本当にありがとう……。